ウイ・チュン営州城主(遼河攻めの先鋒隊長)
三国流転 立志編 vol4 第7話 遼河の決戦
ウルチムンドク:陛下、敵は射程範囲内です。
カンイシク:陛下、攻撃命令を
ヨンヤン王:攻撃開始(シージャカラー)
カンイシク:弓隊は構えよ、合図を送れー
早衣の師範:弓隊攻撃せよ。
営州城主:攻撃だ。突き進め-
随の部下:陛下、敵は防御で手一杯です。
リャン:そうだな。国境を守るのに必死だ。攻撃を続けろ。一気に川を渡りきるのだ。
営州城主:柵を壊せ。中央から突破せよ
早衣の師範:命令が下るまで矢を放つのだ。柵を死守しろ。
ウルチムンドク:敵は全軍、川に入りました。
そろそろ石砲を使うときです。
次の作戦だ。前線の兵を退却させ、石砲の用意だ。
☆投石用の武器
営州城主:敵が退却を始めたぞ。柵を倒すのだ。
カンイシク:弓を放て、続けて石砲を撃ち敵を就かずけるな。石を浴びせるのだ。
営州城主:このままでは沈む、早く川を渡れ。柵を倒せ、柵をどけるのだ。
リャン:妙だな。さぜ右往左往している。投石に苦戦するとは。
ワン軍師:ここでお止まりください。
ワナです。川に火を灯し、川の氷を溶かしていたのです。
部下:危険ですから、こちらからお逃げください。
リャン:川がこんなに簡単に溶けるとは。
部下:8万の大軍上に乗り、が石砲と火を使えば川の氷も割れてしまいます。
ワン軍師:川を渡るか、後退するかです。ここに居ては危険です。
リャン:逃げるとは何事だ。我が軍は8万もいるのだぞ。逃げれば兵はどうなる。
ウイ・チュン将軍は川を渡ったか
部下:氷が割れています。
営州城主:このままでは危ない。川を渡れ。向こう岸へ渡れ-
部下:ウイ・チュン将軍!
部下:お気を確かに
リャン:これは夢ではないのか。夢であってくれ。
たった数時間ですべてが終わってしまった。
我が軍8万がすべて川に沈んでしまった。
ワン軍師:一刻も早くここを離れるべきです。追撃隊が来ればひとたまりもありません。
部下:我が軍は全滅します。ひとまず退却を
リャン:まともに戦いもぜず退却などできるものか
ワン軍師:夜が明ければ追撃隊が来るでしょう。早くここを離れるのです。
リャン:このまま戻れるのもか。負けを認めるわけにはいかないのだ。
夜が明けて。
高句麗の偵察隊:遼沢に逃げていきます。
カンイシク:マンニジの言うとおり、冬の川で魚を捕りましたな。
ウルチムンドク:その通り。とにかく初戦は大勝利を収めました。
ヨンヤン王:魚を捕ったら次は料理すべきだな。
まだ、戦いは始まったばかりだ。
儀式の準備をし兵士を休ませろ。
随、ヤングワンの後方支援部隊。
ヤンソ右宰相:今何と言った壊滅状態だと?
