えくぼ

ごいっしょにおしゃべりしましょう。

謎の歌人・木下こう

2014-05-25 13:33:39 | 歌う

        ??「謎の歌人・木下こう」??

 木下こう様  ご歌集ありがとうございます。5月12日初版発行、生まれたばかりの卵のような『体温と雨』という白い歌集に、私は引きこまれております。歌誌「未来」に大辻隆弘選歌欄が数年前に発足し、木下こうという歌人が現れて、従来の短歌とは異なる作品を次々に発表、初心者とは思えぬ作品なので、パソコンで検索しましたがわからない、2011年度の「年間未来賞」を受賞されましたが、授賞式にはご欠席でしたね。

 ✿ ママ、ママとまちがへながら吾に来し子は春に降る雨の目をして、

 「雨の目をして」という表現に戸惑いました、が、この結句で魅力的な歌になりましたね。あなたは小さいお子さんのママで忙しい方なのでしょうか。

 ✿ でたらめに砕けたものがなめらかな水に浮かんで昼がきれいだ

 ✿ とめどなく春であることおそろしい石垣の間にもなにかが芽吹く

 ✿ 雨垂れの音飲むやうにふたつぶのあちさゐ色の錠剤を飲む

 このような歌に出会いますと、私の歌がいかにも平々凡々におもえてきます。あなたが師事していられる大辻隆弘氏は国語の先生、その先生の解説で

 ✿ 窓がみなゆふぐれである片時のアビタシオンに人のぼりゆく

「窓がみなゆふぐれである」という表現に驚いた。窓がそのまま「ゆふぐれ」だという断定はかなり強引だ。と大辻先生は書いていられます。あるいはこの強引な表現があなたの作品の魅力のようにも思えます。歌集を読みながら微睡む私が『体温と雨』は読むほどに体温が上がり深夜の私を眠らせません。私をボケさせない歌集ですね。アリガトウ。

 ✿ けふもまた冷たいドアを鎖すとき鉄より鉄をぬきさりし音

 木下こう様 この歌はコワイです。『体温と雨』の数々の歌に圧倒されながら、、。
                                  5月25日  松井多絵子

        

 


セブンイレブン40歳

2014-05-24 09:32:45 | 歌う

           「セブンイレブン40歳」

 ❤捨てられた猫がまもなく拾われるコンビニ裏の「ふれあい広場」  松井多絵子

 3・11のあのとき、何処で何をしていたか、今でも話題になる。でも話したがらない、話をそらす人もいる。D子がその一人、彼女は初老だがかろうじて美しく、色っぽい。真昼の情事などと私は妖しい想像をしてしまう。3・11のときの私にはアリバイがある。近所のセブンイレブンにいたのだ。卵を買うために入ってまもなくグラグラグラグラ、向かいの3階のビルが左右に揺れ出した、もし前後に揺れたら店が潰れる、私は下敷きになる。恐ろしかったあの瞬間。

 わが家の近くにセブンイレブンが2店もある。でも食品はほとんどスーパーで買う。セブンで買うのは卵、牛乳、豆腐位だが、雨の日、疲れている時など徒歩4分のセブンはありがたい。日本にセブンイレブンができたのは40年前の5月15日。東京・豊洲が1号店。コンビニは全国で今5万店を超え、高齢化とともにコンビニが増えるらしい。近頃は野菜も少し並べてあり、惣菜の種類も増えている。旅先では「おにぎり」や「サンドイッチ」を時々買う、飲み物もよく買うが、夜中に入ったことは1度もない。強盗につかまりそうで深夜のコンビニには入らない。

 ❤コンビニはいつ眠るのか真夜中もあかりのなかに動くにんげん  

                            5月24日   松井多絵子 


速成の「考える力」

2014-05-23 09:31:53 | 歌う

             「速成の♦考える力」

 ❤『考える力をつける』という本が売れているとは考えものだ  松井多絵子

 今日の朝刊の本の広告にデカデカと♦続『考える力をつける本』の広告。100万部突破のベストセラー!100万部も売れたのは「続」ではないらしい、初代の「考える力」の本の広告も添えてある。「試行錯誤しながら考える力をつけるのだ」などと呑気なことを言っていたらこの世から落ちこぼれてしまうかもしれない。迂回し迷いながら生きてきた私 今からこの本を読んでも間に合わないとは思うが気になる本である。~勉強法、議論の作法から歴史の使い方、これは私にはもはや手遅れだ。しかし「人生の楽しみ方」は参考にしたい。

 ◆頭と心を刺激する知的実用書◆

 ♦「わからない」を前提として出発しよう

 ♦わからなくなったら「さかさまにものを見る」

 ♦歴史の中にある「無数の伝記」を読む

 ♦より「公平な考え方」に近づくには?

