えくぼ

ごいっしょにおしゃべりしましょう。

★ 地上の星座 ★

2014-12-17 09:18:41 | 歌う

               ★ 地上の星座 ★

 ★近づけば青い瞳に捉われて地上の星座に入りてしまいぬ   松井多絵子

 昨日は氷雨の1日。私へのXmasプレゼントのイルミネーションツアーは恵比寿・バカラのシャンデリアから始まった。午後1時半、もし晴れていたら屋外に展示されている硝子の光の蝋燭はさほど華やかではく、太陽に負けてしまっただろう。フランス製の410の灯は。

 ホテル日航タロンガで早めの夕食、前菜、チキン、デザート、窓の外には灯がともり始める。小雨のなかの灯も幻想的でよい。お台場からイルミネ―ションクルーズ。さきほどバスで通過したあの橋が七色の虹の橋に。小雨の高層ビルの明かりはやさしい。平日だから仕事をしている人々、年末で忙しいことだろう。「日の出」で下りてカレッタ汐留のイルミを見る。駅の構内がかくも光で飾られて、流れる人々、イルミを眺める人はほとんどいない。

 東京ミッドタウンのイルミはすごい。電飾が走る、絶え間なく青の光が走る。寒さが走る。雨は止み夜の9時、ビルのショッピング街を歩く。Xmasツリーは若い人には心のときめく木かもしれないが。けやき坂の真っ赤な木々を車窓から眺めて8980円のツアーは終わる。

 ★電飾のなかりし頃はわが街を冬の星座が飾りていたり

 Xmas商戦のためか東京の外れの私の街までイルミが年々華やかになっている。不景気な時ほど派手なような気がしてイルミは好きになれなかった.しかしイルミは光のアートだ。冬の星座が驚くような作品を夜の街に描けばいいのだ。私たちを酔わせる作品を。

                          12月17日   松井多絵子 

 

 

 


妖しい光

2014-12-15 09:24:46 | 歌う

             ☀ 妖しい光 ☀

 ◆ あたらしき遠近両用メガネかけ遠くも近くも定かに見えず  松井多絵子

 114458、これは小渕優子の昨日の選挙での確定得票である。元経産相・財務副大臣・党総務副会長・少子化相という小渕優子、しかし、しかしである。私は金銭にいい加減な人間を信じることはできない。朝刊の1面に阿部晋三の笑顔。少しやつれたた笑顔だ。戦後最低の投票率・52%。 

 「自民大勝、3分の2維持」。阿部さんは朝日新聞が苦手らしい。その朝日1面トップの見出しは彼にきわめて好意的だ。しかし社会面は 「 阿部自民信じるしか、アベノミクスの恩恵まだないが」。「小渕氏ら辞任閣僚当選」、✿小泉進次郎の「熱狂なき選挙だった」のコメントはカッコイイ。「熱狂なき圧勝だった。これから自民党にできないことがあった場合、すべて自民党の責任であり言い訳はできない。 

  スポーツ面は✿羽生完勝 V2 フリー自己ベスト 折角の快挙が選挙と重なり脚光が淡い。しかし「自公大勝」の大きな活字は何となく妖しい光に包まれている。晴天でも風が強い日、寒気に襲われる日もある。晴れのち雨にならないことを願いながら阿部さんの笑顔の写真を見る。目尻がさがり口元も閉まりない、疲れている笑顔だ。彼こそ今後が不安だろう。

            ※     ※     ※     ※     ※

       短歌情報 新刊歌集

 ◆ 篠弘歌集 「日日炎炎」 第9歌集。この6年間の875首を、年ごとに編む。

          この春の雪をしのぎて明けがたの闇をひらきゆく辛夷の白は

                 (砂子屋書房・本体3000円) 


花束を抱く堂園昌彦

2014-12-14 09:01:09 | 歌う

            ✿ 花束を抱く堂園昌彦 ✿

 年末の土曜日だが中野サンプラザ研究室10は満員。外の気温との差は20度もありそうな「批評会」だった。1年以上前に刊行した堂園昌彦歌集批評会に集まった歌人達は約130人。いま歌壇で活躍している歌人たち、若い歌人の多いのが目立った。二次会も盛況。

 堂園昌彦は1983年11月東京生まれ。2000年に短歌を作りはじめる。2003年「コスモス」「早稲田短歌会」入会。2007年短歌研究新人賞最終候補、2008年 「pool」参加、現在、「ガルマン歌会」を運営している。

 短歌を作り始めて14年で花束を抱き拍手を浴びるなんて、亀の私には兎に見える堂園昌彦。でも細身の青年ではなく、どっしりして重厚な、ややオジサン的で「おもろい」青年だ。「体を使わないと詠めない、韻律に助けてもらっている」とのご挨拶も大人っぽい。3人のパネリストが歌集から抄出した作品はとても多いので2首だけ記してみる。

 ✿ 吉岡太朗  (美しさ、すさまじさ、答えが返らない歌も)

      君は夢中で道路のカタバミを見ている 本は本から生まれる

      冬の旅、心に猫を従えて誰も死なない埠頭を目指す

 ✿ 斉藤斉藤  (何だかわからないとき光をあてる歌が多い)

      曇天に光る知恵の輪握り締め素敵な午後はいくらでもある

      明日には枇杷を見に行く脆弱な花と光を心に詰めて

 ✿ 川野里子  (究極の美食の歌集・はじめは抵抗があった)

