えくぼ

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女性たちの貧困

2014-12-20 09:22:07 | 歌う

            ・・・ 女性たちの貧困 ・・・

♠ 新宿の都庁の地下のガレージが寝室だなんて住処なき人の   松井多絵子

 10年位前から私の旅はほとんどツアーである。行きたいところを効率よく案内してくれる。歌友たちには単身で旅をしている人がかなりいて著名な歌人の生家や歌碑を見逃さない。でも私の旅は楽しむためだ。ツアーの企画に任せれてのんびり車窓の景色を楽しむ。ツアーの種類の多いクラブツーリズムを利用することが多い。家から便利な新宿都庁地下ガレージから私の旅が始まる。5年位前まで此処が深夜はホームレスの棲家だった。

♠ 折りたたみの長椅子たたまれその上に毛布と枕とボストンバッグ

 ツアーの集合時刻が早朝の場合、わたしはホームレスが毛布や椅子をたたんでいるのを度々見た。身なりも普通だ。街で見かけてもホームレスには見えないだろう。初老の普通の男たち。しかし女性はいなかった。女性のホームレスを見たのは公田耕一の歌に詠まれた処を辿ったときである。横浜の長者町を過ぎて古いビルの前の路上の一人の女性。

♠ 長者町ここに住む人みな長者、そんなことない風が冷たい

 あれは十月の末、まだあたたかな午後だった。私はホームレスの集まっているらしい場所を通行人に聞いた。年配の女性はカメラを提げていた私をレポーターと思ったらしく案内してくれた。少し風のある日だったが、路上の陽のあたる場所に足をなげだすように座っている男たち、それぞれ少し距離をおき みな無言、昼寝をしているように見えた。私を案内してくれた女性は「怖いから帰ります」と消えてしまった。そのとき、私にきつい視線をむけている女のホームレスが 「写真なんか撮らないでよ」と私に向かって言う。怖かった。あの女性は何歳だろうか。なぜホームレスになったのか。私が見たホームレスは例外なく無気力な感じの男たちだった。しかしあの女は勝気に思えたが。なぜ働かないのか。

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 朝刊の『女性たちの貧困』。この本の広告は私を更に寒くする。NHKクローズアプ現代
「あしたが見えない」で女性たちの貧困」をとりあげ、大反響を呼んだらしい。残念だが私
は見ていない。ホームレスは男性ばかり。経済力が乏しい女性にはいないのが私は不思議だった。日本人の貧困率は高齢女性層。若い単身女性の3人に1人。女性の路上生活は危険なため隠れたホームレスが多いらしい。2年以上もネットカフェで暮らしている女など。

 あるヘルパーさんは言う。✿やる気があれば仕事はいくらでもありますよ。力仕事。清掃などは人手不足。キレイな職場で働きたい楽な仕事、カッコいい仕事で稼ぎたい女が多い。と
    当たるのは奇跡の宝くじを並んでまで買う人々はホームレス予備軍ですよ。

                             12月20日   松井多絵子