えくぼ

ごいっしょにおしゃべりしましょう。

国際結婚はするな

2014-12-11 09:13:02 | 歌う

            ◆ 国際結婚はするな ◆

 朝ドラの「マッサン」は楽しい。しかし切ないドラマでもある。日本の生活に慣れようとして苦労しているカナダの女性・エリーを見ながら私はK子さんをおもう。十数年も前にニユージーランドを周遊したときの現地ツアー添乗員だった若い日本女性のK子さん。

 K子さんがニュージーランドに滞在したのは語学留学のためだった。そこで知り合ったP君と結婚。日本の両親は猛烈に反対、親子の縁を切るとまで言われ結婚して5年過ぎても電話も手紙も来ない。P君は農家の息子でK子さんは彼の家族とおなじ農場で暮らしている。朝ドラのエリーのように姑に苛められることもなく、皆から大切にされている。

 しかし、K子さんは農場の手伝いだけでなく、P君が見つけてくる観光ガイドの仕事も忙しい。彼はK子さんとともに外食をしない。彼女の収入はすべて管理している。二人のための庭付きの豪邸を買うための貯金だという。嫁ぎ先の農家も質素だが、親戚知人などをホームパーティでもてなす。ガイドの仕事がないときはパーティの食事の支度や後かたずけ、泊り客の世話までしなければならない。彼女の話を聞きながら私は腹が立った。異郷で孤立無援のk子さんはP君や彼の家族に利用されているのではないか。上品で真面目で親切な女性。しかも体も丈夫で英語も堪能、稼げる女だ。P君は彼女に I love you を言うだけで甘い汁を吸っているのではないか。

 オークランドで彼女と珈琲を飲みながら日本から持ってきた塩せんべいを渡すと、彼女は
「まあ、懐かしい」と何枚も何枚も食べた。留学していた頃は実家から日本の食材が始終送られてきた。が、今は全く音沙汰がない。P君の農場ではカボチャも作っている。日本のほっくりしたカボチャとは違いサクサクしている。そろそろカボチャの収穫期になる。ガイドの仕事のない日は畑のカボチャを運ぶ。「重いです」。と言った彼女の言葉が今も重い。

 K子さんは中年のオバサンになってしまったか。子供はできたか。朝ドラを見ながら遙か彼方のニュージーランドをおもう。地球の奥座敷のあの静かな美しい楽園。K子さんも留学だけだったら素晴らしい思い出の国になったであろうに。◆ 国際結婚はするな!

                           12月11日   松井多絵子