ヤングワン:信じられん。遼河に引き込まれ一瞬でやられた。
敵には優れた策士がいるようだ。
コ・ギョンすら勝てぬとは。
敵は1万だったはずだ。
敵将はいったい誰なのだ。
部下:ウルチムンドクとカンイシクです。
ヤングワン:ウルチムンドクか大したものだ。一度会ってみたいものだ。
ヤンソ:感心している場合ではございません
ヤングワン:分かっておる何とかしよう。
漢王(ハンワン)のところへ向かうぞ兵を整えろ。
妙な方向に事態が進んでいるな。
営州(ヨンジュ)の随軍営。
リャン:兵士たちはむな川に沈んだ。どうしてなのだ。
コ軍師:敵の動向を把握する前に川を渡ったからです。
氷も溶け始めていました。
火をともし石を投げれば
リャン:そなたの失態だ。口を開けば先へ進むなと行軍を遅らせた。
遼沢で一気に攻めていれば、このような事態にならなかった。
ワン総菅、都へ伝令だ。援軍を要請しろ。今すぐ伝令を送れ。
年寄りなどと共に戦い惨めな思いをした。
-天を仰いで。無念な思いをするコ・ギャン将軍であった。
高句麗軍営。
カンイシク:この戦いで陛下の力を世に知らしめました。
随の皇帝は詔勅の中で、遼河と長江を比べろと言いましたが、敵は遼河を甘く見たのです。
ウルチムンドク:この戦いで陛下は国の栄光を取り戻したのです。
ヨンヤン王:次の戦の準備だ。敵はさらなる大軍で攻めてくるだろう。
今までは運も我らの味方をした。だが、次からはよういではない。
伝令:平壌城(ピョンヤンソン)から知らせがきました。
ヨンヤン王:弟がヨクサルを説き伏せ兵を出したそうだ。
さすが高句麗の臣下たちだ。
朕が出征したことで一念発起したのだろう。
ヨクサルが15万の兵をだしたそうだ。
やはりコゴンムは頼りになる。これで怖いものはない。
隋よいつでもかかってくるがよい。
隋の宮廷。
隋皇帝:リャンの率いる部隊が遼河に沈んだだと?
10万の兵のうち8万を失った?
グアンとヤンソは何をしていたのだ。黙って見ていたのか?
部下:漢王様の独断で遼河を渡ったとか
隋皇帝:戦場での経験もないのに無謀なことを。なんという失態だ。
リャンたちを即刻呼び戻せ。責任を問い、軍法で裁くのだ。なにをしている。
皇后聞いていたのか。リャンの軍が・・
ドッコ皇后:私たちの息子を軍法で裁くと?
民なら掃いてすてるほどいます。
また、兵を集めてはどうですか。
私たちの息子は数人だけなのですよ。
だれでも失敗はします。
負けるたびに裁けば子どもたちをすべて失います。
リャンは陛下につくそうとして、危険な戦場にとどまっています。
高句麗軍に対して10万の兵は少なかったのです。援軍を送るべきです。
皇帝:最初から後続部隊を送る気だった。
チュラフの水軍にも即刻伝令を送れ
軍船の用意を急がせろ
さらに我が国全土から兵を招集するのだ。
チン側室:皇后様、いらしたのですか
皇后:まだ日も高いのに大殿(テジョン)に何用だ
太子は父親に似たのだ。
高句麗軍の水軍。
船首を突く衝角をしっかり装着しろ。
☆衝角船:船首に\突起のついた軍艦
ヨン・テソ:軍艦の準備も順調に進んでいます。
遼河での戦いは圧倒的な勝利を収めたそうです。
殿下:勝算があったから戦争を始めたのだ。マンニジは大したおとこだ。
残園だな。兄に劣らずそなたも切れ者だが、兄のせいで影が薄い。
ヨン・テソ:何事にも順番があるのです。今のまま終わる気はありませんよ。
殿下:そなただけがたよりだ。
とにかく、ヨクサルが出兵に同意してくれた。ひとまず安心です。
ヨン・テソ:これからが本当の戦いです。
殿下:陸軍には陛下がいるから安心だが、水軍は不安だ。
マンニジに7月まで敵軍を食い止めろ言われた。
問題はその後だ。
ヨン・テソ:もしや兄上は神風の話を?
殿下:神風などあり得ようか。
ヨン・テソ:兄上はウソを申しません。
殿下:そなたは信じているのか
兄上は首を差し出す覚悟で申し上げたのです。信じるに値します。
殿下:私も遼河に行こう。
ヨクサルたちが兵を出すなら私も戦場に赴かなくては
マンニジ邸:
祖室の遣い:天の気を使うのでお体に障ると案じているのです。
マンニジ:風の力を少し拝借するだけだ。
ほかに何か?
