えくぼ

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若いのに老人

2016-09-17 09:34:45 | 歌う

             若いのに老人

♠ この空の青さが我に言わせてる「老いを負いにはするもんですか」 松井多絵子

 今日は「老人の日」である。70歳を過ぎてもまだ自分は老人ではないと言う老人たちが多い。私もその一人である。齢相応に振る舞ったらたやすく老人になってしまう。なにも急いで老人になることはない。しかし若くてもすでに老人の人びとが多くなっているらしい。

 昨年6月、「下流老人」という著書が反響を呼び20万部超のベストセラーになった。著者はまだ34歳の藤田孝典。2004年から、さいたま市を中心に生活困窮者への支援活動を開始。11年、NPO法人ほっとプラスを設立。国や自治体などに、支援に関する提言を行う。

 藤田氏は貧困とは無縁に育った。高校は進学校。「おばあちゃんっ子」で、社会福祉を学べる大学に進んだ。アルバイトに行く途中、自転車でぶつかった男性が路上でテント生活していた。その男性は50代半ば。以前は銀行の支店長、年収は1千万円以上。持ち家もあり妻と息子2人で暮していたが、過労でうつ病、リストラに。離婚し、貯金と自宅は家族に渡した。消費者金融からの借金がかさみ、アパートを出なければならなかった。

 藤田氏は11年、NPO法人「ほっとプラス」を設立。年に300件ほど相談にのる。「下流老人」とは生活基準相当で暮らす高齢者、またその恐れある高齢者」と定義する。現在600万~700万と推定し、近い将来は高齢者の9割がそうなると警告する。『下流化』は誰にでも起こりうると警告する。社会問題として対策を立てなければ、1億総老後崩壊になりかねない。

 「だれでもホームレスになりうる」。「貧困の現場からは社会の次の姿が見える。一番弱い立場の人から、一番よく社会が見える」と藤田孝典の言葉はコワイ、もうすぐ冬だ。

     ♠ 長者町ここに住むひとみな長者、そんなことない風が冷たい

                     9月17日 松井多絵子