えくぼ

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関東大震災と短歌

2016-09-01 09:35:57 | 歌う

            関東大震災と短歌 

 ♥ 八月と共に去るものおもうとき蚊が鳴きながら我にまつわる  松井多絵子

 12年も前の私の歌である。この歌が朝日歌壇に載ったとき、採りあげてくださった島田修二は急逝されていた。スペイン旅行の出発が迫り、原稿の執筆中に亡くなられたのである。以来わたしには、九月は悲しい怖い月である。その島田修二が 「関東大震災と短歌」 について「岩波現代短歌辞典」に次のように書いている。

 1923年9月1日午前11時58分に南関東に発生した関東大震災は、震度7.9の日本史上最大の地震災害であり、京浜地方を直撃し、死者9万9千人、行方不明4万3千人、負傷者10万人、被害世帯70万に及んだ。国力増強と社会矛盾の深刻化していた時代であり、場所が帝都であっただけに、国としても存亡にかかわる打撃であった。

 ◓ 人ごゑも絶えはてにけり家焼くる炎のなかに日は沈みつつ
                                     高田浪吉

 ◓ 這ひ出でて見れば目の前は平らなり見ゆる限りの家は壊れつ
                                     築地藤子

 ◓ 国こぞり電話を呼べど亡びたりや大東京の静かにありぬ
                                     中村憲吉

 大震災が脆弱な建築の基幹部を破壊し、都市の近代化に反省を迫り、「アララギ」主導による歌壇の体制にも批判的な動きがあり古泉千樫、北原白秋、土岐善麿、釈迢空らが「日光」を創刊。「アララギ」に対抗する動きとなった。

 「関東大震災は太平洋戦争の被害とも比較されることが多かった。平成7年の阪神淡路大震災は東と西、同じ都市災害であり、関東大震災と比較されることが多い」。そして3・11は島田修二の亡き後の大地震である。この災害の後遺症はまだ続いている。

   ♥ 地震あらば避難所となる公園のベンチに座りすぐ立ち上がる 

                    9月1日  松井多絵子

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