”ばっきん”のブログ

日常生活中心のブログです。
平成28年9月から妻と息子、母の4人で暮らしています。

生活保護受給者の不正撲滅の推進?・・・権利は守られるのか?

2011年09月12日 09時15分45秒 | 生活保護
大阪府寝屋川市では,先月の8月1日より
「生活保護適正化ホットライン」と称して
市役所内に直通電話、パソコンの設置と適正化調査員2名を配置し、市民から生活保護の不正受給等に関する情報を受け付け、その情報に基づき調査員が調査を行う取り組みを始めた。不正等が認められた場合には、保護費の返還を求めたうえで、指導及び保護の停・廃止を行うとともに、悪質な場合は法的対応も含めた厳正な対応をするとのことらしい。

http://www.city.neyagawa.osaka.jp/index/soshiki/hukusi/hotline.html
函館市でも,9月定例会で不正受給の防止に向けた対策の必要性を訴える質問がでたようだが,こうした傾向に対し私は少しばかり不安を持っている。

社会が不安定になると,どうしても密告主義や讒言主義がはびこる。
何よりも,「生活保護受給者への偏見を助長させる。」おそれがあるからだ。

このことは制度が時代にマッチしなくなっているせいも大いに考えられるが,本来の意味での「権利の擁護」が不完全であることも示している。

それにしても,冒頭の寝屋川市の取り組みについて,日弁連も全生連も反貧困ネットワークもあまり異を唱えていないのはなぜかと思ってしまう。

私自身は,保護受給者の増大には否定的な考えをもともと持っているが,やがてすべての権利を抑制しようとするこうした取り組みや動きには,大いなる懸念をもっている。

大体,性善説で組み立てられている保護制度を,それを実施する側で取締りも同時にかけるのは,少なくても福祉関係者としては居心地が悪い。

全ては,道徳教育をないがしろにしてきた戦後教育の弊害が,制度を悪用しようとする,いや悪用とまではいわなくても精神を踏みにじる行動を助長させているとしかいいようがない。

たとえば,遊興の代表となる「パチンコ」・・・これをしてはいけないという条項は生活保護法上にはない。高齢者の老後の楽しみとして,生活費の多くを犠牲としない程度の支出であれば,問題はないはずである。ただ,一部の不届きもの(家賃を滞納するもの,稼働年齢層にありながら就労求職活動を怠るものなど)のために,すべての受給者が偏見で見られることになり,生保受給者はパチンコをすべきではないという世論をつくりあげてしまうことにある。

こうなってしまうと,中世の魔女狩りやナチスの行動と変わらない構図を生む温床になる。時間はかかるが,社会保障制度そのものを抜本から見直し,受給している人もしていない人も納得のできる法制度に変えるべきであろう。

私は必ずしも賛成をしている者ではないが,日弁連が発表している生活保護法改正案には多くの人が目を通してほしいと思っている。

http://www.nichibenren.or.jp/library/ja/opinion/report/data/081118_3.pdf