アジアの手仕事~生活と祈り~

アジア手工藝品店を営む店主が諸国で出逢った、愛すべき”ヒト・モノ・コト”を写真を中心に綴らせていただきます

ラオスの裾刺繍スカート”シン・ティーン・サオ”

2014-11-12 06:20:00 | 染織











製作地 ラオス北東部 フアパン県  
製作年代(推定) 20世紀半ば~後半
民族名 タイ・ヌア族(Tai Nuea)  ※フアパン県に生活するタイ・ダム族、タイ・デーン族、タイ・カオ族等の総称

”裾刺繍のスカート(=シン・ティーン・サオ)”とは裾部の装飾が織りではなく刺繍によりなされるシンを指すもので、主にベトナムと国境を接するフアパン県及び国境をまたいだベトナム側に生活するタイ・ラーオ族系民族の間で培われてきた技巧のものとなります。

緯紋織・縫取織で表現されるモチーフとほぼ同一の文様が刺繍で表現されることが意匠上の特徴で、第二次世界大戦~インドシナ戦争の戦乱時、移動・避難生活を継続して強いられる中、大きな織機の利用がかなわなかった人々が、シンの装飾については針仕事で行ったことが製作の発端とも考えられております。

”白い鹿”の可憐な表情と背景の多色文様の美しさに目を惹かれる本スカート、一針一針の刺繍からは平安や子供の健やかな成長等を祈る気持ちが伝わってくるようにも思われます。





●本記事内容に関する参考(推奨)文献


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