えくぼ

ごいっしょにおしゃべりしましょう。

お金に好かれる人と嫌われる人

2014-12-21 09:18:21 | 歌う

             ♦ お金に好かれる人と嫌われる人 ♦

 ❤ 花よりもケーキがほしいブランディ入りのケーキを濃き珈琲を  松井多絵子

 老女4人がガラス張りの温室みたいな茶房へ入る。「ここのマロンケーキお安くておいしいわよ」とA子が云いB子も私もケーキと珈琲を注文する。Y子は珈琲だけ。「先月のバルト海クルーズのデザートでケーキをイヤというほど食べたから。それに日本のケーキはおいしくない。ブランディがだめなのよ」そんなY子の言葉を無視して私たち3人はマロンケーキをむさぼる。オイシイ。食べ終わるとA子は 「バルト海クルーズってお高いでしょう?」と Y子に聞く。「2週間で1人98万円よ、1人部屋追加料金を17万円払わされたけど」と応える。
「来月行く南極クルーズの130万に比べてお安いわ」 茶房の支払いは割り勘で。私たちはケーキと珈琲で750円。リッチなY子は350円。ヴィトンのバッグからヴィトンの財布を取りだして。ブランドのバッグを持ち歩く女は、自分を飾ることには気前がいい。

 Y子はお金に好かれても人には好かれない。しかしクルーズに使うお金は旅行会社を豊かにし、日本経済の活性化に貢献している。困るのはあるのに使わずため込む人だ。かなりの資産家V子はミンクのコートもダイヤの指輪もシャネルのバッグも母上の形見。服のサイズも同じだそうでディオールの服も母上のお古だ。旅行も外食もほとんどしない。豪邸で毎日、テレビを見ている。映画館のような大きな画面のテレビを。ホテルのような部屋で。

 年末は「お金」についての本の広告が多い。33万部突破「お金が貯まるのはどっち?」
♦お金に好かれる人、嫌われる人。 この本を読まなくても答え察しがつく。お金に好かれる人は人に嫌われる人だ。自己中心で自分だけが可愛い人が多い。他者を楽しませるためにはお金を使わない。この本の著者・菅井敏之は「お金のソムリエ」。いろいろな肩書きがあるのだ現代は。定価1300円のこの本が33万部も売れているなら、「お金が欲しい」人たちからお金を巻き上げているのではないか。広告の著者の写真はにんまり笑っている。

 でもネ、人に好かれるためにお金を使うのもダメ。あなたではなくお金が好きな人が、。

                        12月 21日  松井多絵子      

 


女性たちの貧困

2014-12-20 09:22:07 | 歌う

            ・・・ 女性たちの貧困 ・・・

♠ 新宿の都庁の地下のガレージが寝室だなんて住処なき人の   松井多絵子

 10年位前から私の旅はほとんどツアーである。行きたいところを効率よく案内してくれる。歌友たちには単身で旅をしている人がかなりいて著名な歌人の生家や歌碑を見逃さない。でも私の旅は楽しむためだ。ツアーの企画に任せれてのんびり車窓の景色を楽しむ。ツアーの種類の多いクラブツーリズムを利用することが多い。家から便利な新宿都庁地下ガレージから私の旅が始まる。5年位前まで此処が深夜はホームレスの棲家だった。

♠ 折りたたみの長椅子たたまれその上に毛布と枕とボストンバッグ

 ツアーの集合時刻が早朝の場合、わたしはホームレスが毛布や椅子をたたんでいるのを度々見た。身なりも普通だ。街で見かけてもホームレスには見えないだろう。初老の普通の男たち。しかし女性はいなかった。女性のホームレスを見たのは公田耕一の歌に詠まれた処を辿ったときである。横浜の長者町を過ぎて古いビルの前の路上の一人の女性。

♠ 長者町ここに住む人みな長者、そんなことない風が冷たい

 あれは十月の末、まだあたたかな午後だった。私はホームレスの集まっているらしい場所を通行人に聞いた。年配の女性はカメラを提げていた私をレポーターと思ったらしく案内してくれた。少し風のある日だったが、路上の陽のあたる場所に足をなげだすように座っている男たち、それぞれ少し距離をおき みな無言、昼寝をしているように見えた。私を案内してくれた女性は「怖いから帰ります」と消えてしまった。そのとき、私にきつい視線をむけている女のホームレスが 「写真なんか撮らないでよ」と私に向かって言う。怖かった。あの女性は何歳だろうか。なぜホームレスになったのか。私が見たホームレスは例外なく無気力な感じの男たちだった。しかしあの女は勝気に思えたが。なぜ働かないのか。

             ※        ※       ※             

 朝刊の『女性たちの貧困』。この本の広告は私を更に寒くする。NHKクローズアプ現代
「あしたが見えない」で女性たちの貧困」をとりあげ、大反響を呼んだらしい。残念だが私
は見ていない。ホームレスは男性ばかり。経済力が乏しい女性にはいないのが私は不思議だった。日本人の貧困率は高齢女性層。若い単身女性の3人に1人。女性の路上生活は危険なため隠れたホームレスが多いらしい。2年以上もネットカフェで暮らしている女など。