祖室の遣い:懸命にご子息を探していますが、手がかりは何も
新羅 徐羅伐(ソラボル) 月城(ウオルソン)
マノ太后(チンピョン王の母 キム・ユシンの祖母)
---
キム・ユシン一家
当時の新羅王室は最高位のマノ太后は、ユシンの母方の祖母。
ユシンの母、マンミョンは王族の直系であった。
一方、父のソヒョンは伽耶(カヤ)系の王族。
当時、骨品制(コルブム)を導入していた新羅では、伽耶(カヤ)系は王族であっても屈辱的な差別を受けていた。
しかし、新羅王族のマンミョンは、ソヒョンと恋に落ち駆け落ちしたのだ。
皇太后は2人を許し、一家は徐羅伐(ソラボル)に戻った。
そして、ユシンは追い風の人生を歩み始めた。
その頃、遼河の戦場では。
随の大軍を高句麗王ヨンヤンが壊滅に追いやり、
寒い冬が終わりを告げ、春の訪れを迎えていた。
遼河に来た殿下:
お聞きかと思いますがヨクサルと共に兵を出しました。
本陣は烏骨城(オゴルソン)、新城(シンソン)、玄菟城(ヒョントソン)、蓋牟城(ケモソン)卑沙城(ピサソン)も
兵を集め討伐の準備を進めています。
カンイシク:このたびの戦いで陛下は十分に威厳を示されました。
今後は私たちにお任せください。
陛下:遼河での戦いを最後まで指揮したかった。
随の皇帝ヤン・ギョンの鼻をへし折ってやるつもりだったのに。
今頃、ヤンギョンはそんなに腹を立てていることか。
随の宮廷では。
ヤン・ギョン皇帝:
8万もの兵を川に沈めておいて、お前たちだけ逃げ帰ってくるとは。
兵を犠牲にし昼寝でもしていたのか。
口はあるだろう。なんとか言ってみろ。
兵士たちの命は虫けら同然で、全力で戦ったなら腹も立たぬだろうが、
一晩で8万もの兵を失うとは。リャン、答えろ。
皇后の庇護がなければ、即刻処刑しさらし首にしたいところだ。このたわけものが。
お前たちは、尚書僕射(サンソボクヤ)だ。
宰相ではないか。
朕と共に何度も戦場で戦いぬいてきたはずだ。
それがなぜ高句麗ごときに負けた?
まったく信じられん。
リャン:私に名誉挽回の機会を与えてください。
次は必ず高句麗を討ってみせます。
ヤン・ギョン皇帝:
失敗は誰でもすると皇后も言っていた。それに免じて許そう。
軍の編制は今まで通りでいけ。
力を合わせて罪を償え。分かったな。
ドッコ皇后:(リャンに向かって)
このたびはとんだ失態だったな。
8万もの兵を失うとは。
今からでも遅くない。グワンを頼りなさい。
太子はうつけ者で将来に期待は持てぬ。
だから二男の取り入っておくのです。
兄弟の間柄が壊れれば他人以下の扱いになる。
それを肝に銘じなさい。
リャン:太子のヨン兄上は王位を継がれないのですか。
その頃、遼沢の遼河では。
カンイシク大将軍:
季節が過ぎるのは実に早い。
かげろうが揺れたと思ったら、もう野と山の色が変わってきました。
次に随軍が出陣するのは6月中旬だと耳にしました。
マンニジが書き記した知恵袋のとおりです。
ウルチムンドク:
マンニジは敵に遼河を越えさせぬ気です。
的の出陣が本当に6月中旬なら遼沢(ヨタク)に到着するのは6月下旬か7月初旬
その頃は梅雨の時期で、やがて梅雨明けの厳しい暑さを迎えます。
マンニジが言った、夏に魚を料理するとはこのことです。
遼沢で敵に大打撃を与え疲れさせたのち、とどめの一撃を加えるのです。
部下:(民に)じきに随軍が押し寄せますこの地をはなれるのです。
いつか戻れる日がくる。
マルガル族長:
この遼沢はたいへんなところですな
20里もの湿地は広がり、人もまともに通れない。
ところでなぜ民を他の地へ?
