えくぼ

ごいっしょにおしゃべりしましょう。

殻ちゃん~32回

2014-12-12 09:15:40 | 歌う

           ・・・ 殻ちゃん~32回 ・・・

 夏休み第一日の殻ちゃんは11時半に昼食をすませ、QA会へ行く。途中で図書館に寄るつもりだったが止めた。この夏休みは本を読むのを楽しみにしていた。図書館に寄って本を借りたら勉強する時間が無くなる。図書館を素通りしQA会へ。テストの始まる25分前に。
ビルの入り口の隅にあるベンチに座り代数のプリントを開く。その時、タワー君が現れる。

 殻 ♠ 「あら、足立さん、ちょうどよかったわ。この問題がわからなくて、、。」

 足立♠ 「これですか、僕も始めは理解できなかった」 タワー君はメモ帳にボールペンで。

       Y= と書く。長い指。きちんとした字だ。「ここが大事です」とボールペンは赤に。

       三度繰り返して、ムダのない説明。殻ちゃんは理解できた。

 殻 ♠ 「わかりました。昨晩ここを考えていたら眠ってしまって、助かりました」、

 40分の数学のテストはタワー君とは別の部屋。終わるとすぐに阿部先生に呼ばれて小部屋で個人指導だ、第1問、こんな初歩的な計算を間違えるなんて困るね。第3問も途中から狂ってる。しかし一番難解な第4問、これは完璧だ。キミは意外に優秀なんだなあ」

 殻 ♠ 「実は、この問題、さっき足立さんに教えてもらったばかりで、、」

阿部 ♠ 「彼は熱心に勉強している。ときどき教えてもらうといいね」

 数学の後は英語、古文のテスト、まあまあだった。ホッとしてQA会を出て殻ちゃんはビルの外でタワー君を待っていたが現れない。神山中の顔見知りの女の子が三人出てきた、男の子も二人出てきたがタワー君は現れなかった。帰宅するとアキが「テストはできた?」と聞き、「タワー君は来てた?」と聞く。殻ちゃんは首をふるだけで部屋にこもってしまった。

 夜の10時すぎ、勉強の途中でベランダで深呼吸する殻ちゃん。夏の星座がローマ字に見えたり、数字になったりする。タワー君の長い指が星を動かしている。星が瞬く。

          まだ続きます。どうぞヨロシク。 12月12日 松井多絵子