昨年末にちょっとご説明しましたが、福島大学人間発達文化学類が創設されて以来、
スポーツ・芸術創造専攻の専攻共通科目 (必修科目) として開講してきた 「文化創造論」 は、
カリキュラム改革にあたって専攻共通科目という枠組み自体が廃止されたのに伴い、
昨年度までで必修科目としての開講は終了し、
今年度は取り残した人のためにいちおう開講し、
新カリキュラムの学生に対しては自由選択科目として開講してきました。
結果、取り残した1名と自由選択で取ってくれた学生20名、計21名を相手に授業を行ってきました。
その半期の授業も無事に終わり、今年度をもって 「文化創造論」 は完全に閉講いたします。
もう来年からは開講しないので、授業改善も何もあったものではないのですが、
いちおういつものように 「授業改善のための学生アンケート」 を実施しましたので、
その結果をご報告させていただきます。
まずは、5段階評価から。
「1.教員の授業に対する姿勢はよかったですか。
(観点:授業の準備、授業への熱意、学生への対応等)」・・・・・・・・・・・・・・・・5.00
「2.教育の方法は適切でしたか。
(観点:質問への対応、発表・討論の機会、シラバスの記述内容等)」・・・・・・5.00
「3.授業の内容は適切でしたか。
(観点:魅力あるトピック、教材・教科書の適切性、参考文献の提示、
授業の進度、シラバスに記述された目標の達成度等)」・・・・・・・・・・・・・・・・5.00
「4.総合的にみてこの授業に満足しましたか。」・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・5.00
なんと最後の最後にパーフェクトを達成してしまいました。
全員が全項目に関して5点満点の評価をしてくれました。
どうもありがとうございます
。
こんなことってありうるんですね。
ここ数年ずっと
評価は下がりっぱなしだったんですが、まさかの大逆転です。
まあ教員からの講義が3回しかない、アクティブ・ラーニングの権化のような授業ですし、
それが必修科目じゃなくなって自由意思でわざわざ選択してきてくれた20人だけ相手にできたので、
こんな結果を出すことができたのでしょう。
たぶん私の教職歴のなかで2度と再現することのできない大金字塔ではないでしょうか。
全項目パーフェクトってことはこれ以上もう改善のしようがないってことですので、
今年でこの授業なくなってくれて本当によかったです。
授業外学習時間についても見ておきましょう。
【授業外学習時間】
3時間以上・・・・・・・・・・・・・2人(9.5%)
2~3時間未満・・・・・・・・・7人(33.3%)
1~2時間未満・・・・・・・・・7人(33.3%)
30分~1時間未満・・・・・・5人(23.8%)
30分未満・・・・・・・・・・・・・・0人(0.0%)
0分(何もしなかった)・・・・・0人(0.0%)
アクティブ・ラーニングのわりに授業外学習時間が少ないというのがこの授業の特徴で、
今年の結果も、
私の他の授業と比較するとまだまだ少ないと言わざるをえませんが、
これまでの 「文化創造論」 と比べるとやはり断トツで一番いい結果です (
昨年、
一昨年)。
昨年までの反省を踏まえて、ふだんの生活のなかで自分の携わる種目について深く考えてみたり、
自分の専門ではないいろいろな文化に触れてみたりする時間を取るようにと、
ことあるごとに口にしてきたのが功を奏したのでしょう。
「授業改善のための学生アンケート」 の自由記述欄よりも、最終回のワークシートの最後の設問で、
「『文化創造論』 を受けてきて、どんな力が身についたり伸びたりしたと思いますか。
また、新たに学んだり、学びが深まったことは何ですか。その理由も書いてください。」
という質問に対してみんなたくさん書いてくれていましたので、
そちらをご紹介して有終の美を飾ることにいたしましょう。
○文化創造論はスポーツ芸術創造専攻という専攻であるにもかかわらず、スポーツ側の我々は芸術系の人と全くといっていいほど交流がなかったため、その人達と交流する貴重な機会となった。ほとんどがスポーツ系の学生で占めていたが、数人の芸術系の人たちとの発表をし合ったりする交流は私に新たな視点を産んでくれたように思う。講義でも「チェスはスポーツなのかどうか」などという自分がこれまで考えることのなかった分野について知ることができた。また、「これ昔ちょっと疑問に思っていたことだったな」という私の小さい頃の素朴な思考を思い出し、その考えをもっと深めることができたこともあった。私はスポーツ専攻であるが、スポーツのためだけにしか生きられないわけではない。これからも様々な文化や新しい自分の才能に出会うかもしれない。その時にもっと広くものごとを考えられる人になっていたい。
