おはようございます。
最近、脚力がだいぶ回復してきて、あちこち出掛けるようになった。小町通りから住宅街へ少し入った鏑木清方記念美術館を久し振りに訪ねた。”清方の描いた/夏のけしき”展が開催されていた。

メイン展示は、霽(は)れゆく村雨(1915)。六曲一双の屏風仕立て。下絵だが価値がある。というのは、本絵は関東大震災のとき消失してしまっている。このほかに、小下絵と、第九回文展の絵葉書も展示されていて、これらには色がついていて、随分と華やかな屏風であったことを想起させる。第9回文展で最高賞を受賞し、清方の出世作となったようだ。
上野の不忍池に蓮の花が咲き誇る、ちょうど今頃。突然の村雨。つよい雨風を傘で遮りながら湖畔を急ぐ二人の女性。
霽(は)れゆく村雨


”夏のけしき”といえば、当時は、浴衣を来て、団扇をあおぐ女性。そして蚊取りの煙。
空虚(新小説石版口絵、1910)

戀の湊(淸方畫譜の八)(講談雑誌口絵、1916)

蚊遣の煙(文芸倶楽部口絵、1916)

深沙大王(1904) これも夏のけしきにはちがいない。今年の2月の”物語の女性たち”でも展示されていた泉鏡花作の物語。

清方の”夏のけしき”といえば、”朝夕安居/夏の昼”をみたいところだが、ここでは下絵が展示されていた。下絵には子供の姿があったが、本画にはいなくなっている。ここでは特別に本画を掲載します(笑)。風鈴の音が聞こえてくるでしょうか。

一番、見たかったのは”朝涼”。ロビーに複製画が飾ってあったので、ゆっくりと見てきましたよ。
朝涼

今日も朝から涼しいですね。今日も一日、夏のけしきを楽しみながら、お元気で!