こんばんわ。
かまくらの妙本寺で、年の瀬の見事な紅葉をみて、大満足して帰宅したら、また、うれしいことが続いた。まず、夕富士。めったに夕焼雲が富士山にかかることはないが、今日はばっちり。
たいていは雲がかかっても夕焼けに染まらない。今日は酔っ払い雲のように顔を赤くして漂っていた。
夕陽は富士山からだいぶ離れた南よりに沈む。
さらに、南に目をやると、上弦の月+1日のお月さまが。
酔っ払いのお月さまではなく、素面のお月さま。
ベランダから居間に戻り、夕刊を開くと、文化面に谷川俊太郎の連載詩”どこからか言葉が”が載っている。そして、その題名が、”ルバイヤートに倣ってまた”。びっくりした。
ルバイヤート(四行詩という意味)とは、オマル・ハイヤームの詩集名。十一世紀のペルシャの詩人だが、数学、天文学、史学など数々の分野において、一流の業績を残した方で、お酒も大好き。酔っ払い礼賛の詩集である。ぼくも本ブログで何度か紹介しているが、いくつかの四行詩(小川亮作訳)を再び載せよう。
もうわずわらしい学問はすてよう/白髪の身のなぐさめに酒をのもう/つみ重ねて来た七十の齢の盃を/今この瞬間(とき)でなくいつの日にたのしみ得よう
・・・・・
あしたのことは誰にだってわからない/あしたのことを考えるのは憂鬱なだけ/気がたしかならこの一瞬を無駄にするな/二度と帰らぬ命、だがもうのこりは少ない
・・・・・
魂よ、謎を解くことはお前には出来ない/さかしい知者の立場になることはできない/せめては酒と盃でこの世に楽土をひらこう/あの世ではお前が楽土に行けるとは決まっていない
そして、谷川俊太郎の詩。
たのしもう!何をくよくよ?
私より八百余歳年上の詩人は酔って無常を嘆くが
素面(しらふ)の私は青空を見上げて
変幻自在の雲の媚態に酔いしれる
お日さま、お月さま、お星さま
何の疑問も抱かずそう呼びかけていた
子供のころ天体はみな神様の親戚
知識に毒されない幼い知恵だったのだ、それは
(あとは省略)
そしてその下の欄にもびっくり。先だってぼくが紹介した”短歌を詠む科学者たち(松村由利子著)”の一人、永田和弘さんが現代短歌大賞を受賞したというおめでたいニュース。
今日は、なんだかとてもうれしい日だった。
それでは、おやすみなさい。
いい夢を。