えくぼ

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殻ちゃん~⑳

2014-05-10 09:27:00 | 歌う

             「殻ちゃん~⑳」

❤あれこれ悩む前に一歩でも前に進んだほうがいい。  (林真理子語録より) 

 今年の2月1日、殻ちゃんは神山学園中等部を受験した。公立の中学に進むつもりだったが、小学校のでの殻ちゃんの成績が良くない。特に算数がダメ。学校の授業から落ちこぼれないように、5年生になってから近くの塾へ通いはじめたのだった。生徒は10人程度。先生は若い女性の川上先生が1人。でもこの1人が殻ちゃんの女神になってくれたのだ。6年の秋から、算数の成績が急上昇、そして大手の進学教室で試してみた、模擬試験で難関中学の合格圏に入ったのである。

 アキは殻ちゃんの成績の急上昇を喜びながらも戸惑った。マンションのローンを抱えて、娘を私立に進学させる余裕がない。でも川上先生は「受けないと後悔しますよ」と云い、水口も「僕ももっと働くよ」と。神山学園はマンションがらかなり近い。最寄の駅から2つ目だ。歩いても30分程度である。
 2月1日は殻ちゃんを試験会場まで送り、アキはすぐ帰宅した。珈琲を飲みながらテレビを見ていたら、何とユイが画面に現れた。「この春の原宿の服」を紹介しているユイが。

 ✿「さっきオラの横を過ぎて神山学園に行った女は他人のソラ二さ。でもテレビの原宿は4日前の録画。髪形も同じのあのユイだ。一緒にいた少年はユイの息子だな。きっと」

 夕方、殻ちゃんが歩いて帰宅した。途中の本屋で立ち読みをしたらしい。

  殻◆「とても難しかったよテストは。だめだよ。きっと。」

 アキ✿「高校でまた受ければいいよ。公立の中学はすぐそこだし、給食も出るし」

 などと言いながらアキは不意に「ゼッタイ合格させたい」と思った。もしユイの息子が合格して、自分の娘が不合格なんて。発表は水口が見に行き、電話で「合格」を知らせてくれた。アキはなぜかユイのことを水口に話さなかった。ユイの息子の合否が気になる日々がつづく。
さあ、どうなることでしょう。これから先は。あれこれ悩んでいる場合じゃないですよ。神岡学園は難関の受験校ですからね。殻ちゃん、落ちこぼれないように勉強してね。 (つづく)

 5月10日、朝日朝刊の✿マイストーリー、林真理子はますます松井多絵子に接近。