子どもの体力テストの結果が今年急激に低下した。その原因のひとつとして、スポーツ庁は「スマホ」の使い過ぎをあげている。
以下はニュースの引用である。
スポーツ庁は23日、小学5年と中学2年の2019年度「全国体力・運動能力、運動習慣等調査」(全国体力テスト)の結果を公表した。実施種目の成績を点数化した「体力合計点」は08年度の調査開始以降、女子が上昇傾向、男子も横ばい以上で推移してきたが、いずれも大幅に低下した。男子が顕著で、小5男子は過去最低、中2男子も過去5年で最低となった。
スポーツ庁は背景として、(1)授業以外の運動時間減(2)スマートフォンなどの使用時間増(3)小中男女の肥満増―などがあると指摘。運動習慣の確立とともに、運動時間を延ばす施策を推進する。
スマホのせいで体力が落ちるという発想は世間的に受け入れやすいものである。しかし、今回の分析の結果としての体力低下の原因とするのはあまりにもおかしい。なぜなら、もしスマホのせいならば、去年まで横ばいや上昇傾向であったことが説明がつかなくなるからだ。スマホが原因ならば今年になってからいきなり子供たちがスマホを使いだしたということになろう。そんなことはないのは明らかだ。
こういう短絡的な分析をする役所があっていいのだろうか。スポーツ庁の職員こそスマホの使い過ぎで論理力が低下しているのではなかろうか。
しかもその無理な分析をそのまま流すマスコミも愚かである。マスコミは論理の力で生きている。それなのにマスコミがこんな愚かな分析に対して、無批判に記事を垂れ流している。これは近年のマスコミの劣化を示すものであろう。
大げさにさわぐような話題ではないかもしれないが、こういうところにも近年の日本の行政とマスコミの劣化があらわれている。
私も子どものスマホの使い過ぎはよくはないと直感的に思っている。しかしその分析はもっと慎重な調査と分析によるものでなくてはならない。