新刊歌集のお知らせ
斉藤斎籐歌集と奥村晃作の歌集が刊行された。お二人とも著名な歌人でありツイッターでもお馴染みである。80歳の奥村と43歳の斉藤、気の若いオヤジとジャジャ馬息子の如し。
✿ 奥村晃作歌集 『ビビッと動く』 (六花書林・本体2500円)
あるがままを自由に詠む独特の境地。80歳の第15歌集。
(石橋の荒人神橋の名称が「荒神橋」と深く彫られて)
「ただごとの歌」の標榜者として知られている奥村晃作は宮柊二に師事し、現在歌誌コスモスの選者である。当たり前のことを当たり前に歌う。私も「ただごとの歌」を試みているが簡単なようで難しい。<コロンブスの卵>のような作品を詠むのだから。
♦ 次々に走り過ぎゆく自動車の運転する人みな前を向く
♦ 船虫の無数の足が一斉に動きて船虫のからだを運ぶ
奥村晃作先生はコロンブスの末裔かしらと思わせる歌である。
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✿ 斉藤斎籐歌集 『人の道、死ぬと町』 短歌研究社・本体3000円 2004年~15年の作品を収めた第2歌集。歌論あり、詩や散文のようなものもあり。
斉藤斎籐という名前は目立つ。大歌人の斉藤茂吉の斉藤を姓と名に重ねる。その機知が彼の鋭い才気を伝える。しかも姓は「斉籐」であり、名は「斎籐」などとずらしている。早大卒業後、5年間もフリーターだったらしい。2005年に歌集「渡辺のわたし」を刊行、渡辺とは
他界した彼の母上の旧姓だそうだ。歌誌「短歌人」に所属。今後も面白そうだ。
♦ 雨の県道あるいてゆけばなんでしょうぶちまけられたこれはのり弁
この歌の作者は斉藤斎藤だから通用しますが、もし私の歌だったら「松井多絵子は認知症
なの?」なんて思われますよ。(怒りと笑い)
9月27日 松井多絵子
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