○これまで学んできて、文化って何?と聞かれても、きちんとした答えを出せなかったが、文化創造論を学び、音、美、体のあり方や、私たちの身のまわりのすべてが、文化の形なんだとわかった。最初は音美体なんてつながるものなんてないだろうと思っていたが、3つの人を感動させるすべてが集まると、もっと大きな感動がうまれると思った。この授業で何かを考えだす力がついた。自分の考えたものやことだけでなく、他の人の意見をグループで話し合うことで、そーゆう考えもあるのか!!とひらめきが生まれた。他人の意見を理解し、みとめるということもみにつき、考えることが楽しくなった。この授業を通して、もっと自分の興味あることや無知なものにも深く考えていきたいと思った。
○文化そのものについては今までも特に意識しながら考えていたが、スポーツ専攻の人達と交流してみて、文化にはスポーツや美術といった枠組みに分けられてもその枠に縛られない発想があれば、幾らでも可能性が広がる、と思う様になった。自分はどうも柔軟な発想をするのが苦手なので、皆の意見や考えにとても刺激を受けた。専攻が違うということもあるが、この講義を通して得たものはとても大きいと思う。新しく文化を作り出していくこと、今までの文化をより良くしていくこと、文化そのものに対して学びを深めていくこと、どれも重要な観点で、色々な見方で文化を考えていくことが大切なのだと改めて実感した。
○プレゼンテーションでは、自分の伝えたいことや興味をもってほしいことをどのように示せば良いかということを考えさせられたと思う。一方的な話ばかりでは伝えられないこともあり、実演や対話というものがより大きな効果をもつということが分かった。今後プレゼンテーションをする機会はたくさんあるので、他の班の発表方法や工夫点を見て感じ取ることができたので良かった。音楽・美術といった普段あまり関わりをもたないことも講義や異文化交流を通して興味をもつことができた。各分野の始まりや特徴といったものも知ることができ、それらがどのような影響をもたらしているかということも学ぶことができた。1つの文化だけでなく、多くの文化と触れ合う機会が多かったので、学びが深まったと思う。
○自分が考えたことを発表して理解してもらう力は以前より身についたと思う。初めてのプレゼンでも、どうしたらいいか工夫をして、その改善点、実演はインパクトが強いというのも含め、今回は実演は主にした。そのようにして、改善を重ねて良い発表ができるようになればいいと思う。また、文化とはどういうものかについて学んだことが多くあった。それは講義の中でも今までとは異なる考え方があり、皆のプレゼンでも初めて知ることがたくさんあった。さらに最後の文化の創造では初めて考えることが多く苦戦したが、文化は自らつくりあげることもできるし、自分の力だけでなく他人との協力によって強固になるものだと思った。そして、文化創造論はとても楽しかった。
○この講義では、私自身がスポーツを中心に生活していたので、他分野に目を向ける良い機会になりました。音楽に触れることで、今まで知らなかった一面もありました。またそもそもスポーツとは何かを追求することで、少し文化の見方が明確になった気がします。それをディスカッションすることで、他の人の意見がどう一緒でどう違うのかを知れて、それが新しい意見になった時もありました。異文化交流プレゼンでは、自分の分野をより多くの人に詳しく教えるには何を盛り込むべきかを考えましたし、そういった点から「伝えること」の大切さや難しさ、コツがわかったような気がしました。私には少しユーモアが足りないので、そこの点を少し伸ばして、人を引き込むプレゼンができるようになりたいです。
○この授業を通して1番力が身についたと思うのは人前で話すということです。自分は今までグループでまじめな話をしようとしたり、人前で話そうとすると「ちゃんとしたことを言わなければ」という気持ちだけが浮かんでしまい、結果混乱して、まとまっていない考えを話してしまうことが多くありました。しかし、この授業で何度も発表、ディスカッションをやってきたので、慣れることが出来たと思います。また、様々な文化を調べたり、聞いたりして、知っていたつもりのものを深く知れたり、新たに知れたりできたと思います。
○自分の専門外(音楽、美術)についての理解が深まりました。特に、自分ができないことができているからこそ、芸術になるということが印象的でした。異文化プレゼンなどで、他の分野の人達の話をきき、自分の中の視野が広がりましたし、世の中には本当にいろいろな人やものがあふれていると感じました。自分とは違う経験をもった人と触れ合うことの楽しさを感じ、もっとコミュニケーションをとっていきたいと思うようになりました。今回の授業で、他の文化を受け入れる自分の「器」のようなものが広がったと思います。
○この講義を通して、文化をつくる上で絶対に「発想力」とか「自由に柔軟に考える力」が必要不可欠だなと実感した。私は今まで新しい何かを生み出したり提案したり、それを人前で発表するというのが苦手であったと思う。準備などで大変な時もあったけど、自分の意見をしっかり相手に伝えることの重要さを学ぶことができた。また、1回目のプレゼンではパワポを作るだけであったけど、最後のプレゼンでは中心となって企画の提案をすることができたので、以前よりも人前で話したり発表したりすることが好きになれたかな、と感じるようになった。
