~ ありがとう、マスク ~
昨日午後3時からNHK俳句再放送を見た。マスクについての投稿句が面白い。
一席 マスクして会ひたき人に会ひに行く 大久保文子
二席 マスクとり二礼二拍手一礼す 小野豊
三席 マスクしてどちらとも云えないのに丸 大綱健治
この3句は今週の講師・小澤實が選出した句である。12月になるとマスクをかけた人が街に多くなる。わたしもその1人だ。会いたい人に会いに行くのではなく主に行き先はスーパー。マスクをかけると顔に当たる風は半減する。素顔で外出できる。でも神様を拝むときはマスクを外さないと祈願は伝わらないだろう。街頭でアンケートの調査に出くわしたときマスクをはずしたくないので、丸 にしてしまう。マスクを愛用している人ならこの3句はすぐに共感できるだろう。
講師の小澤實は1956年長野県生まれ。藤田湘子に師事、俳誌 「澤」を主宰している。小澤實が選出した9句がテレビで放映され、そのなのかの3句が特選である。が入選
9句はそれぞれ良い句だ。私がとくに好きな2句をとりあげてみる。
✿ マスクしてまつ毛の長い男の子 大渕久幸
顔をほとんど覆うマスク、目だけが目立つ。白い布と目との境の睫毛が黒く冴えている。
✿ 口紅はたしなみマスクするときも 大平未知子
口紅はマスクを汚すので私は塗らない、作者には睫毛の長い彼がいるのか。
マスクは鼻や口の部分を衛生的にする、防護目的で覆うために使われる。寝ている間、のどを潤すための濡れマスクは風邪の予防にもなる。その上 マスク美人にもなることができるのだ。目もとのメーキャップで目の美しさを強調する。冬だけ美人でもいいではないか。
12月18日 松井多絵子