「短歌結社の賞」
いま短歌の結社はいくつぐらいあるか。700前後ではないかと歌友の1人は言う。多数の会員のいる大結社では、気の合った仲間で作るグループ誌が絶えず創刊し、休刊したりで、結社の実態は掴みにくい。さらに各結社の賞は知りかねる場合が多い。♠現代短歌新聞の5月5日に♠結社の賞の記事があり、受賞者とその作品1首が掲載されている。
★慶短歌会賞 岩井鉱冶郎
岩礁に砕ける浪の飛沫より海の体臭立ち上がり来る
★徳島歌人賞 横田真知子
この冬もしもやけずらり手袋にほこほこぬくく指がやすらふ
★薔薇祭賞(作風) 酒井佐忠
橋わたるときにゆゑなく立ち止まることのしばしば星夜でもなく
★やまなみ新人賞 井口登志子
農業を止める決心のつかぬまま植えし早苗に風の凪ぎゆく
★短歌海流賞 森永壽征
伸び立てる松の数多が位置占めて白砂青松よみがへりたり
★原始林賞 古室俊行
かすかなる風に真昼をもみち葉は一ひら落ちてまた散りきたる
★山茶花新人賞 桐野直子
チェーンソーは細枝一本残したりニッケイの樹の裏庭オブジェ
★コスモス桐の花賞 河合育子
体よりはみ出しながら伸びをしてしろき月夜にしんとつながる
※ あの彼の歌が、あの彼女の歌が。この8人のなかにありますように。
5月6日 まあまあの晴れ 松井多絵子