部下:敵から飲み水を奪うためだ。
飲み水になる井戸には毒を入れて埋めるのだ。
急げ、泉をすべて見つけ出すのだ。
---
ヨンヤン王の先制攻撃から4ヶ月経った。
檀紀(ダンキ)2931年
西暦598年6月
隋の文帝は再び大軍を遼河へ送った。
中国史上、最も屈辱的とも称される高句麗・隋戦争の本格的な始まりであった。
必ずや
これまでの屈辱を晴らす。見ておれ。
---
三国流転 立志編 vol4 第7話 遼河の決戦
ウルチムンドク:陛下、敵は射程範囲内です。
カンイシク:陛下、攻撃命令を
ヨンヤン王:攻撃開始(シージャカラー)
カンイシク:弓隊は構えよ、合図を送れー
早衣の師範:弓隊攻撃せよ。
営州城主:攻撃だ。突き進め-
随の部下:陛下、敵は防御で手一杯です。
リャン:そうだな。国境を守るのに必死だ。攻撃を続けろ。一気に川を渡りきるのだ。
営州城主:柵を壊せ。中央から突破せよ
早衣の師範:命令が下るまで矢を放つのだ。柵を死守しろ。
ウルチムンドク:敵は全軍、川に入りました。
そろそろ石砲を使うときです。
次の作戦だ。前線の兵を退却させ、石砲の用意だ。
☆投石用の武器
営州城主:敵が退却を始めたぞ。柵を倒すのだ。
カンイシク:弓を放て、続けて石砲を撃ち敵を就かずけるな。石を浴びせるのだ。
営州城主:このままでは沈む、早く川を渡れ。柵を倒せ、柵をどけるのだ。
リャン:妙だな。さぜ右往左往している。投石に苦戦するとは。
ワン軍師:ここでお止まりください。
ワナです。川に火を灯し、川の氷を溶かしていたのです。
部下:危険ですから、こちらからお逃げください。
リャン:川がこんなに簡単に溶けるとは。
部下:8万の大軍上に乗り、が石砲と火を使えば川の氷も割れてしまいます。
ワン軍師:川を渡るか、後退するかです。ここに居ては危険です。
リャン:逃げるとは何事だ。我が軍は8万もいるのだぞ。逃げれば兵はどうなる。
ウイ・チュン将軍は川を渡ったか
部下:氷が割れています。
営州城主:このままでは危ない。川を渡れ。向こう岸へ渡れ-
部下:ウイ・チュン将軍!
部下:お気を確かに
リャン:これは夢ではないのか。夢であってくれ。
たった数時間ですべてが終わってしまった。
我が軍8万がすべて川に沈んでしまった。
ワン軍師:一刻も早くここを離れるべきです。追撃隊が来ればひとたまりもありません。
部下:我が軍は全滅します。ひとまず退却を
リャン:まともに戦いもぜず退却などできるものか
ワン軍師:夜が明ければ追撃隊が来るでしょう。早くここを離れるのです。
リャン:このまま戻れるのもか。負けを認めるわけにはいかないのだ。
夜が明けて。
高句麗の偵察隊:遼沢に逃げていきます。
カンイシク:マンニジの言うとおり、冬の川で魚を捕りましたな。
ウルチムンドク:その通り。とにかく初戦は大勝利を収めました。
ヨンヤン王:魚を捕ったら次は料理すべきだな。
まだ、戦いは始まったばかりだ。
儀式の準備をし兵士を休ませろ。
随、ヤングワンの後方支援部隊。
ヤンソ右宰相:今何と言った壊滅状態だと?
