北尾トロさんの’14年作品『猟師になりたい!』を読みました。2013年10月~2014年4月まで信濃毎日新聞朝刊くらし面に連載された「猟師になりたい!」をベースに加筆・修正されたものです。
本文から引用させていただくと、「長年暮らした東京から、一家3人で長野県に引っ越したのは2012年8月のことだった」、「長野県に住む知り合いの編集者から連絡が来たのは、そんなことを話し合っていた頃だ。『長野県で暮らすようになったのだから、ここでなければできない取材をしませんか。猟師へのインタビューを』」、「松本へ来てから半年経つ。そろそろぼくも何かを始めたい。ここでなければできないことをしながら、地域に溶け込んでいきたい。あれ、どこかで聞いたセリフだぞ。そうか、ここでなければできない猟師の取材……。そのとき急に思ったのだ。猟師の話が聞きたければ、内容を理解したければ、自分が猟師になればいい」、「狩猟免許と鉄砲所持許可のふたつをゲットしないと、一般的にイメージされる猟師にはなれないわけだ」、「いずれも年に数回実施されているようだ」、「流れをざっと説明すると、次のようになる。[狩猟免許] 初心者講習会→狩猟免許試験 [銃砲所持許可] 初心者講習会→猟銃等講習会(考査試験)→射撃教室(空気銃を除く)→鉄砲所持許可申請」、「診断書のことは全国共通みたいで、猟師になるにあたって最も役立った本、『ぼくは猟師になった』(千松信也 新潮文庫)にも同じことが書かれてある。(中略)もう一冊の愛読書はコミックの『山賊ダイアリー リアル猟師奮闘記』(岡本健太郎 講談社)」、「恥ずかしい話だが、免許が網猟、わな猟、第1種銃猟免許、第2種銃猟免許の4種類あることを、申請書類で初めて知ったのである。(中略)第1種が装薬銃(ライフル、散弾銃など火薬を使う銃)と圧縮ガス銃および空気銃、第2種が圧縮ガス銃および空気銃のことだとわかった」、「銃ごとに所収者が決められ、猟師間の貸し借りさえできない」、「狩猟シーズンが終わるたびに、銃の点検を受けなければならない。さらに、3年ごとに所持許可を更新し、不要になった銃は警察署に届け出る仕組みまであり、こうした銃は警察署で銃口を分断し、処分されるそうだ」、「審査にあたっては、(中略)警官がお宅を訪ねます」、「近所の方に話を聞くかもしれません」、「銃所持者は、銃を専用のロッカーに入れ、鍵をかけて壁や柱に固定して保管する義務を課せられている」、「正確無比なスコープが備わっている銃をしっかり狙って撃てば、初心者でも的中させることが可能になる」、「スコープは、指導員と相談して空気圧150~180、距離30~50メートルでおおむね当たるような調整にしてもらった」、「この日大変だったのは、例の自転車風ポンプ。圧が高まるほど押すのがきつくなり、160から先は苦行に近い」、「猟をするために必要な最後の手続きは、平成25年度の狩猟者登録と狩猟税の納付、ハンター保険加入、猟友会への入会」、「猟友会は絶対に加入しなければならないものではない」、「居住地によって(猟友会の)所属先が決まると思っていたら、自由に選べるらしい」、「この日うれしかったのは、猟友会からベストと帽子を支給されたことだった」、「長野県で空気銃を使う猟師は少ない。狩猟免許の試験でも、ほとんどが大物猟志願者だったと思われる」、「狩猟免許を取ってはみたものの、仲間がいなかったり、猟友会になじめなかったり、腕前以前の問題で挫折する人が案外多いような気がするのだ」、「猟師になるのに、ぼくはいくら使ったのか。(中略)トータルで30万円弱というところだろうか」、「15年かそこら前まで、北信では大物猟やんなかったですよ。ほとんどいなかったから」、「で、回収可能だと思ったときだけ発砲。そうでなければ、鳥の命を無駄に奪うことになるからだ」、「あと、気をつけなければならないのは、獲物を傷つけたまま取り逃がす“半矢”。かすり傷ならまだしも、深く傷ついた鳥は自然界で生きていけない」、「現場では内臓の処理だけ。(中略)内臓処理は、肛門から棒状の器具を差し込んで引っ張り出すそうだ」、「羽に覆われた胴体は、的にしやすい代わり、どこまで本体だかわからない。(中略)空気銃で鳥撃ちをやる以上、確率は低くなっても1発で仕留められる首や頭を狙う」、「鳥撃ちの七つ道具は、まず銃と弾丸。(他に防寒具、スパイク付長靴、長靴用カバー、双眼鏡、距離計、柄が6、7メートル伸ばせる釣り用のタモ網、ナイフ、内臓を取り出す道具、地図)」、「鳥撃ちの相棒はセッターやポインターが代表的で、リトリバーも回収犬として優秀とされる。大物猟では紀州犬や甲斐犬、ハウンド系、ビーグルなどが有名」。
