がん(骨肉腫)闘病記

抗がん剤治療、放射線治療、人工関節置換手術、MRSA感染、身体障害者となっての生活の記録を残します。

与党税制大綱 減税だけで不安は消えぬ(12月13日付・読売社説)

2008年12月13日 | Weblog
2008年12月13日 17時08分記載

URL http://www.yomiuri.co.jp/editorial/news/20081212-OYT1T00878.htm



「ずらりと減税策が並んでいるのに、将来への不安は消えない。増え続ける社会保障を支える安定財源が、一向に見えてこないからだ。

 自民、公明両党がまとめた来年度の与党税制改正大綱は、過去最大の住宅ローン減税をはじめ、低公害車の自動車税の軽減、中小企業の法人税率引き下げなど減税策が目白押しだ。

 耐震工事などを施した「長期優良住宅」を新築した場合、10年で最大600万円も所得・住民税が安くなる。ハイブリッド車の自動車重量税と取得税はゼロになる。市場活性化には効果があろう。

 消費減退や雇用不安が広がり、国内景気は冷え込む一方だ。景気てこ入れを最優先し、内需波及効果が大きい住宅や自動車などの需要を刺激する狙いは分かる。

 だが、もう一つの焦点だった消費税率の引き上げは、あまりに及び腰と言わざるを得ない。

 大綱は、「消費税の全額を年金・医療・介護の社会保障給付と少子化対策に充てる」と明記し、消費税を社会保障目的税化する方針を打ち出した。

 ところが、肝心の消費税率の引き上げ時期は、「2010年代半ばまでに持続可能な財政構造を確立する」と、あいまいなままだ。引き上げ幅については、どこにも触れられていない。

 景気が回復してから準備を始めたのでは遅すぎる。事前に周到な準備をしなければ、とても速やかな引き上げはできまい。

 麻生首相は、3年後の消費税率引き上げを明示するよう指示し、自民党税調もその方向だった。しかし、選挙への影響を懸念した公明党の反発などから、時期を明らかにすることはできなかった。

 来年度の社会保障費の不足分を補うため、首相が求めていた「たばこ税の引き上げ」も見送られた。将来の安定財源どころか、来年度に必要なつなぎ財源すら手当てできていない。指導力の低下は目を覆わんばかりだ。

 こんな状況では、本当に景気を「全治3年」で回復できるのかどうかも、心もとない。将来の生活不安が消えないうちは、いくら減税を叫んでも、国民の財布のヒモは緩まないだろう。

 税制改正大綱を踏まえて、政府・与党は、中期的な税制抜本改革の道筋を示す「中期プログラム」を近くまとめる方針だ。

 首相にとって、まだ巻き返すチャンスはある。より踏み込んで、消費税率引き上げの工程を明確に示すべきである。(2008年12月13日01時38分 読売新聞)」



首相に巻き返すチャンスはないよ。もう誰も総理に付いてこないから。



解散・総選挙をやって、正当性・求心力を持った総理の下でしか改革は進められないよ。



しかし、読売の消費税率引き上げに対する執着心は凄いね。怖いよ。

社会保障予算 「削減路線」は破綻している(12月12日付・読売社説)

2008年12月12日 | Weblog
2008年12月12日 11時00分記載

URL http://www.yomiuri.co.jp/editorial/news/20081211-OYT1T00823.htm



「政府がこだわる社会保障費の「削減路線」は、すでに破綻(はたん)している。それが明確になったということだろう。

 来年度の予算編成で、社会保障費の議論が迷走中だ。

 高齢化の進行に伴い、社会保障費は、毎年約8000億円のペースで自然に膨らんでいく。財政再建を最優先する政府は、この自然増を毎年2200億円ずつ機械的に削減してきた。

 来年度も方針を維持するには、歳出を削るか、新たな財源を見つけて増収を図らねばならない。

 政府はこのため、たばこ税を引き上げ、1000億円規模の財源を確保して社会保障費にあてようとした。だが、選挙への影響などを懸念する自民党内の圧力に押され、土壇場で見送った。

 また、雇用保険に拠出してきた1600億円規模の国庫負担を廃止する案も浮上したが、雇用情勢が悪化する中では困難だ。他に有力な手立てはなく、来年度予算でノルマを達成することは極めて難しくなった。

 そもそも、この削減方針は今年度分についても事実上、実行できていない。

 政府管掌健康保険への国庫負担1000億円を企業の健保に肩代わりさせる法案の成立は、すでに断念した。後期高齢者医療制度の保険料引き下げなどに伴い、第1次補正予算でも、大幅な追加支出をしている。

 社会保障費の削減路線に固執し続けるならば、医療や福祉の歪(ゆが)みはさらに広がる。明確に路線変更すべき時だ。

 同時に非社会保障部門の無駄を徹底的に排除することで、財政規律は保てるのではないか。

 基礎年金の国庫負担割合を2分の1まで引き上げることについても政府の腰は定まっていない。

 法律で「安定財源を確保した上で2009年度までに実施する」と4年前から決まっていたにもかかわらず、年度当初からではなく半年先送りを一時検討した。

 理由は「安定財源の確保」を怠ってきたことに尽きる。必要な約2・5兆円を安定的に確保するには、消費税率を引き上げるしかない。分かっていながら、議論すら避けてきたツケだ。