ヤングワン:信じられん。遼河に引き込まれ一瞬でやられた。
敵には優れた策士がいるようだ。
コ・ギョンすら勝てぬとは。
敵は1万だったはずだ。
敵将はいったい誰なのだ。
部下:ウルチムンドクとカンイシクです。
ヤングワン:ウルチムンドクか大したものだ。一度会ってみたいものだ。
ヤンソ:感心している場合ではございません
ヤングワン:分かっておる何とかしよう。
漢王(ハンワン)のところへ向かうぞ兵を整えろ。
妙な方向に事態が進んでいるな。
営州(ヨンジュ)の随軍営。
リャン:兵士たちはむな川に沈んだ。どうしてなのだ。
コ軍師:敵の動向を把握する前に川を渡ったからです。
氷も溶け始めていました。
火をともし石を投げれば
リャン:そなたの失態だ。口を開けば先へ進むなと行軍を遅らせた。
遼沢で一気に攻めていれば、このような事態にならなかった。
ワン総菅、都へ伝令だ。援軍を要請しろ。今すぐ伝令を送れ。
年寄りなどと共に戦い惨めな思いをした。
-天を仰いで。無念な思いをするコ・ギャン将軍であった。
高句麗軍営。
カンイシク:この戦いで陛下の力を世に知らしめました。
随の皇帝は詔勅の中で、遼河と長江を比べろと言いましたが、敵は遼河を甘く見たのです。
ウルチムンドク:この戦いで陛下は国の栄光を取り戻したのです。
ヨンヤン王:次の戦の準備だ。敵はさらなる大軍で攻めてくるだろう。
今までは運も我らの味方をした。だが、次からはよういではない。
伝令:平壌城(ピョンヤンソン)から知らせがきました。
ヨンヤン王:弟がヨクサルを説き伏せ兵を出したそうだ。
さすが高句麗の臣下たちだ。
朕が出征したことで一念発起したのだろう。
ヨクサルが15万の兵をだしたそうだ。
やはりコゴンムは頼りになる。これで怖いものはない。
隋よいつでもかかってくるがよい。
隋の宮廷。
隋皇帝:リャンの率いる部隊が遼河に沈んだだと?
10万の兵のうち8万を失った?
グアンとヤンソは何をしていたのだ。黙って見ていたのか?
部下:漢王様の独断で遼河を渡ったとか
隋皇帝:戦場での経験もないのに無謀なことを。なんという失態だ。
リャンたちを即刻呼び戻せ。責任を問い、軍法で裁くのだ。なにをしている。
皇后聞いていたのか。リャンの軍が・・
ドッコ皇后:私たちの息子を軍法で裁くと?
民なら掃いてすてるほどいます。
また、兵を集めてはどうですか。
私たちの息子は数人だけなのですよ。
だれでも失敗はします。
負けるたびに裁けば子どもたちをすべて失います。
リャンは陛下につくそうとして、危険な戦場にとどまっています。
高句麗軍に対して10万の兵は少なかったのです。援軍を送るべきです。
皇帝:最初から後続部隊を送る気だった。
チュラフの水軍にも即刻伝令を送れ
軍船の用意を急がせろ
さらに我が国全土から兵を招集するのだ。
チン側室:皇后様、いらしたのですか
皇后:まだ日も高いのに大殿(テジョン)に何用だ
太子は父親に似たのだ。
高句麗軍の水軍。
船首を突く衝角をしっかり装着しろ。
☆衝角船:船首に\突起のついた軍艦
ヨン・テソ:軍艦の準備も順調に進んでいます。
遼河での戦いは圧倒的な勝利を収めたそうです。
殿下:勝算があったから戦争を始めたのだ。マンニジは大したおとこだ。
残園だな。兄に劣らずそなたも切れ者だが、兄のせいで影が薄い。
ヨン・テソ:何事にも順番があるのです。今のまま終わる気はありませんよ。
殿下:そなただけがたよりだ。
とにかく、ヨクサルが出兵に同意してくれた。ひとまず安心です。
ヨン・テソ:これからが本当の戦いです。
殿下:陸軍には陛下がいるから安心だが、水軍は不安だ。
マンニジに7月まで敵軍を食い止めろ言われた。
問題はその後だ。
ヨン・テソ:もしや兄上は神風の話を?
殿下:神風などあり得ようか。
ヨン・テソ:兄上はウソを申しません。
殿下:そなたは信じているのか
兄上は首を差し出す覚悟で申し上げたのです。信じるに値します。
殿下:私も遼河に行こう。
ヨクサルたちが兵を出すなら私も戦場に赴かなくては
マンニジ邸:
祖室の遣い:天の気を使うのでお体に障ると案じているのです。
マンニジ:風の力を少し拝借するだけだ。
ほかに何か?
