製作地 インド ※地域不詳
製作年代(推定) 19世紀
素材/技法 絹(野蚕?)、木綿、天然染料、銀モール(撚銀糸) / 平地、縞、縫取織
サイズ 10.5cm×96cm、8cm×98cm
この2枚の細長の布は女性用のサリーの布端ボーダー裂で、地組織の経緯に黄茶(金茶)の絹平糸、段模様部分に黄色の絹芯糸に銀(切銀)が巻かれた銀モール糸と白木綿、さらに藍木綿による縫取織で縞及び浮文状の装飾がなされたものとなります。
地組織の絹平糸、段模様を構成する銀モール糸、縫取織と縞を表す藍木綿の撚り糸、それぞれが糸作りから始まる巧緻な職人手仕事によるものであり、地及び装飾ともに肉眼では確認できないほどの繊細な糸遣い・織りがなされております。
また絹平糸はムガ等の野蚕とも思われ、織物は薄手ながら独自の張りとシャリ感が感じられ、天然染料の黄茶(金茶)の染まりをあわせ、独自の表情の落ち着きと古淡美が薫ってまいります。
素材・技術・製作の背景を含めて、そのすべての要素が今では失われしもの、土地と時代、歴史の浪漫が薫るインド・アンティーク銀モール織物の逸品裂です。
●本記事内容に関する参考(推奨)文献