著者は結局初年度は獲物なしで終わるのですが、その顛末が楽しく語られていました。続編が楽しみです。
本文から引用させていただくと、「長年暮らした東京から、一家3人で長野県に引っ越したのは2012年8月のことだった」、「長野県に住む知り合いの編集者から連絡が来たのは、そんなことを話し合っていた頃だ。『長野県で暮らすようになったのだから、ここでなければできない取材をしませんか。猟師へのインタビューを』」、「松本へ来てから半年経つ。そろそろぼくも何かを始めたい。ここでなければできないことをしながら、地域に溶け込んでいきたい。あれ、どこかで聞いたセリフだぞ。そうか、ここでなければできない猟師の取材……。そのとき急に思ったのだ。猟師の話が聞きたければ、内容を理解したければ、自分が猟師になればいい」、「狩猟免許と鉄砲所持許可のふたつをゲットしないと、一般的にイメージされる猟師にはなれないわけだ」、「いずれも年に数回実施されているようだ」、「流れをざっと説明すると、次のようになる。[狩猟免許] 初心者講習会→狩猟免許試験 [銃砲所持許可] 初心者講習会→猟銃等講習会(考査試験)→射撃教室(空気銃を除く)→鉄砲所持許可申請」、「診断書のことは全国共通みたいで、猟師になるにあたって最も役立った本、『ぼくは猟師になった』(千松信也 新潮文庫)にも同じことが書かれてある。(中略)もう一冊の愛読書はコミックの『山賊ダイアリー リアル猟師奮闘記』(岡本健太郎 講談社)」、「恥ずかしい話だが、免許が網猟、わな猟、第1種銃猟免許、第2種銃猟免許の4種類あることを、申請書類で初めて知ったのである。(中略)第1種が装薬銃(ライフル、散弾銃など火薬を使う銃)と圧縮ガス銃および空気銃、第2種が圧縮ガス銃および空気銃のことだとわかった」、「銃ごとに所収者が決められ、猟師間の貸し借りさえできない」、「狩猟シーズンが終わるたびに、銃の点検を受けなければならない。さらに、3年ごとに所持許可を更新し、不要になった銃は警察署に届け出る仕組みまであり、こうした銃は警察署で銃口を分断し、処分されるそうだ」、「審査にあたっては、(中略)警官がお宅を訪ねます」、「近所の方に話を聞くかもしれません」、「銃所持者は、銃を専用のロッカーに入れ、鍵をかけて壁や柱に固定して保管する義務を課せられている」、「正確無比なスコープが備わっている銃をしっかり狙って撃てば、初心者でも的中させることが可能になる」、「スコープは、指導員と相談して空気圧150~180、距離30~50メートルでおおむね当たるような調整にしてもらった」、「この日大変だったのは、例の自転車風ポンプ。圧が高まるほど押すのがきつくなり、160から先は苦行に近い」、「猟をするために必要な最後の手続きは、平成25年度の狩猟者登録と狩猟税の納付、ハンター保険加入、猟友会への入会」、「猟友会は絶対に加入しなければならないものではない」、「居住地によって(猟友会の)所属先が決まると思っていたら、自由に選べるらしい」、「この日うれしかったのは、猟友会からベストと帽子を支給されたことだった」、「長野県で空気銃を使う猟師は少ない。狩猟免許の試験でも、ほとんどが大物猟志願者だったと思われる」、「狩猟免許を取ってはみたものの、仲間がいなかったり、猟友会になじめなかったり、腕前以前の問題で挫折する人が案外多いような気がするのだ」、「猟師になるのに、ぼくはいくら使ったのか。(中略)トータルで30万円弱というところだろうか」、「15年かそこら前まで、北信では大物猟やんなかったですよ。ほとんどいなかったから」、「で、回収可能だと思ったときだけ発砲。そうでなければ、鳥の命を無駄に奪うことになるからだ」、「あと、気をつけなければならないのは、獲物を傷つけたまま取り逃がす“半矢”。かすり傷ならまだしも、深く傷ついた鳥は自然界で生きていけない」、「現場では内臓の処理だけ。(中略)内臓処理は、肛門から棒状の器具を差し込んで引っ張り出すそうだ」、「羽に覆われた胴体は、的にしやすい代わり、どこまで本体だかわからない。(中略)空気銃で鳥撃ちをやる以上、確率は低くなっても1発で仕留められる首や頭を狙う」、「鳥撃ちの七つ道具は、まず銃と弾丸。(他に防寒具、スパイク付長靴、長靴用カバー、双眼鏡、距離計、柄が6、7メートル伸ばせる釣り用のタモ網、ナイフ、内臓を取り出す道具、地図)」、「鳥撃ちの相棒はセッターやポインターが代表的で、リトリバーも回収犬として優秀とされる。大物猟では紀州犬や甲斐犬、ハウンド系、ビーグルなどが有名」。
著者は結局初年度は獲物なしで終わるのですが、その顛末が楽しく語られていました。続編が楽しみです。