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団塊世代おじさんの日常生活

夏 日本で二番目に気温が高く、陶器と虎渓山と修道院で知られる多治見市の出身です。

愚かでいることで、夫婦が長持ちすると思います。(笑)

2017-03-19 06:45:23 | 日記
ネットを検索していましたら、吉野弘さんの有名な詩が2作載っていました。
一つは「祝婚歌」、もう一つは「夕焼け」です。
特に「祝婚歌」は有名ですね。
昔 このブログで取り上げたことを記憶しています。
当時この「祝婚歌」は、マスコミによく取り上げられていました。


「祝婚歌」


二人が睦まじくいるためには
愚かでいるほうがいい
立派すぎないほうがいい
立派すぎることは
長持ちしないことだと気付いているほうがいい
完璧をめざさないほうがいい
完璧なんて不自然なことだと
うそぶいているほうがいい
二人のうちどちらかが
ふざけているほうがいい
ずっこけているほうがいい
互いに非難することがあっても
非難できる資格が自分にあったかどうか
あとで
疑わしくなるほうがいい
正しいことを言うときは
少しひかえめにするほうがいい
正しいことを言うときは
相手を傷つけやすいものだと
気付いているほうがいい
立派でありたいとか
正しくありたいとかいう
無理な緊張には
色目を使わず
ゆったり ゆたかに
光を浴びているほうがいい
健康で 風に吹かれながら
生きていることのなつかしさに
ふと 胸が熱くなる
そんな日があってもいい
そして
なぜ胸が熱くなるのか
黙っていても
二人にはわかるのであってほしい


 「祝婚歌」の詩は何度読んでもいいですね。

「二人が睦まじくいるためには
愚かでいるほうがいい
立派すぎないほうがいい
立派すぎることは
長持ちしないことだと気付いているほうがいい」

 まさに真理ですね。
愚かでいることで、夫婦が長持ちすると思います。(笑)


「正しいことを言うときは
少しひかえめにするほうがいい
正しいことを言うときは
相手を傷つけやすいものだと
気付いているほうがいい」

 本当にそう思います。
正しいことを言っても相手をより傷つけます。
私は特に注意しなければ。(苦笑)

「なぜ胸が熱くなるのか
黙っていても
二人にはわかるのであってほしい」

そういう二人になりたいです。(笑)





「夕焼け」


いつものことだが
電車は満員だった。
そして
いつものことだが
若者と娘が腰をおろし
としよりが立っていた。
うつむいていた娘が立って
としよりに席をゆずった。
そそくさととしよりが坐った。
礼も言わずにとしよりは次の駅で降りた。 
娘は坐った。
別のとしよりが娘の前に
横あいから押されてきた。
娘はうつむいた。
しかし
又立って
席を
そのとしよりにゆずった。
としよりは次の駅で礼を言って降りた。
娘は坐った。
二度あることは と言う通り
別のとしよりが娘の前に
押し出された。
可哀想に
娘はうつむいて
そして今度は席を立たなかった。
次の駅も
次の駅も
下唇をキュッと噛んで
身体をこわばらせて-----。
僕は電車を降りた。
固くなってうつむいて
娘はどこまで行ったろう。
やさしい心の持主は
いつでもどこでも
われにもあらず受難者となる。
何故って
やさしい心の持主は
他人のつらさを自分のつらさのように
感じるから。
やさしい心に責められながら
娘はどこまでゆけるだろう。
下唇を噛んで
つらい気持で
美しい夕焼けも見ないで。


 この歌も知っています。
優しい娘さんの辛さがよくわかります。


「何故って
やさしい心の持主は
他人のつらさを自分のつらさのように
感じるから。
やさしい心に責められながら
娘はどこまでゆけるだろう。
下唇を噛んで
つらい気持で
美しい夕焼けも見ないで。」

恥ずかしい年頃の女性が勇気を振り絞って席を譲った。
1回だけなら、ともかく2回も。
それなのに何度も年寄りが前にくる。
まさに心優しい娘さんにとって受難の日でしたね。
娘さんの席に座っている辛い気持ちをわかってあげて欲しいと思います。
作者の吉野さんもそれが理解できる優しい心の持ち主ですね。





浜田省吾 『悲しみは雪のように (ON THE ROAD 2011 "The Last Weekend")』