まさおさまの 何でも倫理学

日々のささいなことから世界平和まで、何でも倫理学的に語ってしまいます。

哲学カフェ@法政哲学会

2016-05-13 21:05:03 | 哲学・倫理学ファック
このところイベント紹介ばかりになってますが、

再来週の週末にはわが母校である法政大学で 「法政哲学会第36回大会」 が開催されます。



今回の目玉は何と言っても 「哲学カフェ@法政哲学会」 です。

昨年出版された 『連続講義 現代日本の四つの危機 哲学からの挑戦』 に関わった者のうちの3名、

「民主主義の危機と哲学的対話の試み」 を書いた私と、

編者であり 「パイデイア哲学カフェ@すぎなみ」 の主催者である齋藤元紀さん (高千穂大学) と、

哲学プラクティスの専門家で 「対話としての哲学の射程」 を書いた梶谷真司さん (東京大学)、

この3名がファシリテーターとなって学会参加者全員を巻き込んで哲学カフェを開催します。

哲学カフェもだいぶ社会に浸透してきたようですが、

とはいえ法政哲学会のメンバーで哲学カフェをはじめとする哲学プラクティスに関わっている方は、

ほとんどいらっしゃらないことでしょう。

そこで、当日参加される方に配布するために次のような趣旨説明文を作成しました。


法政哲学会第36回大会(2016/5/28)特別企画
哲学カフェ@法政哲学会「市民とともに『哲学する』とは?」
<趣旨・内容説明>
近年「哲学カフェ」や「子どものための哲学」など、「哲学対話」や「哲学プラクティス」と呼ばれる活動が日本全国に広まりつつあります。今回の法政哲学会では特別企画として、そうした実践に取り組んでいる3名をファシリテーターとしてお迎えし、哲学カフェを開催します。
前半は3名相互で「哲学対話」の形式により「哲学プラクティス」がいかなるものであるかを語り合っていただきます。「哲学対話」の具体的な進め方を体感しながら、全国各地で行われているさまざまな哲学プラクティスの実例に触れることができるでしょう。後半は質疑応答形式ではなく、参加者の皆さまにじっさいに「哲学対話」に参加していただき、市民とともに「哲学する」とはいかなることかを互いに対等な立場で考え語り合いたいと思います。
なお、哲学カフェでの対話にはさまざまな形式がありますが、今回は比較的一般的な「オープンエンド」形式で行います。全員の合意する一つの結論にたどり着くことではなく、対話の流れを感じとりつつ、最終的に多くの疑問点や謎が増え、思考が深まることを目的とします。
参考文献:梶谷真司「対話としての哲学の射程 ―グローバル時代の哲学プラクティス」(齋藤元紀編『連続講義 現代日本の四つの危機 哲学からの挑戦』講談社選書メチエ、所収)

<対話のルール>(「てつがくカフェ@ふくしまの進め方」より転載、一部改変)
1.お互いに対等な立場で話し合ってください。
1-1.参加者の中に例えば上司と部下、教員と教え子等がいたとしても、この場では上下関係は忘れて、対等な参加者として話し合ってください。
1-2.そのために 「○○先生」 など敬称をつけて呼ぶのはやめ、お互いに 「○○さん」 とかニックネームなどで呼び合ってください。
1-3.哲学その他に関する専門知識があるかないか、多いか少ないかということを争う場でもありません。知識の多寡ではなく、論拠の正しさによって議論を交わすようにしましょう。
2.聞くときは最後まで聞き、話すときはわかりやすくまとめてください。
2-1.他の参加者の意見を最後まで聞いてください。そして、できるかぎり正確に理解するよう努力しましょう。
2-2.皆さん最後まで聞いてくださいますが、自分の話だけで時間を取ってしまってはいけませんので、話はわかりやすくできるだけ簡潔にまとめるようにしてください。
2-3.ただ自分の身近な具体例を述べるのではなく、理由や根拠に基づいて一般化し、普遍的な意見として発言するようにしましょう。
3.独白の応酬ではなく、対話となるように努力しましょう。
3-1.他の人が述べた意見と無関係に話すのではなく、関連させながら話すようにしましょう。
3-2.他の人の意見に同意できなかったとしても、相手の人格を全否定してはいけません。相手に対して質問を投げかけ、相手の意見をできるだけ理解したり (相手に同意する必要はありません)、相手の意見の不整合を明らかにするようにしましょう。
3-3.自分の考えと皆さんの考えとの類似点や相違点を確認しながら、思考の流れそのものを楽しみましょう。
4.ファシリテーターは皆さんの哲学的対話が活性化するようにお手伝いします。
4-1.ファシリテーターが自分の知識や自分の意見を押しつけたりすることはありません。
4-2.ファシリテーターは、参加者全員ができるだけ対話に参加できるよう気を配ります。
4-3.ファシリテーターは、皆さんの対話が噛み合うよう時々議論の整理をすることがあります。
5.解散後もずっと考え続けていきましょう。



とまあこんなことをやろうと目論んでいるわけです。

それにしても自分は法政哲学会のなかではずっと色物の役割を演じてきているような気がします。

この学会でちゃんと本格的なカント研究の成果を発表したことって一度もないし…。

法政哲学会でのデビュー発表のタイトルはこうでした。

「『哲学/倫理学』の講義をどう変えていくか ―『教え』から『学び』への転換?―」

これが2003年のことです。

この学会で哲学/倫理学教育について研究発表したのは私が初めてだったはずで、

私の記憶が確かならば、その後も今日に至るまで教育問題を取り上げた人は誰もいないと思います。

しかもこのときの発表はパワーポイントで行いましたが、それも史上初だったんじゃないかな?

その後、指導教授であった濱田義文先生が亡くなられて、その追悼シンポジウムが催されたときに、

「濱田義文とカント倫理学」 と題する提題発表を行ったのが唯一カントに絡んだ発表でしたが、

もちろんそれはカントというよりは濱田先生の業績を回顧する発表でしたし、

しかもあのときはA4サイズのマインドマップを1枚だけ配って発表しました。



たったこんなもの1枚で学会発表したヤツも空前絶後だったんではないでしょうか?

そして3度目の今回が哲学カフェですからね。

皆さんにはあいつ何やってんだって思われてるんでしょうね。

まあ色物は色物らしく、皆さんに楽しんでいただけるような時間にしたいと思います。

本大会には法政哲学会の会員だけでなく、一般の方も自由に参加いただけます。

興味のある方はぜひ市ヶ谷の法政大学ボアソナードタワーまで足をお運びください