えくぼ

ごいっしょにおしゃべりしましょう。

作品募集中の山上憶良短歌賞

2016-09-24 09:20:59 | 歌う

            作品募集中の山上憶良短歌賞

       ~ 家族への想ひおくらむこの歌に ~

 第5回 山上憶良短歌賞の作品募集中 締切は11月30日(水)※当日消印有効

      選者 永田和宏ほか テーマ「家族」 自作未発表1人1首に限る

 ♦ 応募料無料 (どなたでも応募できます)

 ♦ ①小学生の部 ②中学生の部 ③高校生の部 ④一般の部

    各部門 憶良賞1首 入選5首 佳作10首

 ♦ 応募方法 倉吉市図書館に郵送または持参 専用ホームぺージから応募。

 ♦ 表彰式・講演会 平成29年3月26日(日) 講師 永田和宏氏

    問い合わせ・応募先 倉吉市立図書館 電話 0858ー47-1183

    〶 682-0816 鳥取県倉吉市駄経寺町187-1     

  

※ 山上憶良は奈良時代初期の歌人。晩年に名を成したノンキャリア官僚らしい。柿本人麻呂、山部赤人を中心に花ひらいた万葉の世界で、男女の愛ではなく子どもを思う歌を詠んだ。いづれも60歳なかば以降に詠んだらしいとか。

  憶良らは今は罷らむ子泣くらむそれかの母も我を待つらむそ  山上憶良

 11月30日までまだ2か月も、いいえ2か月しかありません。今日から準備してあの世の憶良爺さんが、しんみりする歌を、熱燗を飲みたくなるような歌を詠みましょう。  

                 9月24日  松井多絵子

 


東京の樹木葬

2016-09-23 09:14:35 | 歌う

              東京の樹木葬

 新聞広告の ♦東京の樹木葬 が気になる。 ◉ 継承者を必要としない永代供養墓、
◉ 大切なペットも埋葬できます。◉ どちらの宗派の方でもお申込みいただけます。◉ 花と緑と共に眠る優しいデザインのお墓です。

 ✿ 高輪庭苑 所在地、港区高輪2丁目16番13号 道住寺内
   個人のお墓(1人用) 50万円より 年間維持費0円(永代供養料、墓石代を含む)

 ✿ 久が原庭苑 所在地 太田区久が原4丁目4番10号 安祥寺内

   個人のお墓(1人用) 50万円より 年間維持費3000円(永代供養料、墓石代含む)
   夫婦のお墓(2人用) 150万円 年間維持費10000円

 この広告を見ながら私は「木の下で永遠に眠るのもいいなあ」と思う。木蓮の木がいい。
2日前、私は母に呼ばれて同じ区内の墓地に行った。りんどうの花束を持って。

                青きともしび      松井多絵子

     鈴虫の鳴きごえ細くなってきた母に会わねば墓場の母に

     車より降りてひろがる秋の空われも空色のジャケットを着て               

     りんどうの七、八本の花束をわれより受け取るあの世の母は

     線香は燃え尽きけむりも消え失せて墓場にひとり残されている

     りんどうは一輪一輪青き灯をともしていたり墓参の帰路に

         

                9月23日  松井多絵子   、

 

 


書店が消える

2016-09-22 09:31:26 | 歌う

                書店が消える

 ♠ またひとつ書店が消えてわが街はグルメの街にブティッの街に  松井多絵子

 私の最寄りの駅は急行が止まるので駅の周辺は店が多い。でも書店はまた一つ減り2店しかない。新聞で広告を見て店に行くがその本がない。「すぐにお取り寄せできます」と店員さんは言う。取り寄せてもらったら買わなければならない。これでは本が売れなくなるではないか。昨日の☀文化・文芸の頁に ▲「書店撤退 大型店でも ネットに押され売上減、「ネット書店の台頭とともに、街の小さな本屋が次々と姿を消し、大型書店にも撤退の動きが相次いでいる」

 ♠ 本という本が背をむけ立ち並ぶ振りむかないで、そのままでいて

 おしゃれ老女A子は言う。「いま服がとても安く買えるでしょう。千円の本を買うより千円のブラウスを買ってしまうのよ。着るもので自分を少しは変身できるから」。たしかに新しいスカーフ1枚でも気分が変わる。グルメ老女A子はランチタイムサービスのレストランを見つけて仲間を誘う。費用も2000円を超えることはない。結局、書店へ入っても女たちのお財布は開かないのだ。

 ♠ 『猫を抱いて象と泳ぐ』という本を書棚にもどして書店を去りぬ

 書店を出た私は同じビルの「旅行サロン」に入る。海外、国内の旅のパンプが店内に配置されている。ソファーも多い。私は紅葉のツアーのパンフをソファーに埋もれながら見る。上質の紙のパンプは旅のガイドブックに等しい。私宛ての旅行社のDMも読み物満載、グラビアも上質で捨てかねるものが多い。料理のパンフはスーパーで無料である。

 ネットを始めてから私は辞典を買わなくなった。植物図鑑は花の細部まで画面で見られる。動物、昆虫、魚なども同様だ。地図、天体、海洋、その他、歴史など。パソコン一台あれば、百科事典は要らない。辞典の類は部屋を狭める。しかも高額だ。これらが本の販売額を減少させているであろう。(ネット書店についてまだ私はよく知らない)