 政府・与党は、来年度については特別会計の積立金、いわゆる埋蔵金を取り崩して帳尻を合わせる方針だ。だが、これは窮余の策であり、安定財源とは言えない。

 その先をどうするのか。政府・与党は、消費税率引き上げの道筋を併せて示さねばならない。(2008年12月12日01時42分 読売新聞)」



どうしてこう消費税に固執するかね。



独立行政法人に流し込んでる税金を社会保障費に充てたり、財団法人・社団法人に流し込んでる税金を社会保障費に充てたり、所得税・住民税の最高税率を上げたり、相続税の課税ベースを拡大したり、社会保険料の上限撤廃したり、たばこ税上げたり、金融資産に課税したり、消費税以外の方法論は結構あるのにね。(まあ、増税なんてしなくても官のスリム化だけで財源は捻出できると思うけどね。)



別にね、国民が消費税率引き上げて社会保障の充実をしてくれって頼んだんなら、それで構わないよ。

だけどね、消費税を増税するって言って支持を得た政党は存在しないからね。そこんところ、読売は忘れないで。国民から負託を受けていないことを民主政国家でやっちゃ駄目だよ。

たばこ税引き上げ見送り、与党で反対論強まる

2008年12月11日 | Weblog
2008年12月11日 20時36分記載

参照URL http://www.yomiuri.co.jp/politics/news/20081211-OYT1T00279.htm



「政府・与党は11日、2009年度税制改正の焦点となっているたばこ税の引き上げを見送る方針を固めた。

 たばこ税の増税は、政府が社会保障費の自然増の抑制幅を当初目標とした2200億円から縮めるための財源として検討してきたが、与党内で「たばこ税を増税しても税収が確実に増える保証はない」などとして反対論が強まったためだ。

 自民、公明両党は、12日に09年度税制改正大綱を決定する。たばこ税の増税には、公明党が反対しているほか、自民党内でも慎重論が強まり、自民党税制調査会顧問の町村信孝・前官房長官は11日、記者団に「(たばこ税の増税は)見送る」と断言した。また、政府高官は11日朝、「自民党税制調査会は、たばこ税見送りの姿勢で固い。政府としては、党税調に、増税を求めるような指示はできない」と記者団に語った。与党がたばこ税の見送りを決めれば、政府としても、与党の判断を受け入れる考えを示したものだ。

 これに関連し、自民党の保利、公明党の山口両政調会長らが11日朝、都内のホテルで会談し、たばこ税増税が困難となったことを受け、「社会保障費の伸びを毎年度2200億円抑制する」との政府目標達成のための具体的方策を早急に詰めることで一致した。

 後発医薬品(ジェネリック医薬品)の使用促進で数百億円の抑制を図ることを確認したが、抑制目標に達しないため、今後も検討を続けることになった。(2008年12月11日13時56分 読売新聞)」



個人的にはたばこ税は増税した方が良かったと思っているが、それをやらないなら、年金積立金を取り崩して、社会保障費抑制という誤った政策を正してもらいたい。



全然理解出来ないんだけど、賦課方式を採用しているのになんで積み立てなんかしてんの?なんのため?厚生労働省が無駄遣いするため?

広島女児殺害 拙速な審理が指弾された(12月11日付・読売社説)

2008年12月11日 | Weblog
2008年12月11日 20時24分記載

参照URL http://www.yomiuri.co.jp/editorial/news/20081210-OYT1T00886.htm



「裁判の迅速化と真相究明とを両立させる難しさが浮き彫りになった。

 広島市で2005年11月、小学1年女児が殺害された事件のペルー人被告に対する控訴審で、広島高裁は、無期懲役とした1審判決を破棄し、広島地裁に審理のやり直しを命じた。「審理が尽くされていない」というのが理由である。

 被告は、いたずら目的で女児を絞殺し、遺体を空き地に遺棄したとして起訴された。

 1審は、来年5月に始まる裁判員制度を想定した審理の形式がとられた。

 初公判前に計8回、裁判官、検察官、弁護人が争点を絞り込むための公判前整理手続きが行われた。公判は、5日連続の集中審理などを経て結審し、51日にして判決が言い渡された。

 裁判員制度をめぐっては、審理のスピードアップを図るあまり、事実認定がなおざりにならないかといった懸念が示されている。

 高裁は、これを裏付けるように、1審の審理について、事実認定があいまいになったと批判した。司法関係者は、これを厳しく受け止めなければなるまい。

 高裁が、最も問題視したのは、犯行現場を特定しないまま、被告を無期懲役としたことだ。

 自室での犯行と認定できる捜査段階での被告の調書があるのに、裁判官が証拠採用しなかったことなどについて、「まことに不可解」と指摘した。場所特定は「犯情を判断する重要な事実」であり、解明すべきだと強調した。

 さらにペルーでの前歴資料を「判決に至っていない」として無視した点も、それが女児2人への性的犯罪であった以上、量刑判断で考慮すべき証拠だとした。

 死刑の適否を争う重大な事件である。高裁の判断は、妥当なものと言えるだろう。1審の事実認定は粗雑に過ぎたのではないか。

 そうなった原因として、公判前整理手続きにおける協議の詰めの甘さが挙げられる。

 この手続きは、裁判員制度導入にあたり、裁判員に争点をわかりやすくし、裁判の迅速化を図るために取り入れられたものだ。

 ただ、裁判官、検察官、弁護人による協議は、非公開で行われるため、手続きが適正かどうか、外部からチェック機能が働かないという批判がある。

 裁判の迅速化は必要としても、それによって審理が拙速に終わってはならない。1審判決の問題点を検証し、それを教訓として生かしていく必要がある。(2008年12月11日02時04分 読売新聞)」



こんな状態で裁判員裁判なんてやって大丈夫?

