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菊池寛『第二の接吻』その1

2014-08-14 10:32:00 | ノンジャンル
 河野多惠子さんと山田詠美さんの対談集『文学問答』の中で、河野さんが素晴らしいと言っていた、菊池寛さんの'25年作品『第二の接吻』を読みました。
 川辺家に寄寓している22歳の村川は、川辺家の末娘、六歳の美智子の相手になり、かくれんぼをするが、その折り、偶然に倭文子(しずこ)と同じ場所に隠れてしまい、彼女の羞恥に触れ、彼女の魅力の虜となってしまう。倭文子は両親を早く亡くし、母方の親戚である川辺家に引き取られていた。村川と倭文子が一緒に隠れていたのを知った、川辺家の長女、21歳の京子は不機嫌になる。
 ある日、村川は自分の机の上に刺繍入りの肱附を見つけ、倭文子からの贈り物だと考え、倭文子と親しく話す機会が訪れるのを待つ。そしてある晩、中庭の四阿(あずまや)に倭文子の姿を見つけ、結婚してほしいと言うが、倭文子は京子が恐ろしいと言い、村川は明日の10時に待っていると言って、一旦別れる。翌晩も村川は倭文子と会い、キスしようとするが、倭文子は「この次に」と言って恥ずかしがるのだった。翌晩、四阿に倭文子の姿を見つけた村川は、いきなり背後からキスするが、それは何と京子だった。京子は村川が自分を好きだったのだと早合点し、自分を捨てないことを誓う第二の接吻をせがむ。
 村川は翌日会社から倭文子に電話し、昨晩のことを説明しようとするが、倭文子のそばに京子が付き従っていて、倭文子は川村に返事ができない。翌日、京子の父は京子と結婚してくれと村川に言うが、村川は考えさせてくれと答える。村川が会社に出ると、倭文子から電話があり、小石川植物園で会うと、倭文子は京子の父から縁談を持ち込まれたと困った様子で言い、村川は弱気な倭文子を励まし、強い気持でいてほしいと言う。
 一方、京子は父から村川が自分との縁談に即答しなかったことを聞いて、村川を詰問しに彼の会社に押しかけるが、家からの電話で帰ったという村川と入れ違いになり会えない。帰ろうとしたところ、父の知人の社長、今井に誘われ、うぶに見られたくない意地で夕食まで共にし、独身で前妻との間に子供もいる今井からモーションを掛けられる。帰宅した京子は母が村川の会社に電話していないことを確かめた後、先に帰っていた村川に電話の件を追及した後、なぜ自分との結婚を即答しなかったのか詰問する。
 うなだれていた村川は、とうとう人違いでキスしたことを認め、許しを請うが、京子は自分を愛して欲しいと懇願し、それが受け入れられないと知ると、村川の相手が倭文子であることを見抜き、接吻されることで処女の誇りを失ったとして、命にかけても村川と倭文子の仲を邪魔し、村川に接近するあらゆる女を奪うと誓った。
 翌日、村川は社長の今井に庶務課長の宮田と酒宴に招かれ、倭文子の縁談の相手が宮田だと知らされ、ショックを受ける。宴席では若い芸者に好かれ、その芸者に家までタクシーで送られ、その場を書生の野村に見られてしまう。
 翌日京子は倭文子を呼びつけ、落ちていたという村川への女中の一枝からの手紙を見せられる。そこには夜の逢瀬でキスをされたと書いてあった。そして京子は倭文子を連れて村川の部屋を探索しに行き、額縁の裏からラブレターを何通も発見し、倭文子が部屋を出てから、村川の電気スタンドの下に手紙をはさんでおく。部屋に戻り泣いていた倭文子の許に、再び京子は現れ、明日から一緒に海岸沿いの今井の別荘に行こうと誘うのだった。帰宅した村川は電気スタンドの下の手紙に気づくが、それは「今晩、十時、四阿でお待ちしています」という倭文子からのものだった。はずんだ心で四阿に向かった村川は、そこで女中の一枝に会う。早く立ち去れと言う村川に逆らい、なかなか立ち去らない一枝は、ついに泣きながらその場を去るが、時は既に十時を過ぎていた。怒りから眠れなかった村川はようやくうとうとした翌朝、自動車の爆音で目が覚める。
 自動車には京子と倭文子が乗り込み、葉山の別荘へ向けて旅立った。京子たちが別荘に着くと、すぐに今井から電話があり、今井と宮田が別荘に行くことが決まった。その晩京子は、村川に別れを告げる倭文子の手紙を書く。京子は倭文子に宮田との縁談をしきりに勧める。そこへ今井と宮田が到着した。(明日へ続きます‥‥)

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