えくぼ

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逆境の華

2014-02-15 14:14:57 | 歌う

         ✿✿ 「逆境の華」 ✿✿

★すべるとき豹の目となる氷上の羽生選手の光と陰と  松井多絵子

 ソチ五輪で金メダルを得た羽生選手の映像を見ながら、雪国を想い中城ふみ子を想った。60年も前に夭折した北海道の歌人・中城ふみ子を。乳癌、離婚、失恋などの逆境から名歌が生まれたのだ。羽生は2歳の頃からゼンソクに悩まされ、今も飲み薬は朝晩2錠。吸入薬も欠かせない。
ねんざした足首には補助のテープ。普段の練習は2時間以内。硬い上半身をほぐすため全身15か所につねにハリを入れている。寝返りを打てないときもある、そんな青年は私の周りには1人も
いない。しかも日本中の期待を一身に背負っている。19歳の彼に申し訳ない気がする。

 近頃はあまり使われないが、ハイリスク・ハイリターンという言葉。五輪の試合そのものだ。私は長いこと短歌をやってきたが、さほど評価されない。が、体を痛めるほど努力してはいない。私のしていることは、ローリスク、ローリターンなのである。羽生選手よ、金メダルの輝きのなかに思いきり浸ってほしい。心も体も金色になるまで。いま私の窓に西日がやってきた。

 ☀ 西日ふかく入りきて蓮の花ひらく無名の画家の描きし素描  
                           2月15日  松井多絵子