取り調べの可視化を要求 勝木容疑者の弁護士が初接見

2008年12月11日 | Weblog
2008年12月11日 20時14分記載

山陽新聞WEB NEWS 配信記事(参照URL http://www.sanyo.oni.co.jp/newsk/2008/12/09/20081209010008831.html )



「千葉県東金市の保育園児成田幸満ちゃん(5)の遺体が見つかり、死体遺棄容疑で逮捕された勝木諒容疑者(21)の弁護を担当する副島洋明弁護士が九日、初めての接見後に取材に応じ、供述の信ぴょう性を確保するため取り調べの可視化を東金署捜査本部に求めたことを明らかにした。

 副島弁護士は「勝木容疑者には知的障害がある」と指摘。接見の際に「幸満ちゃんを知っているか」と問い掛けたところ「知らない」と返答、「(幸満ちゃんと)外で会った」と供述したとする捜査本部の発表と食い違いがあるとした。

 また勝木容疑者は「逮捕されたことに驚いた」と話し、家族の話題になると笑顔になって「母親に会いたい」と話しているという。

 可視化とは、冤罪(えんざい)防止の観点から、取り調べの全過程を録音・録画するもので、日弁連が必要性を訴えている。検察庁と警察庁は全面可視化は捜査に支障をきたすとしながらも、一部で試行を始めている。(12月10日1時28分)」



知的障害者には他人の意見に同調する傾向が見られると言われる。弁護人の言うように、供述の信憑性を確保するため、取り調べの可視化をするべきである。



報道各社は既に勝木諒被疑者を犯罪者として報道しているが、法の原則に則った報道をしてもらいたい。



冬のボーナス:国家公務員に 平均69万2900円

2008年12月10日 | Weblog
2008年12月10日 18時06分記載

URL http://mainichi.jp/select/seiji/news/20081210dde041020006000c.html



「国家公務員に10日、冬のボーナス(期末・勤勉手当)が支給された。管理職を除く一般行政職(平均35・2歳)の平均支給額は69万2900円。8月の人事院勧告で支給総額は据え置きとなったが、支給月数の配分の変更で0・025カ月分引き下げられたため、昨冬より3400円(0・5%)減った。

 特別職の最高支給額は、竹崎博允(ひろのぶ)最高裁長官の595万円。次いで衆参両院議長554万円▽閣僚434万円▽事務次官348万円▽国会議員330万円--の順だった。9月に就任した麻生太郎首相は在職期間率が30%で計算され、国会議員の期末手当と合わせて410万円が支給された。

 管理職を除いた一般行政職の地方公務員(平均36・6歳)の平均支給額は65万5000円で、昨冬に比べ7000円(1・1%)減った。【石川貴教】

毎日新聞 2008年12月10日 東京夕刊」



何をどう考えたって高過ぎない?



民間で35~36歳で69万ももらってる人どれだけいる?



この金削って障害者自立支援法の応益負担やめてもらえない?



生活保護の水際作戦やめてもらえない?


昨日掲載の記事に関して

2008年12月08日 | Weblog
2008年12月08日 21時55分記載

昨日は、読売に掲載された垣添忠生 国立がんセンター名誉総長の記事を紹介したが、 その記事について思った所をいくつか記したい。



まず、キャンサー・サバイバーを「がん経験者」と訳したのは非常に良かったと思う。サバイバー(survivor)を直訳すると「生存者」となるかと思うが、そう訳してしまうと、亡くなられた方にマイナスの印象を与えてしまうかと個人的には感じる。垣添氏自身ががんを患った経験があるため、機械的な直訳ではなく、このような配慮のある訳となったのではないかと思う。



次に、がん対策基本法に尽力した故・山本孝史参議院議員や島根の患者運動を拡げたがん患者の背後には、彼らを支え、理論的支柱ともなった平岩正樹医師の存在があることを忘れてはならないだろう。

私自身、平岩正樹医師の著作から大変多くのことを学ばせて頂いた。

ご参考- http://2nd-opinion.eee.ne.jp/ (がんのWeb相談室)



最後に、紹介した記事は読売の1面~2面に掲載された「地球を読む」という不定期連載の記事なのであるが、この「地球を読む」には垣添氏だけではなく、佐々木毅氏や山崎正和氏等も寄稿しており、興味深い記事が多い。しかし、著作権の関係でなのかどうかわからないが、ウェブ上では見られない(昨日の記事は私が手打ちした)。より多くの人に読んでもらいたい内容なので(筆者の方もそう考えているのではないだろうか)、ウェブ上でも読めるようにしてもらえると大変有難い。



11月30日(日)読売1面~2面 地球を読む

2008年12月08日 | Weblog
2008年12月07日 23時59分記載

記事タイトル:がん経験者 特別視しない社会へ

筆者:垣添忠生 国立がんセンター名誉総長



「世界保健機関(WHO)の2007年の統計によると、全世界で年間にがんになる人は1100万人、がんで亡くなる人は790万人、がん経験者は2500万人という。おのおのの数は経年的に増加している。従って、がんは先進国はもとより、アジア・アフリカ諸国を含めた全世界的な健康上の重大課題となった。この課題に挑戦する上で、がんになる人を減らす、がんで亡くなる人を減らすことは最重要課題である。

