
子どものいじめを題材にした、映画『Playground/校庭』を見ました。子どもの視点からいじめを描き、大人の関わり方の難しさを実感させる映画でした。
小学校に入学したノラは内向的で兄のアベルを頼りにします。しかし兄のアベルは上級生からひどいいじめを受けています。ノラは兄を助けようとするのですが、兄はノラの助けを拒否します。ノラに告げ口でもされたらもっとひどいいじめを受けてしまうことは目に見えるからです。
次第にノラにも友達ができ、学校の中で活動できるようになるのですが、アベルへのいじめはエスカレートしていき、とうとうノラは父親に打ち明けます。それがさらにいじめを悪化させていきます。大人には子どもの世界が見えないのです。ノラとアベルの関係までが壊れていきます。
この映画のすごさはその様子をドキュメンタリー映画のような撮影をしているということです。演出感が消えているのです。しかもカメラは基本的にノラの視線の高さをキープします。子どもたちには大人の顔が見えません。同じように大人たちには子どもの顔が見えないことを示唆しています。
大人は相談してほしいと言うのですが、大人に相談しても意味がない、逆に悪くなるということを子どもは感じています。これがこのカメラワークによって実感できるのです。
ラストシーンの兄妹の抱擁は、それでもこの二人には救いが待っていることを予感させてくれます。子どもの力を信じたいと思いました。
いい映画でした。
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