 あるヘルパーさんは言う。✿やる気があれば仕事はいくらでもありますよ。力仕事。清掃などは人手不足。キレイな職場で働きたい楽な仕事、カッコいい仕事で稼ぎたい女が多い。と
    当たるのは奇跡の宝くじを並んでまで買う人々はホームレス予備軍ですよ。

                             12月20日   松井多絵子


浅羽佐和子の空

2014-12-19 09:20:00 | 歌う

             ~ 浅羽佐和子の空 ~

      ☀ 清潔なハンカチのような嘘をつく この青空をなくさないため                        

 今月刊行されたばかりの、浅羽佐和子歌集『いつも空をみて』の始めの頁の歌である。
空は時刻により変化する。天気により変化する。彼女の『空』は自身の体のなかの、心のなかの空であろう。二人の幼児を育てながら仕事をしている、歌誌「未来」でも活躍している、スゴイ女性だ。しかも自在に詠んでいる。というより彼女の空へ発信しているのだろう。

    ☀ 九日目あなたに会えない夕暮れに冬空色の入浴剤を

    ☀ 保育園のにおいがしている髪の毛にこの子の一日の長さを思う

    ☀ 何をしたくて走っているのだろう 冷えたレタスをひたすらちぎる

    ☀ 今日やるべき仕事と吾子をだきしめること両方ともできないままで

 先週、浅羽佐和子から送られた歌集を、私はメールのように読んだ。「私だって何をしたくて走っているのかわからないですよ」「家事だって短歌だって両方ともいいかげんよ」

    ☀ 腕時計をみただけなのに 「お子さんが待っているんですね」 と言う運転手

    ☀ ジャンパーのポケットから出てくるドングリを数えてこの子の一日を思う

    ☀ 気づかないふりでなく本当にわからないんだ父親とは

 二人の子育てだけでなく「夫育て」にも苦労してますね、佐和子さん。私も夫という不可解な動物の飼育に苦労してますよ。私がオイシイものはマズイ私が楽しいテレビは退屈な夫。

 ☀ 生ぬるいタイツを脱いで一日が終わるということだけががリアルで

 何気なく詠まれたであろうこの一首に私は共感し感動しました。自分の気持ちをストレートに詠める、推敲に推敲を重ねた歌は完成度が高くても読者に響かないかもしれない。浅羽佐和子サマ 、あなたの空を、青空を失わないように詠み続けてくださいね。

                               12月19日  松井多絵子

   ◆ 浅羽佐和子 ◆

 1972年生まれ。2000年より祖父・浅羽芳郎の影響で作歌をはじめる。 
 2001年 未来短歌会入会 2002年短歌研究新人賞最終選考通過
 2009年 未来年間賞受賞

 


ありがとう、マスク

2014-12-18 09:21:30 | 歌う

               ~ ありがとう、マスク ~

 昨日午後3時からNHK俳句再放送を見た。マスクについての投稿句が面白い。

        一席 マスクして会ひたき人に会ひに行く  大久保文子

        二席 マスクとり二礼二拍手一礼す  小野豊

        三席 マスクしてどちらとも云えないのに丸 大綱健治

 この3句は今週の講師・小澤實が選出した句である。12月になるとマスクをかけた人が街に多くなる。わたしもその1人だ。会いたい人に会いに行くのではなく主に行き先はスーパー。マスクをかけると顔に当たる風は半減する。素顔で外出できる。でも神様を拝むときはマスクを外さないと祈願は伝わらないだろう。街頭でアンケートの調査に出くわしたときマスクをはずしたくないので、丸 にしてしまう。マスクを愛用している人ならこの3句はすぐに共感できるだろう。

 講師の小澤實は1956年長野県生まれ。藤田湘子に師事、俳誌 「澤」を主宰している。小澤實が選出した9句がテレビで放映され、そのなのかの3句が特選である。が入選
9句はそれぞれ良い句だ。私がとくに好きな2句をとりあげてみる。              

         ✿ マスクしてまつ毛の長い男の子   大渕久幸

 顔をほとんど覆うマスク、目だけが目立つ。白い布と目との境の睫毛が黒く冴えている。

         ✿ 口紅はたしなみマスクするときも  大平未知子

 口紅はマスクを汚すので私は塗らない、作者には睫毛の長い彼がいるのか。  

 マスクは鼻や口の部分を衛生的にする、防護目的で覆うために使われる。寝ている間、のどを潤すための濡れマスクは風邪の予防にもなる。その上 マスク美人にもなることができるのだ。目もとのメーキャップで目の美しさを強調する。冬だけ美人でもいいではないか。

                                 12月18日  松井多絵子