 だが、ここではそれらと同等の意味を持つがん経験者の支援を議論したい。これまでわが国では、この問題はほとんど取り上げられてこなかったが、がん経験者はわが国でも既に300万人を超えている。がん経験者が豊かに生きることは、社会の成熟を考える重要な指標と思えるからである。

 1986年に、米国のがん経験者らの団体が「キャンサー・サバイバーシップ」という理念を提唱した。キャンサー・サバイバーとは、がん経験者と訳すのがいいと思うが、がんの診断を受けてから、治療を受けつつがんと共に生きる人、あるいはがんを克服した人までをすべて含めたやや幅広い概念といえる。

 がん経験者は、医学的にはがんの再発や転移の可能性に関する定期検査、治療に伴う副作用や後遺症への対処、当該がん以外の別ながんになる可能性、さらに、糖尿病とか高血圧といったがん以外の病気の管理など、実に多面的な医学的対応を必要とする。 

 加えて、がん経験者は、ともすると社会的弱者となりやすい。東大医療政策人材養成講座による先頃の調査によると、がん患者の4人に3人が「これまでの仕事を続けたい」と願いながら、3人に1人が転職や退職を強いられていたという。解雇された人もあり、約4割は収入が減少していた。がんという言葉に、死に至る病、というイメージがいまだに社会に定着していることに由来する一種の社会的差別といえよう。

 また、 静岡県立静岡がんセンターの山口建総長を主任研究者とする厚生労働省の「がんの社会学に関する合同研究班」では、がん経験者の悩みや負担について「がんと向き合った7885人の声」と題する報告書を刊行している。それによると、がんは一般には治療後5年元気だったら治癒したと考えられているのに、がん経験者の3分の1は5年たっても、10年たっても、身体に何か変調があると「再発ではないか?転移ではないか?」という不安に脅かされているという。

 つまり、がん経験者は肉体的にも、社会的にも、精神的にも何重にも傷つきやすい存在といえる。もちろん、早期発見・早期治療を受けた人は、同じがん経験者といってもこうした負担は圧倒的に軽い。

 がん経験者の数が増し、何が問題なのかが明らかになるにつれ、さまざまな支援策や活動が、まず世界で、そして日本でも展開されるようになってきた。

 国際的には、国際対がん連合(UICC)による支援活動がある。米国では、国立がん研究所や疾病対策センター、ランス・アームストロング財団など、各種の公私団体が力を合わせてがん経験者の支援を強力に展開している。ちなみにランス・アームストロング氏はツール・ド・フランスという自転車競技で前人未到の7回の総合優勝を果たし、かつ脳転移までも含む多発性がんを克服した英雄である。米国対がん協会も、寄付を中心とした財源・年1400億円を背景に、がん経験者の支援など実に多彩な活動を民間の立場で展開している。

 わが国では、07年4月、がん対策基本法が施行され、患者代表も含むがん対策推進協議会の議論を経て国のがん対策推進基本計画が策定された。その全体目標の一つに、「すべてのがん患者及びその家族の苦痛の軽減並びに療養生活の質の維持向上」が掲げられている。

 これは、現在治療中のがん患者だけではなく、家族、がん経験者を含めて、療養生活の質を維持向上させるために、精神的ケアや社会的支援を展開する必要性を強調した重要項目といえる。

 国立がんセンターに06年開設されたがん対策情報センターでは、がん患者、家族、がん経験者向けの膨大な量の、質の高いがん情報をがん情報サービス( htp://ganjoho.jp )としてウェブ上で、また印刷物で公開している。これらはがん経験者声を聴きながら編集された。

 また、聖路加看護大学では日本学術振興会「21世紀COEプログラム」の研究助成を得て、「がん市民学」という研究を終了したばかりである。これは市民が、社会全体ががん患者をいかに支えるか、という新しい視点に立つ研究だった。

 地域の取り組みも活発化している。島根県はかつて、がん対策の後進県の一つだった。島根県在住のがん患者によるがん化学療法体制の遅れ批判に端を発した患者運動は、大きな広がりを見せた。

 がん患者、家族、がん経験者、医療従事者、行政が一体となり、島根県がん条例を制定し、がん拠点病院も整備され、さらに県内13か所に「がん患者サロン」が設置されている。ここでは、がん関係者が自由に集まり、意見交換をする活動が極めて活発である。今や、島根県はがん対策、がん経験者支援の最先進県の一つに躍り出たといえるだろう。

 日本対がん協会といって、国のがん対策としっかり連携しながら、民間の立場でそれを補完する活動を展開している団体がある。今年50周年を迎えた。歴史の古さに比して、国民の間での認知はいま一つという残念な状況にある。50周年を機に、その活動を一層強化する必要がある。

 従来、がん検診は日本対がん協会の大事な事業だったが、今後はこの充実に加えて、がんの予防とともにがん患者や家族、がん経験者の支援も強力に展開したい。電話や面談によるがん相談、情報提供、がん患者、家族、市民らが一緒に進めるリレー・フォー・ライフ活動などを大きく広げることを願っている。

 今やがんはだれにとっても無縁ではない病気となった。がん経験者が、がんになる以前と同じような生活を気負いなく営めるように、がんという病気を特別視しない社会の実現を目指して、世の中の理解と支援の充実が強く望まれる。」



(明日この記事に関する意見を少し付け加える予定です。)



天下り法人、国交省事業の9割「1社入札」

2008年12月06日 | Weblog
参照URL http://www.yomiuri.co.jp/national/news/20081205-OYT1T00967.htm

