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永田和宏の人生の節目

2015-03-13 09:07:27 | 歌う

              > 永田和宏の人生の節目 <

 近くの書店で 『人生の節目で読んでほしい短歌』 を見つけた。著者は永田和宏。NHK出版新書。活字がやや大きくて読みやすい。「恋の時間」から始まり「卒業」「結婚」、そして「老いの実感」。いま私は「青春の日々」を読んでいる。いつまでもこの章を読んでいたい。

 ✿ 過ぎゆきてふたたびかえらざるものを なのはなばたけ なのはなの はな
                                        村木道彦 『天唇』

 村木道彦は、1964年、『ジュルナール律』というパンフレット形式の雑誌で、「緋の椅子」
十首をもって、衝撃的なデビューをしました。(略)、ひらがな書きを多用し、青春のある一時期の、感性の微妙なさざなみを掬いあげるように詠ったのでした。(以下も永田の解説)
 掲出歌にもその特徴はまぎれもなく表われています。「過ぎゆきてふたたびかえらざ、、」、
それは時間であり、また青春そのものでもあるでしょう。そんな思いは誰にもあるもので特殊なものではない。むしろ平凡と言ってもいい。しかし、この一首ではそんなある意味平凡な感慨が、下句で一転して緩やかなひらがなのリズムに転調することで、俄かに切実な響きをもってくるということではないでしょうか。

 永田のこの解説は、なのはな を 更に私に近づける。冬の終わりを告げるように咲き始める菜の花、足もとから広がる黄の花のじゅうたんは明るい気分にさせてくれる。桜が満開のころも咲き続ける権現堂桜堤と菜の花畑は、まるで花の二重奏だ。ここを去りたくないとおもうのは、青春のままでいたい願望だろう。私の菜の花の歌は、平仮名ではない。なぜか「菜の花」ばかりだ。「菜の花の彼方に海」は私の大好きな景色だ。

      ✿ 菜の花が苦しくなるほど黄色くて相模の海をながめていたり 
                                 3月13日   松井多絵子

 


 

 


それは