♦ お金に好かれる人と嫌われる人 ♦
❤ 花よりもケーキがほしいブランディ入りのケーキを濃き珈琲を 松井多絵子
老女4人がガラス張りの温室みたいな茶房へ入る。「ここのマロンケーキお安くておいしいわよ」とA子が云いB子も私もケーキと珈琲を注文する。Y子は珈琲だけ。「先月のバルト海クルーズのデザートでケーキをイヤというほど食べたから。それに日本のケーキはおいしくない。ブランディがだめなのよ」そんなY子の言葉を無視して私たち3人はマロンケーキをむさぼる。オイシイ。食べ終わるとA子は 「バルト海クルーズってお高いでしょう?」と Y子に聞く。「2週間で1人98万円よ、1人部屋追加料金を17万円払わされたけど」と応える。
「来月行く南極クルーズの130万に比べてお安いわ」 茶房の支払いは割り勘で。私たちはケーキと珈琲で750円。リッチなY子は350円。ヴィトンのバッグからヴィトンの財布を取りだして。ブランドのバッグを持ち歩く女は、自分を飾ることには気前がいい。
Y子はお金に好かれても人には好かれない。しかしクルーズに使うお金は旅行会社を豊かにし、日本経済の活性化に貢献している。困るのはあるのに使わずため込む人だ。かなりの資産家V子はミンクのコートもダイヤの指輪もシャネルのバッグも母上の形見。服のサイズも同じだそうでディオールの服も母上のお古だ。旅行も外食もほとんどしない。豪邸で毎日、テレビを見ている。映画館のような大きな画面のテレビを。ホテルのような部屋で。
年末は「お金」についての本の広告が多い。33万部突破「お金が貯まるのはどっち?」
♦お金に好かれる人、嫌われる人。 この本を読まなくても答え察しがつく。お金に好かれる人は人に嫌われる人だ。自己中心で自分だけが可愛い人が多い。他者を楽しませるためにはお金を使わない。この本の著者・菅井敏之は「お金のソムリエ」。いろいろな肩書きがあるのだ現代は。定価1300円のこの本が33万部も売れているなら、「お金が欲しい」人たちからお金を巻き上げているのではないか。広告の著者の写真はにんまり笑っている。
でもネ、人に好かれるためにお金を使うのもダメ。あなたではなくお金が好きな人が、。
12月 21日 松井多絵子