2008年12月06日 22時51分記載

「国土交通省が今年4~7月に発注した道路・河川工事の関連事業で、同省OBの天下り先となっている八つの社団法人が請け負った事業の9割近くは、社団のみが入札に参加した「1社入札」だったことがわかった。

 天下り先との契約が不透明だとする批判を受け、同省は今年1月から、入札の参加要件を緩和したが、依然として競争性が働いていない実態が浮かび上がっている。

 この社団は、同省所管の「関東建設弘済会」(東京)や「近畿建設協会」(大阪)などで、出先機関である8地方整備局ごとに、主要な天下り先となっている。

 国交省によると、各整備局が今年4~7月に発注した道路・河川のパトロールや、工事監督、積算作業の補助などの事業は計2500件(契約額約987億円)。いずれも複数の業者に技術提案させる「企画競争」や、一般競争入札で発注されたが、8社団は4割超の1065件(同約565億円)を受注した。このうち87%の930件は、実際の入札に参加したのは社団のみだった。

 「1社入札」の割合が高いのは、九州建設弘済会(96%)、四国同(同)、中部建設協会(95%)で、いずれも95%以上。関東建設弘済会では、「1社入札」の125件を含め計146件を受注したが、予定価格に対する契約額の割合の平均は96・4%に達していた。

 同省によると、昨年の同じ時期にも、8社団が受注した事業941件(契約額約598億円)のうち、社団の「1社入札」が900件以上を占め、「民間業者が締め出されている」と批判を浴びた。このため同省では、参加要件にある過去の受注実績について、「10回」から「1回」に減らすなど緩和したり、事前に参加できる民間業者が10社以上あることを確認したりするよう求めていた。

 しかし、同省には、地元の民間業者から「1件あたりの事業規模が大きすぎて、人員体制を確保できない」「必要な技術者を集めるには時間が足りない」といった声が寄せられており、同省地方課では「民間業者が不慣れで準備に時間がかかったりしているのではないか。参加しやすい条件を整えたい」としている。

 道路特定財源から事業収入を得ていた8社団では、今年に入り、職員旅行の費用を負担するなどの無駄遣いも判明、国交省では、民営化する方針を表明している。各社団には今年1月現在、役員42人を含め計718人の国交省OBが天下っている。

 公共事業に詳しい五十嵐敬喜・法政大教授(公共事業論)の話「少しハードルを下げたぐらいでは、長年、排除されてきた民間業者の参入は進まない。国交省は天下り先への発注を規制するなど、契約のあり方を抜本的に見直す必要がある」(2008年12月6日03時08分 読売新聞)」


こんな状態で消費税率引き上げたって社会保障は充実しない。


記事中にあるような社団法人や財団法人、独立行政法人を全廃して、二重行政を改める。それだけで社会保障費用は十分捻出できる。消費税増税なんて全然要らない。


道路特定財源 「一般財源化」はどこに行った(12月5日付・読売社説)

2008年12月05日 | Weblog
2008年12月05日 10時35分記載

参照URL http://www.yomiuri.co.jp/editorial/news/20081204-OYT1T00978.htm


「道路特定財源を一般財源化する政府の公約は、事実上、空手形に終わるようだ。

 道路特定財源制度のあり方を検討していた自民党の作業チームが、見直しの最終案を固めた。大半を道路整備に使う内容になっている。

 麻生首相も基本的に了承しており、これがほぼそのまま政府・与党案になる見込みだ。

 道路財源の改革を巡っては、今年5月、当時の福田内閣が2009年度からの一般財源化を閣議決定した。

 ガソリン税の暫定税率に関する民主党との攻防で、改革姿勢を示すとともに、財源不足に悩むほかの歳出項目に予算を回すのが目的だった。

 それが、今回の最終案ではほとんど見る影もない。何のための閣議決定だったのか、ということになろう。

 最終案で注目すべきは、「地域活力基盤創造交付金」を新設し、国の道路予算から約1兆円を地方に配分する、とした点だ。これまであった約7000億円の「地方道路整備臨時交付金」を衣替えして増額する。

 麻生首相は当初、1兆円を地方が自由に使える地方交付税にしたいとの意向を示していた。

 これが実現すると、道路建設に使われる予算が大幅に減りかねないと危機感を抱いた自民党道路族や国土交通省が巻き返した。

 その結果、補助金よりは縛りが緩いものの、使途を限定できる交付金化で決着した。

 「整備交付金」が、原則道路建設に充当されるのに対し、「創造交付金」は公共事業全般に使えるとしており、自民党の作業チームは、使途が大きく広がると説明している。

 だが道路族の理解は違う。交付金の配分を国交省に担当させ、道路関連に集中させる考えだ。道路族の思惑通りではないか。

 国の道路特定財源は、今年度予算で約3兆3000億円だ。このうち、6000億円の地方向け補助金から3000億円を「創造交付金」に移す。

 補助金の残り3000億円と、1兆4000億円の国の直轄道路事業費について、自民党は極力維持する方針で臨んでおり、予算編成作業での削減は、極めて難しい状況となっている。

 国の財政事情は厳しく、社会保障費などは、財源確保に四苦八苦だ。余剰とされる道路予算から財源を回すべきだが、政治の混迷がそれを妨げている。

(2008年12月5日01時53分 読売新聞)」

だから言ったじゃない。(本ブログ2008年4月1日掲載記事参照)

