えくぼ

ごいっしょにおしゃべりしましょう。

立春の初雪

2014-02-05 13:58:59 | 歌う

             「立春の初雪」

 昨日の関東地方に昼過ぎから雪が降った。立春の日の初雪である。気象庁によると強い寒気を伴った気圧の谷が東日本付近を通過した影響らしい。夕方から木々は雪化粧しはじめたが、今朝はいつもと変わりない。雪はどこにも残っていない。昨日の雪は幻のようだ。雪の名歌は多いが、わたしの雪の歌は少ない。歌集『えくぼ』『厚着の王さま』から6首を抄出。

      ☁ 雪を脱がない山      松井多絵子

めざめれば辺りの緑は消えうせて雪の白さがからだに沁みる

雪の日はひねもすマナーモードにて炬燵をはなれることができない

こんなときもし八本の腕あらば四面に顔があらば、あれかし

雪の日の地下街をめぐりいて思う縄文杉の根のゆく先を

晴れたなら明日は会えないかもしれぬ雪にて作りし「考える人」

まだ雪を脱がない山を引き寄せて引き離してゆく高速バスは

     雪国のみなさま 雪は美しく恐ろしいですね。

              2月5日  松井多絵子


太宰治は2月の男

2014-02-04 13:19:06 | 歌う

        「太宰治は2月の男」

 送られてきた「旅の友」を開くと雪景色、そのなかを走る汽車は津軽鉄道ストーブ列車。車内
はストーブ完備らしい。わたしが津軽を訪ねたのは2004年5月だったので寒くはなかった。
このツアーは羽田から飛行機で秋田へ。鯵ヶ沢温泉に1泊、翌日、十三湖から竜飛崎、そして金木へ。太宰治の生家「斜陽館」を見学したのち津軽鉄道名物・ストーブ列車に乗る。今頃はさぞ寒いだろう。斜陽館に展示されていた太宰治の直筆は五月でも寒そうだった。彼は2月の男か。

         斜陽の館 五首   松井多絵子

白い壁、白いテーブルその上のメモには何も書かれていない

読まれないとき本棚の本はみな直立不動、太宰治も

あの冬のきりりと冷えた夜だった『斜陽』の扉をひらいたときは

力なき字にて書かれた原稿が「斜陽の館」に曝されている

われを乗せ金木駅より「メロス号」走れば津軽平野も走る

   今夜は東京でも雪が降るかも、寒さが太宰治を私に近づけます。

                 2月4日  松井多絵子


 がんばれ神田香織さん

2014-02-03 13:42:27 | 歌う

           「がんばれ神田香織さん」

❤初春や遠く聞こえる軍靴の音  香織

 2月3日の朝日俳壇と歌壇のはざまに、短い評論を書いているのはの神田香織さん。
俳人でも歌人でもない講談師である。神田さんはジャズ講談や一人芝居の講談を次々に発表し、講談の新境地を開いている。9年前の「チェルノブイリの祈り」は旧ソ連で起きた原発事故の実話を伝え、再び悲劇が起こらないことを願った。しかし東日本大震災。神田さんの生家は福島第一原発から55キロのいわき市小名浜の近くである。津波の被害は免れたが家は半壊、そこに今でも80代の両親が住んでいる。周りは新築または更地、コミュニティは崩壊しつつある。

❤散る桜残る桜も散る桜  良寛

 あの桜並木をもう誰も愛でることはできない。大震災から間もなく3年。震災のストレスから父上の両脚が丸太のように腫れ上がったが、医者にかからず1か月後に完治。よかったですね。神田香織さんも父上のように逞しい方。社会派講談師としてがんばってください。

  ♪♪ 転んでも起き上りましょう失くしても取り戻しましょう春が近づく

              2月3日  松井多絵子   

 

 


ブロッコリーの森

2014-02-02 13:20:56 | 歌う

            「ブロッコリーの森」

❤冷蔵庫のなかに小さき森がありブロッコリーの大きかたまり  松井多絵子

 エアバスが着陸のため高度を下げてゆくと、山や河や野のなかに緑の大きなかたまりが
目につく。冷蔵庫の野菜室のブロッコリーが中空から見下ろす森のように見えてくる。葉緑素をたっぷり含んだ、体によい野菜だろう。野菜が少なく高い2月は特に貴重である。それなのに私は
つい最近までブロッコリーの茎は棄てていた。ある日、昼食にカレーを食べたくなったが玉ねぎがない。仕方がないのでブロッコリーの茎を細かく刻みレンジで2分チンして、カレーのルーに入れ、
長ネギ、人参のみじん切りに鶏のから揚げ入れ、おいしいカレーライスを食べることができた。それからは茎のみじん切りをレンジでチンしたのち冷凍、カレーやシチュウに使っている。

 この茎はまだ色々使い道がある。市販されているキムチ漬けはおいしいが塩からい。夫はやや高血圧なので、キムチ漬けには、大根、ニンジン、きうりの千切りを加えて食べている。ブロッコリーの茎の千切りを入れ2日後に食べたらとてもおいしい。シャキシャキした食感が食欲をそそる。

  ブロッコリーの茎を棄てている方、もったいない。でも私だけかしら棄てていたのは。

                       2月2日  松井多絵子


迷わない櫻井よしこ

2014-02-01 13:37:13 | 歌う

           「迷わない櫻井よしこ」

❤しかしながらしかしながらというように歩いているかも裸か木の道  松井多絵子 

 迷いながら生きている、歌ひとつ詠むのも言葉をあれこれ迷う私、迷わない人なんて
眩しい。土曜の朝刊の本の広告のなかでもひときわ目立つ、文春新書13万部『迷わない』の著者は櫻井よしこ。国内外の諸問題に警鐘を鳴らすジャーナリストである。68歳でも勝ち組の女。

 半世紀前、わたしが娘の頃の親たちは、自分の娘が売れ残ることを恐れた。コワイ娘という噂になったら未婚の男たちに嫌われる。可愛げのある娘に育てようとする風潮があったのだ。私たちの世代には政治のことなど知らない女や、川柳をつくる女が少ないのはそのためなのか。
 しかし櫻井よしこは違う。はじめてテレビで見たときから優雅な女だった。美人の政治の話は男たちも歓迎するのだ。やはり美人はトクだ。68歳になっても若い男性の読者や視聴者が多いと
は。『迷わない』が13万部も売れるとは。彼女の賞味期限はまだまだ続くのか。

 波乱万丈の人生を乗り切るための<よしこ流生きるヒント>を初公開。※ご参考までに。

◆18歳で単身ハワイに渡航 ◆父親との葛藤と勘当 ◆赤字続きの駆け出しフリー記者

◆離婚の痛手をどう癒したか ◆大組織に突きつけた人事要求 ◆16年でキャスター降板

 の真相 ◆母の介護で気付いた、深い愛情

    広告の櫻井よしこは笑ってる。強い女の笑顔は眩しい
                          2月1日  松井多絵子   

            。