 大手の紀伊国屋書店は成長著しいアジアを中心に海外展開に力を入れる。台湾、シンガポール、タイ。8か国・地域に27店を構える。丸善、TSUTAYAなど生き残りへの試行錯誤が始まっているらしい。今日は駅ビルの書店で文庫本を買おうかしら。バッグに入る軽い本を。旅先で読める本を。出版社への私のささやかな応援をしたい。  

            9月22日  松井多絵子


無人島に4時間

2016-09-21 09:14:30 | 歌う

              無人島に4時間

 ♠ 久々に富士山に会えるはずなのに雲のカーテン開かぬままに  松井多絵子

 9月16日の10時すぎ私は新東名道をバスに揺られていた。車窓には富士山が現れない。会いたい人に会えないようで淋しい。その後1時間足らずで駿河湾の無人島・淡島が現れた。伊豆半島の玄関口沼津の小島、住民なし。周囲2.5km、面積5万坪 標高137m。

 ♠ 島国に暮らしつづけてきし我がさらに小さき島々を恋う

 朝8時に浜松町を出発した「はとバス」が「淡島」に着いたのは11時すぎ。東京から3時間で来られる無人島。さいわい風もなく雨も降らず念願叶って小船で淡島に渡る。小島まるごとレジャーランド✿あわしまマリンパーク。ここで4時間のフリータイム。まづペンギンたちに会う。立ってせわしく歩いている、まるで小さな人間のような。チャップリンを思い出す。

 ♠ 調教師がイルカを抱き放つまでラブシーンのごと見つめていたり

 私は久しぶりにイルカのショウを見て驚いた。彼らの芸域が広くなっている。嬉しい時は尾ヒレを激しく振る、拗ねている時はプールサイドに寝そべってふてくされる。人間みたい。
「淡島」で見逃せないのは✿カエル館 なかでも濃紺のカエルは珍しい。色とりどりの小さなブローチのようなカエルは見飽きない、昼食はレストラン「離宮」で。磯料理を。

 昼食後は島を1周する。7000年前の海底からの噴火でできたらしいこの島は、いたるところ穴だらけの岩、そこから木が生え、伸びている。折れて垂れている木々の間をくぐり海を眺めながら歩く。長いトンネルは天井にイルミネーション。島にただ一つのホテルはどの部屋からも富士山がよく見えるらしい。

 「沼津港深海水族館」で「シーラカンス展」を見たのち帰路に、海沿いの東名高速路を通り7時半に東京駅に。ガイドさんは「富士山が見られなかった」のをしきりに詫びていたが、山は気まぐれだ。日帰りで晴天の「無人島」を1周できて有難かった。歩行数は5758歩、
案外少ない。私の街を歩く程度だ。(ツアー代金は昼食代込み10500円)。

                 9月21日  松井多絵子  


松村由利子の短歌時評

2016-09-20 09:14:58 | 歌う

             松村由利子の短歌時評

 昨日の朝日歌壇・短歌時評は「歌集をどう読むか」、松村由利子の寸評である。私たち歌人は短歌を詠むことと、読むことに追われている。小説やエッセイを読む時間がないことを嘆くのは私だけではない。先ず歌集を効率よく読みたい。「歌集はどう読めばいいの?」から松村由利子は書き始めている。ウェブサイト「橄欖追放」は2008年から始まり、月に2回、短歌作品を中心に批評、鑑賞が書かれている。著者の東郷雄二はフランス語学、言語学を専門とする研究者で、自身では歌を詠まない」。

 小説ならストーリーに沿って徐々に世界が展開するが、歌集は、「どこからどう読めばよいのかわからない。並んでいる短歌同士の関係もわからない」と東郷雄二。手探り状態でたくさんの歌集を読むうちに、彼は「秀歌と地歌」の関係に気づく。地歌が背景となって秀歌を際立たせている構造を明らかにしてみせる。どんな高名な歌人でも秀歌だけで一冊の歌集を編むことは不可能に近い。何でもない歌でほっとさせた後に、きりきりと張りつめた一首で効果的に読者の心をつかもうとすることもある。

 私は図々しく歌集を2冊も刊行したが「地歌」ばかりで 「きりきりと張りつめた一首」 はなかったのではないか。しかし読者は私の「地歌」に寛いだかもしれない、などと思えば気が楽になる。

 松村由利子は最後の段落で 「一首ごとの鑑賞の仕方を懇切に解説した本は多いのに、歌集の読み方を指南したものはほとんどない。それは短歌の世界には 作者=読者 であることが多いために抜け落ちていた視点だと気づかされた」、と。

 2010年春から石垣島に住んでいる松村由利子は科学の分野を詠った短歌を紹介したエッセイ集 「31文字のなかの科学」で第10回科学ジャーナリスト賞、ワーキングマザーとしての「与謝野晶子」で第5回平塚らいちょう賞を受賞している。3年前の冬に私は石垣島を訪れたとき向日葵が咲いていた。日本ではないような南国、この冬も訪れたい。

      見上げればスカイツリーになりてゆくココヤシの木よ長寿なれかし

                     9月20日  松井多絵子