「政治の混迷」じゃなくて「自民党の混迷」。自民党には現状を改善させる能力は明らかに無い。
(だからって民主党政権になったらって現状が改善されるかというと怪しい所が国民にとっては不幸な所なんだけど。)


中山研一先生のブログのご紹介、再び

2008年12月02日 | Weblog
2008年12月02日 19時38分記載

中山研一先生の刑法学ブログ( http://knakayam.exblog.jp/ )の中から、憲法や刑事司法等に関する記事をピックアップしておいたので、関心のある方はそちらをご覧頂きたい。良識ある学者のきちっとした文章を読むことが出来る。


・2008年12月02日-総理大臣の給料

・2008年11月26日-警察の裏金作りの告発

・2008年11月25日-司法制度改革審議会

・2008年11月12日-裁判員は行司なのか

・2008年10月23日-日本独自の刑事司法

・2008年10月20日-動き出す裁判員制度

・2008年10月14日-陪審制消極論

・2008年10月12日-沖縄の陪審制度

・2008年10月09日-陪審制か参審制か

・2008年10月02日-裁判員法の由来

・2008年09月23日-裁判員法と冤罪の防止

・2008年09月17日-民主政権になったら・・・悩む警察庁

・2008年09月09日-検事総長の見識を問う

・2008年09月02日-8月末の夏期合宿

・2008年08月26日-医事法学

・2008年08月23日-論語物語

・2008年08月17日-裁判員裁判の危うさ

・2008年08月15日-8月15日

・2008年08月06日-パチスロ機のメダル

・2008年07月29日-瀧川先生宅訪問

・2008年07月27日-責任無能力者の故意

・2008年07月23日-天は自ら助くる者を助く

・2008年07月20日-アインシュタインと社会主義

・2008年07月18日-湯川秀樹とアインシュタイン

・2008年07月10日-平野博士の「核心司法」論

・2008年06月21日-医療観察法の入院施設の不足

・2008年06月05日-日本の警察・検察の超保守性

・2008年05月24日-台湾における被疑者取調べ

・2008年05月20日-韓国の陪審制度

・2008年05月17日-日本刑法学界60周年

・2008年05月01日-9条違憲判決

・2008年04月19日-EU統合と人権保障

・2008年04月13日-立川ビラ配り最高裁判決

・2008年04月07日-ハーケン・クロイツの呪い

・2008年04月06日-吉川少年の反骨精神

・2008年03月28日-法制審議事録の顕名化

・2008年03月24日-法制審、なぜ伏字

・2008年03月22日-雲泥の差

・2008年03月14日-流出した「被疑者取調べ要領」

・2008年03月06日-冤罪と取り調べの可視化

・2008年02月27日-上官の違法命令

・2008年02月08日-団藤先生の先学訪問

・2008年01月31日-「非国民がやって来た!」

・2008年01月16日-フィンランドの教育

・2007年12月30日-戸別訪問違憲判決

・2007年12月27日-大学の自治はどこへ

・2007年12月18日-表現の自由の優越的地位

・2007年12月09日-警察庁の有識者懇談会

・2007年11月16日-団藤先生の反骨のコツ

・2007年11月09日-11月9日と憲法9条

・2007年09月26日-戸別訪問罪の事件

・2007年09月22日-日野原重明氏の護憲論

・2007年09月15日-企業の政治献金

・2007年09月08日-刑法と国家主義

・2007年08月15日-今年の8月15日

・2007年08月03日-福岡の弁護士の連続書評

・2007年07月24日-靖国参拝と天皇の対応

・2007年07月09日-条例違反の盗撮行為

・2007年06月26日-年金「怒り続く」92%

・2007年06月23日-つもりちがい人生訓

・2007年05月09日-40年の平裁判官

・2007年04月24日-戦後変革の不徹底

・2007年04月09日-滝川事件の後遺症

・2007年04月05日-立川ビラまき事件の論争

・2007年03月18日-共謀罪のこと

・2007年01月30日-佐伯先生91歳の講演

・2007年01月25日-叙勲について

・2007年01月25日-「司法精神医療」とは何か

・2007年01月21日-心神喪失者等医療観察法の1年

・2007年01月14日-映画「それでもボクはやってない」

・2006年12月24日-湯川秀樹博士のこと

・2006年12月19日-タウンミーティングの「ケジメ」

・2006年12月11日-12月11日の新聞記事

・2006年12月04日-北陸大学での最終講義

・2006年11月29日-心神喪失者等医療観察法の1年

・2006年11月17日-官製談合の構図

・2006年11月15日-文科省主導の「やらせ質問」

・2006年11月05日-ヘーゲルの刑法思想

・2006年11月02日-西原春夫著「日本の進路、アジアの将来」

・2006年10月29日-帝国議会における論議

・2006年10月22日-樋口和博著『峠の落し文』

・2006年10月18日-財産刑と罰金

・2006年10月14日-罰金刑の感銘力

・2006年10月05日-政治家と高級官僚

・2006年10月04日-自由人・近藤綸ニ

・2006年09月24日-国旗、国歌と私

・2006年09月17日-9月17日の新聞記事

・2006年09月08日-戸別訪問自由化の課題

・2006年08月30日-選挙犯罪との再会

・2006年08月14日-8月15日の原点

・2006年07月30日-堀越事件第1審判決への疑問

・2006年07月27日-昔の高等小学読本

・2006年03月28日-罰金刑新設法案の評価

・2006年03月13日-皇室の台所

・2006年03月08日-マッカーサーとその後

・2006年03月05日-窃盗にも罰金刑の新設

・2006年02月28日-マッカーサーと天皇の関係(2)