○今まではスポーツといっても自分の競技についてしか興味がなく、他のスポーツのことをあまり考えたことがなかったが、今回の授業では、他のスポーツ、そして音楽・芸術について、それぞれの歴史、良さ、魅力など、文化的に考えることができたと思う。また、プレゼンやグループで話し合うことで、自分にはない文化についての考え方を知ることができたり、発表の仕方でも工夫しようとしたり、みんなに魅力を伝えるにはどうしたらいいかなど考えるようになった。このことは、これから先、相手に自分の考えや思いを伝えるときに生きてくると思う。スポーツ・芸術・音楽すべて遊びや狩りから始まっていて、今のように変化して身近なものになっていると考えると、不思議で面白いと思った。これもやはり時代とともに変化し大衆化したからこその形であると改めて実感した。そして、文化とは一言では言い表すことのできないもので、深く、とても魅力のあるものだと思った。
○文化は人の手によって作られたということ。私は最初、文化と聞いた時すごい難しいイメージがあった。しかし、実際にはそんなことはなくて、すごく身近な物が文化だと知った。文化は常により良い物にしようと日々改善されている。時代によって変化もある。そして私がやっているバレーボールも文化だということ。確かに、考えれば文化とは何かときかれたときに答える答えにすべてあてはまっている。とにかく私の身近な物が文化ということにびっくりしている。たとえば、机やイス。これらをどのような机、イスが使いやすいかというのを創造するだけで文化の創造になる。びっくりだ。この授業では、パワポを使って発表したり、グループディスカッションをしたりして、人前で発表することで大切なこと、グループディスカッションの大切さを今まで以上に学べたと思う。そして想像力が豊富になったと思う。とても良い機会でした。
○文化創造論では、他の文化に目を向けたり、考えたりすることができるようになったと思います。今までは興味のないことには何も感じなかったし、考えなかったが、最近はなにか感じたり考えたることができるようになった。自分の趣味と関係ないと思っていたこと、視野を広げてみると関係があって驚いた。これから物事を考えるときは、広い視野と様々な視点から考えるようにしていこうと思いました。
○名前の通り、新しく創造するという点では、とても難しく考えさせられる授業でした。また、プレゼン等の発表の機会を多く持たせていただいたため、話す順番(優先順位)、発表のしかた、聴き手をどうやって引きつけるかなど考え、実行にうつせたことで発表する力は受講前に比べとてもついたと思います。自分は人前で話すのが苦手で、アドリブで話せるタイプでもないしと最初は怖々行っていたのですが、最後の方では自分で書いたレジュメを堂々と人に見せ、書かれていないことを口頭で説明し、聴き手の反応を見ながら話す余裕ができていたので、自分の成長を感じました。
○「文化」という言葉はどこか堅苦しく、難しいもののように感じていましたが、この講義を受けたことで、どんなこと・ものでも文化になり得ること、そして文化を自らつくり出すことができることを学びました。文化の中に共通点を見つけ出すことで、「文化」を広くとらえることができる力が身につきました。ディスカッションを通して他の人の意見を聞くことで、様々なとらえ方を学ぶことができました。
○音・美・体のそれぞれの文化は、扱われ方は違うものの、出発点や原点が似かよっていると考えるようになった。講義の中で共通点や相違点を見出したり、他文化の人のプレゼンテーションを見たり、自分の文化を紹介したり、異文化交流したりすることにより、このような考え方を抱くようになったと思う。学びが深まったという点においては、まず自分の文化について改めて知り、深める機会ができたことによって専門的知識の向上につながった。そして何よりも今まで知り得なかったスポーツや美術(アニメ)、その他の文化について、その分野に精通する人の話をきくことができ、自分にとって新たな知識となったことがとても嬉しい。来年度はなくなってしまう授業ではあるが、後輩たちにも異文化と交流し、視野を広げ、教養を深める機会があれば良いと思う。
「文化創造論」 最後の受講生の皆さん、半期の授業にお付き合いくださりありがとうございました
。
また、これまで 「文化創造論」 を履修してきてくれた歴代のスポーツ・芸術創造専攻の皆さん、
私にとっても新しい学びをたくさん提供してくれて本当にありがとうございました
。
この授業で学んだこと、身に付けた力をこれからもますます伸ばし、
それぞれの文化を伝えていく伝道師として、新しい文化を創造していくクリエイターとして、
社会の第一線でバンバン活躍していってください