「精神科医のつぶやき」
2月21日、北冬舎から私に歌集が送られてきました。菊野恒明第三歌集『望郷の医局』。
著者は「未来」に所属し、誌上でお目にかかっていますがお会いしたことがありません。歌集にはご住所が記されていませんので、ブログでごあいさつすることにしました。
菊野先生 ご歌集ありがとうがざいます。2月20日に誕生したばかりの歌集をいま拝読しております。「いいなあ」と思う作品がたくさんありますので、まだ読み始めですが書きます。
✿秋田市の市民市場に東京都産小松菜を買い求めたり
✿これは夢はたまた現つかたわらに妻ではあらぬ女が眠る
※ 精神科の先生も普通の方なのだと、この2首を読み安心しました。
✿妻は今朝東京へ発つ血便のわれに下りしを知らされぬまま
✿しばらくの大腸内視鏡検査までの猶予を酒にひたらむ
✿いまわれは壁に真向い座りおり鶏卵大のしこりに触れて
※ 24頁の先生の大腸癌を思わせる歌。医師自身の癌への怖れ、動揺。具体的ですね。
✿八時から五時まで人の目に触れるところで仕事をせよと院長
✿明日から月火水と休みますおっとりと医者が患者に告げる
※医師が病院を批判する、大胆で、説得力があって。ただの主婦の私は負けちゃいます。 菊野先生は1948年生まれで私よりかなりお若い。でも作品を読んでますと年上の方に思えます。いまのところ私は精神科には縁がなく、歌人の先生にお会いしたいです。
2月23日 松井多絵子