・2006年02月27日-マッカーサーと天皇の関係(1)

・2006年02月26日-ジョン・ダワー「敗北を抱きしめて」

・2006年02月22日-敗戦直後のこと

・2006年02月18日-ベーリングの構成要件論

・2006年02月14日-熊谷開作先生とボアソナード

・2006年02月11日-天皇制について

・2006年02月08日-「有識者会議」とは何か

・2006年01月27日-亀井勝一郎「愛の無常について」

・2006年01月25日-巧言令色少なし仁

・2006年01月21日-「堀越事件」の証言

・2006年01月15日-国公法と地公法の罰則の違い

・2006年01月14日-心神喪失者等医療観察法の6ヶ月

・2006年01月06日-公務員の政治活動とその外観

・2005年12月24日-企業の政治献金こそ問題

・2005年12月22日-政治献金の役割と構造

・2005年12月22日-セクハラ懲戒の指針

・2005年12月17日-立川ビラまき事件の有罪判決

・2005年11月29日-公務執行妨害罪と窃盗罪に罰金刑を新設する法案

・2005年11月28日-「法学部廃止のすすめ」について

・2005年11月23日-「狐落とし」治療術と暴行の故意

・2005年11月23日-時代遅れの研究至上主義か

・2005年11月13日-戒能通孝氏の人事院規則論

・2005年11月11日-新しい本の出版

・2005年11月10日-雑誌「世界」12月号

・2005年11月01日-小泉内閣の新閣僚

・2005年10月20日-「強制わいせつ」と「卑猥な言動」

・2005年10月17日-共犯者の自白の信用性

・2005年10月16日-言葉による「セクハラ」とその限界

・2005年10月15日-専門の法律用語

・2005年10月13日-心神喪失者等医療観察法の矛盾

・2005年10月08日-雑誌「世界」の原稿(共謀罪)

・2005年10月03日-ハッセマー教授の講演

・2005年09月30日-法制審議会の議事録

・2005年09月28日-治安維持法のこと

・2005年09月27日-介護保険制度の改正

・2005年09月21日-若い人の保守化について

・2005年09月14日-選挙の結果

・2005年09月09日-選挙について一言

・2005年09月05日-公務員の政治活動の禁止

・2005年09月02日-9月2日の京都新聞

・2005年07月28日-共謀罪の立法化

・2005年07月25日-吉川経夫先生からの電話

・2005年07月18日-日弁連の刑事法制委員会

・2005年07月13日-再び靖国問題について

・2005年07月10日-敗戦直後のこと(2)

・2005年07月10日-敗戦直後のこと(1)

・2005年07月05日-国会議員の平均所得

・2005年06月27日-昭和1桁世代

・2005年06月22日-法の論理と人間性

・2005年06月20日-文部省「あたらしい憲法のはなし」1948年

・2005年06月19日-心神喪失者法施行前の危うさ

・2005年06月15日-another story

・2005年06月14日-人権と特権の区別

・2005年06月10日-「教官」という言葉

・2005年06月10日-いわゆる「社会的入院」の解消問題

・2005年06月06日-靖国問題に一言

・2005年06月05日-難解な臓器移植法案

・2005年06月03日-中・中山論争について

・2005年06月03日-心神喪失者法の施行前

・2005年06月01日-刑法と教育勅語

・2005年05月31日-日精協の政治献金

・2005年05月30日-河野太郎氏への質問

・2005年05月14日-「日精協」と厚労省と族議員

・2005年05月12日-官と民の関係

・2005年05月10日-心神喪失者等医療観察法の施行について

・2005年05月06日-●入り議事録の読取の完成

・2005年05月04日-Haste not Rest not

・2005年05月03日-京都大学教官研究集会について

・2005年04月29日-法定刑の引き上げと量刑の動向

・2005年04月26日-国立大学の授業料

・2005年04月26日-臓器移植法の改正案

・2005年04月23日-瀧川先生との出会い

・2005年04月19日-規範意識と「積極的一般予防」論

・2005年04月17日-規範意識のキーワード

・2005年04月14日-議事録の顕名に関する情報

・2005年04月13日-●入り議事録と格闘中

・2005年04月12日-民権塾の創設に向けて

・2005年04月10日-国会における文書の朗読

・2005年04月08日-臓器移植法の改正案

・2005年04月08日-地方公務員の政治活動にも罰則か

・2005年04月05日-法務大臣の規則違反

・2005年04月02日-憲法9条の会

・2005年03月30日-私の戦前体験

・2005年03月26日-公務員の服務規律違反と犯罪行為

・2005年03月18日-石井徹哉さんからの再質問について

・2005年03月15日-石井徹哉さんの質問について

・2005年03月15日-心神喪失者法の性格について

・2005年03月14日-昭和25年の地公法制定時の国会の良識

・2005年03月11日-総司令部に押し付けられた国公法と憲法


・2005年03月08日-心神喪失者等医療観察法の性格

・2005年03月06日-国家公務員と地方公務員との差別





11月30日付・読売社説-社会保障目的税 財源確保への意義ある一歩

2008年12月02日 | Weblog
参照URL http://www.yomiuri.co.jp/editorial/news/20081129-OYT1T00813.htm



