がん(骨肉腫)闘病記

抗がん剤治療、放射線治療、人工関節置換手術、MRSA感染、身体障害者となっての生活の記録を残します。

感染症雑感

2007年01月13日 | Weblog
感染症に罹ったことについて、それまでの経緯も含め、思う所を記したい。

6月21日の手術の数週間前、主治医とは別の医師に感染症について質問をした。感染症になったらどのようになるのかと。その時は感染症になったらどうなるのかという話がメインで、人工関節を抜いて最低半年はそのままにしておかなければならないという話であった。なぜ半年も抜いておかなければならないのか尋ねた所、3ヶ月は細菌の撲滅のため。残り3ヶ月はダメージを負った周囲の細胞の修復のためということであった。私はもっと話を聞きたかったのだが、ここで「悪い話はやめよう」と医師に言われ、話は打ち切られてしまった。この点を後でとても悔やむことになる。なぜ感染症になるかの原因の部分をもっと深く掘り下げて聞いておけば良かった。「悪い話だからこそ聞きたい」と引き留めるべきであった。感染症に対する認識が甘かった。

感染症になってから医師に聞いた話では、術後、感染症になる確率は10%だそうである。医療行為における10%のリスクというのはとても高い。この話は手術前には聞いていない。輸血のリスクや麻酔のリスクについてはどのようなリスクがどのくらいの確率で存在するのか詳しく説明を聞いたが、感染症については説明を受けていない。手術の同意書にはチェックが付けてあるだけであった。

私は学生の頃から法律を勉強していて、現在も法律に関わる仕事に就いているが、上記の病院の対応は医師の説明義務違反による債務不履行責任を問われる可能性を孕んでいるように思う。同意書にサインしているのだから感染症の説明に対する同意があったとして病院側が争い、勝つ可能性も考えられるが、微妙な判断になると思われる。10%もの高率の危険性を十分に説明しなかったからである。専門性の高い職業に就いている者には、その専門性が高ければ高いほど高度な注意義務が課せられる。その高度な注意義務を医師は果たしていなかったと言えるのではないだろうか。ありとあらゆるリスクを説明する義務まではないと思うが、10%のリスクは説明しなければならない。(その10%という数字にも私は疑問を持っている。私が入院していた病院では結構な数のMRSA患者がいたので、実はもう少し高いのではないかと。足を切断する結果になっていたら裁判で争っていたかもしれない。)

もちろん説明を受けていたとしても、患肢温存手術を選んでいたが、事前に説明を受けていれば心構えを含め、色々な対応を取れたのではないかと思う。傷口が塞がるまでは面会者とは会わない、ドレーンが抜けるまでリハビリを行わない、部屋に除湿機を置いて部屋の湿度を下げる等。そういったことを考える機会が与えられなかったことは非常に残念である。