 ♦「考える力」を鈍らせる四つの症状

  これらがこの本の著者が最も云いたいことらしい。「なるほど、いいことを云っている」と納得する。著者はどんな人か。パソコンで調べようとしたが、?田隆史 姓の最初の字が読めない。漢和辞典で調べていたら目が疲れて、パソコンで検索しても作者名にルビがない。私の検索の力はお粗末なので歌友2人に問い合わせたが彼女たちも「さあ、ねえ」である。
この本の著者名も「考える力」が要るのだろうか。私には更に住みにくい世になってきた。

    今日はわたしの目たちを遊ばせるために、これから公園へ行きます。

                          5月23日  松井多絵子

 

 


居場所ない人

2014-05-22 09:15:56 | 歌う

            「居場所ない人」

❤炊き出しのカレーをもとめる人びとの列は左へ左へと曲がる  松井多絵子

 『JR上野駅公園口』という小説を柳美里が刊行した。構想から12年というホームレスの苦痛と原発事故の被災者の苦痛がテーマらしい。上野駅公園口はクラブツーリズムの集合場所、ここから旅がはじまる、わくわくする場所。私には天国への入り口だが、この小説では地獄への入り口なのか。5月20日朝日夕刊の40何歳かの作家・柳美里の視線がコワイ。

 長い出稼ぎの末に家を出てホームレスになった男は昭和8年、天皇と同じ年に生まれた。73年後、日本学士院から帰る天皇皇后の車を上野公園で見送る。その日は、ホームレスの「山狩り」と呼ばれる「特別清掃」の日で、コヤをたたんで公園の外に出た。 そのとき。
目の前を過ぎる天皇の車。 まるで自分の人生を見送るように車を見送くるホームレス。

 柳美里はなぜホームレスを描こうとしたのか。♠ 「私に一貫しているのは居場所のない人のために書くこと。自分自身、家にも学校にも居場所がなかったし、日本人でも韓国人でもないという部分もある。3・11後に構想が大きく変わり福島県に通い住民と語り合う番組♠ふたりとひとり を始めて先週の放送で108回になる」 そうである。

 「上野にはいろんな歴史の地層が重なっているので、これをめくっていきたかった。ホームレスと、天皇がすれ違うのは一瞬だが、日本の歴史は天皇の生きた時代でもあるので、正面から取り組んだ」。柳美里の腹の底からの声が私に迫る。

 ❤住むところあれど心の住処なきわれを羽毛のコートが包む 
                         歌集 『厚着の王さま』より

        5月22日  柳美里さんの熱気で朝から暑い。 松井多絵子                            

          


永田和宏の歯

2014-05-21 09:33:40 | 歌う

            「永田和宏の歯」

❤白玉の歯にしみとほる秋の夜の酒はしづかに飲むべかりけり   若山牧水

 「この一首は牧水の代表歌であり、わが国の酒の歌のベスト3に入る歌である」と永田和宏は岩波新書『近代秀歌』のなかで解説している。その永田がテレビのNHK短歌で「歯」をテーマにしていた。ゲストは◆山中伸弥 ノーベル賞のあの山中伸弥である。氏はかつて京都大学で永田の研究室のお隣さんだった。二人は飲みながら話すように短歌について語りあっていた30分間。5月18日の永田選入選歌は三席までを抄出する。

一席 色違う歯ブラシ二本並ぶ訳訊かず帰れば土手にたんぽぽ (三重県) 北村保

二席 歯痒さを覚えるぐらいがちょうどいい手をさしのべず見ている背中(神奈川)高松紗都   子

三席 歯の白さ立候補者は手袋を外さぬままに握手を交はす (広島県) 熊谷純

 若山牧水の格調の高い歌とは違う日常の、ささいな場面をさりげなく詠んでいる3首。それぞれ「いいなあ」とおもう。「歯」は私たちにあまりにも身近なので、歌にでてくることが少ないような気がする。旅をしなくても歌はできるのだ。山中伸弥氏は「短歌は論文」だとおっしゃる。だから永田和宏選者が短歌と研究を両立させることができるとか。私には難しくて、でも何となく、そいうものかと思った。山中氏は母堂の短歌を披露されたがここに記すのは割愛する。それにしても永田和宏氏の歯は、歯並びはどんなだったかしら。来月の放映の時に見ましょう。金歯は?入れ歯?そんなことないでしょう。?
                                     5月21日  松井多絵子