「社会保障給付と税負担の関係をはっきりさせ、年金や福祉、介護の財源確保に向けた大きな一歩になろう。

 経済財政諮問会議が、税制抜本改革の道筋を示す「中期プログラム」で、消費税を社会保障目的税とすることで大筋合意した。消費税の引き上げによる税収増は、社会保障給付だけに使われることになる。

 並行して中期プログラムを議論している自民党税制調査会も、この方針に同調する見通しだ。安定財源確保のため、政府・与党が歩調をあわせる意義は大きい。

 諮問会議では、民間議員が〈1〉税制抜本改革による増収額はすべて社会保障給付の必要な増分に充て、官の肥大化には使わせない〈2〉行革の推進と歳出規律を維持する――など、抜本改革の3原則を提案し、基本的に了承された。

 消費税を社会保障目的税とすることには、政府税制調査会も前向きだ。麻生首相に提出された来年度税制改正答申では、昨年の答申を踏襲する形で、消費税を社会保障財源に充てることを選択肢に検討を進めるよう求めている。

 政府税調は答申で、中期プログラムの策定を、「社会保障の安定財源確保と税制抜本改革の具体化に向けた第一歩として重要な意義を持つ」としている。

 税収をすべて社会保障給付に回すことで、低所得者ほど消費税の負担割合が高くなる「逆進性」の問題も緩和される。社会保障給付は低所得者ほど手厚い配分を受けられるからだ。

 食料品などに軽減税率を導入すれば、低所得者の負担はさらに緩和されるだろう。導入に向けた道筋をつけるべきだ。

 残る課題は、消費税をいつ、どれだけ引き上げるかだ。

 今の景気情勢を考えれば、すぐに消費税の引き上げはできない。だが、景気回復が確認できた時点では、引き上げをためらってはなるまい。それには、あらかじめ、十分な準備をしておくことが肝要である。

 社会保障国民会議は、医療・介護制度の充実度合いに応じて、消費税率にして3~4%分の財源が必要とする試算結果を示している。年金についても、社会保険修正方式、全額税方式の双方で、必要額が細かく試算されている。

 その基礎データも、すべて公開されている。政府・与党はこうした試算も参考にしながら、出来る限り詰めの作業を急ぐべきだ。負担と給付の関係を、できるだけ明確に国民に示してほしい。

(2008年11月30日01時55分 読売新聞)」


政府・与党の広報誌だね。早く政府を変えなきゃ。


被害者裁判参加 真相究明に役立つ制度に(12月2日付・読売社説)

2008年12月02日 | Weblog
2008年12月02日 18時44分記載

参照URL http://www.yomiuri.co.jp/editorial/news/20081201-OYT1T00945.htm



「あくまで慎重に運用し、刑事裁判の真相究明に役立つ制度にしていかなければならない。

 殺人や誘拐、死亡交通事故などの重大事件・事故で、被害者や遺族が加害者の裁判にかかわる「被害者参加制度」が始まった。1日以降に起訴された事件が対象となる。

 被害者は、法廷で検察官の隣に座り、被告や証人に質問できる。検察官が求刑した後、被害者も被告の量刑について意見を述べることが可能になった。ドイツやフランスなどで同様の制度が導入されている。

 制度は、「事件の当事者でありながら、裁判では蚊帳の外に置かれてきた」という被害者側の声にこたえる形で実現した。

 確かに、被害者の質問に答えることにより、被告が反省の念を募らせ、新たな供述をする可能性もあるだろう。

 だが、一方で、「法廷が報復の場になる」といった反対論も根強い。被害者の中にさえ、「被告に反論されれば、被害者は再び傷つく」などと慎重論がある。

 被害者と被告のやりとりが感情的になる恐れも、否定できまい。被告が犯行を否認している事件の裁判では、なおさらだろう。

 犯罪被害者の立場を尊重すべきなのは、言うまでもない。だが、被害者の参加が、刑事裁判の冷静な事実認定の障害になってはならないだろう。

 裁判長は、被害者からの申し出を受け、裁判への参加を認めるかどうかを決める。精神的に不安定なことはないか。法廷の秩序を乱す恐れはないか――。こうしたことを見極めて、参加の是非を慎重に判断する必要がある。

 来年5月に始まる裁判員制度の対象となる公判の多くに被害者が参加することになるだろう。

 一般の人から選ばれる裁判員が、「被告に厳罰を」といった被害者の“求刑”に心を動かされ、被告により重い刑を科すことはないだろうか。

 情に流されて結論を出すことのないよう裁判員に徹底するのも、裁判長の大切な責務である。

 最高裁は、被害者が参加した裁判の量刑の動向を検証していく必要がある。

 被害者は自らの弁護士を法廷に同席させることができる。検察官と被害者・弁護士が、質問事項を事前に調整することも、裁判を円滑に進めるうえで欠かせまい。

 法務省や最高裁は、制度の不備が浮き彫りになった場合、柔軟に改善すべきである。

(2008年12月2日01時58分 読売新聞)」

被害者裁判参加は、危険な香りしかしないんだけどな、私には。

ドイツやフランスで同様の制度が実施されているからって、それを日本に持ち込むのはどうなんだろうね。ドイツ人やフランス人の権力観・刑事裁判観と日本人のそれとはだいぶ違いがあると思うんだけど。

ドイツ・フランスどころかEUでは廃止されている死刑は、国民の支持が高いと言って存置して、裁判員裁判は、国民の参加意識が低いのに導入する。


いつでも我が国政府は都合がいいね。