「第二ホームレス歌人」
昨年12月から朝日歌壇にまたホームレス歌人が現れた。私が4年前に追いかけた初代ホームレス歌人・公田耕一がはじめて朝日歌壇に現れたのはやはり12月。なんだか二番煎じ。
でも今日の宇堂健吉さんの歌はいいですね。
☆☆☆途方もなく空ひろかりきリュック背負ひホームレスの道踏み出ししとき
(ホームレス) 宇堂 健吉
※ 旅をしているとき私は「空ってなんて広いんだろう」って思うことがよくあります。空はいつもと変わりないのに。家にいて洗濯物をベランダに干すときに見る空と旅先で見る空は違う。私の気分が違うからでしょう。解放感でしょうか。ホームレスは旅人。わたしがホームレスに関心があるのは放浪癖のせいかもしれません。短歌を詠めば詠むほど旅をしたくなる。詩歌はさまようこと、あてどなく彷徨うことに思えます。もうじき春、空はやさしくなりますよ。宇堂さん。
宇堂健吉さんの歌を選ばれたのは高野公彦・馬場あき子・佐佐木幸綱の三人の選者。
佐佐木選者は第一席に選出。「評」は「思い出の中の空の広さは、寄る辺のない孤独と自由の象徴だろうか」 宇堂さんの次の作品を楽しみにしています。
2月24日 松井多絵子