      ひかりたつ春の吐瀉物乗り越えて行き着く町のなんで夕暮れ

      すさまじい秋日の中で目を瞑り優れた人達へ挨拶を 

 歌集『やがて秋茄子へと到る』への批評は会場から次々に発言がありましたが、今日はここまで。二次会でワインを飲み過ぎてまだ酔いがさめません。又書きたいです。

    堂園昌彦は独身?ではないと思いますが。歌集ではわかりませんね。

                         12月14日  松井多絵子     


殻ちゃん~32回

2014-12-12 09:15:40 | 歌う

           ・・・ 殻ちゃん~32回 ・・・

 夏休み第一日の殻ちゃんは11時半に昼食をすませ、QA会へ行く。途中で図書館に寄るつもりだったが止めた。この夏休みは本を読むのを楽しみにしていた。図書館に寄って本を借りたら勉強する時間が無くなる。図書館を素通りしQA会へ。テストの始まる25分前に。
ビルの入り口の隅にあるベンチに座り代数のプリントを開く。その時、タワー君が現れる。

 殻 ♠ 「あら、足立さん、ちょうどよかったわ。この問題がわからなくて、、。」

 足立♠ 「これですか、僕も始めは理解できなかった」 タワー君はメモ帳にボールペンで。

       Y= と書く。長い指。きちんとした字だ。「ここが大事です」とボールペンは赤に。

       三度繰り返して、ムダのない説明。殻ちゃんは理解できた。

 殻 ♠ 「わかりました。昨晩ここを考えていたら眠ってしまって、助かりました」、

 40分の数学のテストはタワー君とは別の部屋。終わるとすぐに阿部先生に呼ばれて小部屋で個人指導だ、第1問、こんな初歩的な計算を間違えるなんて困るね。第3問も途中から狂ってる。しかし一番難解な第4問、これは完璧だ。キミは意外に優秀なんだなあ」

 殻 ♠ 「実は、この問題、さっき足立さんに教えてもらったばかりで、、」

阿部 ♠ 「彼は熱心に勉強している。ときどき教えてもらうといいね」

 数学の後は英語、古文のテスト、まあまあだった。ホッとしてQA会を出て殻ちゃんはビルの外でタワー君を待っていたが現れない。神山中の顔見知りの女の子が三人出てきた、男の子も二人出てきたがタワー君は現れなかった。帰宅するとアキが「テストはできた?」と聞き、「タワー君は来てた?」と聞く。殻ちゃんは首をふるだけで部屋にこもってしまった。

 夜の10時すぎ、勉強の途中でベランダで深呼吸する殻ちゃん。夏の星座がローマ字に見えたり、数字になったりする。タワー君の長い指が星を動かしている。星が瞬く。

          まだ続きます。どうぞヨロシク。 12月12日 松井多絵子      


国際結婚はするな

2014-12-11 09:13:02 | 歌う

            ◆ 国際結婚はするな ◆

 朝ドラの「マッサン」は楽しい。しかし切ないドラマでもある。日本の生活に慣れようとして苦労しているカナダの女性・エリーを見ながら私はK子さんをおもう。十数年も前にニユージーランドを周遊したときの現地ツアー添乗員だった若い日本女性のK子さん。

 K子さんがニュージーランドに滞在したのは語学留学のためだった。そこで知り合ったP君と結婚。日本の両親は猛烈に反対、親子の縁を切るとまで言われ結婚して5年過ぎても電話も手紙も来ない。P君は農家の息子でK子さんは彼の家族とおなじ農場で暮らしている。朝ドラのエリーのように姑に苛められることもなく、皆から大切にされている。

 しかし、K子さんは農場の手伝いだけでなく、P君が見つけてくる観光ガイドの仕事も忙しい。彼はK子さんとともに外食をしない。彼女の収入はすべて管理している。二人のための庭付きの豪邸を買うための貯金だという。嫁ぎ先の農家も質素だが、親戚知人などをホームパーティでもてなす。ガイドの仕事がないときはパーティの食事の支度や後かたずけ、泊り客の世話までしなければならない。彼女の話を聞きながら私は腹が立った。異郷で孤立無援のk子さんはP君や彼の家族に利用されているのではないか。上品で真面目で親切な女性。しかも体も丈夫で英語も堪能、稼げる女だ。P君は彼女に I love you を言うだけで甘い汁を吸っているのではないか。

 オークランドで彼女と珈琲を飲みながら日本から持ってきた塩せんべいを渡すと、彼女は
「まあ、懐かしい」と何枚も何枚も食べた。留学していた頃は実家から日本の食材が始終送られてきた。が、今は全く音沙汰がない。P君の農場ではカボチャも作っている。日本のほっくりしたカボチャとは違いサクサクしている。そろそろカボチャの収穫期になる。ガイドの仕事のない日は畑のカボチャを運ぶ。「重いです」。と言った彼女の言葉が今も重い。

 K子さんは中年のオバサンになってしまったか。子供はできたか。朝ドラを見ながら遙か彼方のニュージーランドをおもう。地球の奥座敷のあの静かな美しい楽園。K子さんも留学だけだったら素晴らしい思い出の国になったであろうに。◆ 国際結婚はするな!

                           12月11日   松井多絵子