祖室の遣い:懸命にご子息を探していますが、手がかりは何も
新羅 徐羅伐(ソラボル) 月城(ウオルソン)
マノ太后(チンピョン王の母 キム・ユシンの祖母)
---
キム・ユシン一家
当時の新羅王室は最高位のマノ太后は、ユシンの母方の祖母。
ユシンの母、マンミョンは王族の直系であった。
一方、父のソヒョンは伽耶(カヤ)系の王族。
当時、骨品制(コルブム)を導入していた新羅では、伽耶(カヤ)系は王族であっても屈辱的な差別を受けていた。
しかし、新羅王族のマンミョンは、ソヒョンと恋に落ち駆け落ちしたのだ。
皇太后は2人を許し、一家は徐羅伐(ソラボル)に戻った。
そして、ユシンは追い風の人生を歩み始めた。
その頃、遼河の戦場では。
随の大軍を高句麗王ヨンヤンが壊滅に追いやり、
寒い冬が終わりを告げ、春の訪れを迎えていた。
遼河に来た殿下:
お聞きかと思いますがヨクサルと共に兵を出しました。
本陣は烏骨城(オゴルソン)、新城(シンソン)、玄菟城(ヒョントソン)、蓋牟城(ケモソン)卑沙城(ピサソン)も
兵を集め討伐の準備を進めています。
カンイシク:このたびの戦いで陛下は十分に威厳を示されました。
今後は私たちにお任せください。
陛下:遼河での戦いを最後まで指揮したかった。
随の皇帝ヤン・ギョンの鼻をへし折ってやるつもりだったのに。
今頃、ヤンギョンはそんなに腹を立てていることか。
随の宮廷では。
ヤン・ギョン皇帝:
8万もの兵を川に沈めておいて、お前たちだけ逃げ帰ってくるとは。
兵を犠牲にし昼寝でもしていたのか。
口はあるだろう。なんとか言ってみろ。
兵士たちの命は虫けら同然で、全力で戦ったなら腹も立たぬだろうが、
一晩で8万もの兵を失うとは。リャン、答えろ。
皇后の庇護がなければ、即刻処刑しさらし首にしたいところだ。このたわけものが。
お前たちは、尚書僕射(サンソボクヤ)だ。
宰相ではないか。
朕と共に何度も戦場で戦いぬいてきたはずだ。
それがなぜ高句麗ごときに負けた?
まったく信じられん。
リャン:私に名誉挽回の機会を与えてください。
次は必ず高句麗を討ってみせます。
ヤン・ギョン皇帝:
失敗は誰でもすると皇后も言っていた。それに免じて許そう。
軍の編制は今まで通りでいけ。
力を合わせて罪を償え。分かったな。
ドッコ皇后:(リャンに向かって)
このたびはとんだ失態だったな。
8万もの兵を失うとは。
今からでも遅くない。グワンを頼りなさい。
太子はうつけ者で将来に期待は持てぬ。
だから二男の取り入っておくのです。
兄弟の間柄が壊れれば他人以下の扱いになる。
それを肝に銘じなさい。
リャン:太子のヨン兄上は王位を継がれないのですか。
その頃、遼沢の遼河では。
カンイシク大将軍:
季節が過ぎるのは実に早い。
かげろうが揺れたと思ったら、もう野と山の色が変わってきました。
次に随軍が出陣するのは6月中旬だと耳にしました。
マンニジが書き記した知恵袋のとおりです。
ウルチムンドク:
マンニジは敵に遼河を越えさせぬ気です。
的の出陣が本当に6月中旬なら遼沢(ヨタク)に到着するのは6月下旬か7月初旬
その頃は梅雨の時期で、やがて梅雨明けの厳しい暑さを迎えます。
マンニジが言った、夏に魚を料理するとはこのことです。
遼沢で敵に大打撃を与え疲れさせたのち、とどめの一撃を加えるのです。
部下:(民に)じきに随軍が押し寄せますこの地をはなれるのです。
いつか戻れる日がくる。
マルガル族長:
この遼沢はたいへんなところですな
20里もの湿地は広がり、人もまともに通れない。
ところでなぜ民を他の地へ?
部下:敵から飲み水を奪うためだ。
飲み水になる井戸には毒を入れて埋めるのだ。
急げ、泉をすべて見つけ出すのだ。
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ヨンヤン王の先制攻撃から4ヶ月経った。
檀紀(ダンキ)2931年
西暦598年6月
隋の文帝は再び大軍を遼河へ送った。
中国史上、最も屈辱的とも称される高句麗・隋戦争の本格的な始まりであった。
必ずや
これまでの屈辱を晴らす。見ておれ。
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