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ダーリン三浦の愛の花園

音楽や映画など徒然なるままに書いてゆきます。

明日のためにその227-西遊記 はじまりのはじまり

2016年03月25日 | アジア映画
傑作娯楽活劇。

孫悟空、言わずと知れた中国古来の寓話で有名なキャラクターだ。
日本では「ドラゴンボール」の主人公として、アニメ界にその名を残すことになった。
今回紹介する映画は「西遊記 はじまりのはじまり」
孫悟空が英雄になる前の物語だ。
ストーリーを紹介しておこう。

むかしむかしの中国。
青年、玄奘は妖怪ハンターになる決意をする。
しかし、力のない彼は、妖怪と遭遇するが、窮地に陥り、そこを美女妖怪ハンター「段」一味に助けられる。
その後、彼女らと協力して妖怪界でも最も強い妖怪を捕らえようとするが失敗する。
そして、彼は目標を変え、以前妖怪界を牛耳っていた「孫悟空」に助けを求めるのだが......

監督は「チャウ・シンチー」以前このブログでも、彼の作品「ミラクル7号」を取り上げたことがあるが、やはり彼は凄い。
今回の映画でも、独特のセンチメンタリズムとコミカルさを展開している。
私がいつも彼の映画で感心するのが、ここである。彼はアジア人としては稀有な才能の持ち主である。
そのセンチメンタリズムとコミカルさは、アジア人の発想にはおおよそ無いものと言って良い。
この映画にも、その点は活かされていて、思わず吹き出してしまうようなシーンは数多い。
そのイメージの展開の素晴らしさは、どの作品を観ても感嘆してしまう。
そして個人的だが、段役のスーチーが良い。
彼女は「ジャッキー・チェン」の映画「ゴージャス」で見て知っていた。
個人的にとても好みの女性である。
この映画はその「ゴージャス」から十数年後に作られているが、彼女の魅力は依然健在である。

ラスト、孫悟空の悪を取り払った玄奘は、彼の師匠の導きを元に、三蔵法師と名を改め、以前段が捕らえた妖怪から悪を取り除いた「沙悟浄」「猪八戒」そして「孫悟空」を供に経典を探す旅へと出発する。
そのバックに流れる音楽が「Gメン75」のテーマ曲だ。この「Gメン75」は1975年に日本で製作、放送された刑事物のドラマである。
私達の世代にとっては、懐かしいドラマのテーマ曲だ。
またここに「チャウ・シンチー」のコミカルさの非凡を感じる。(ただしこのGメン75を知らない世代ではこのオチは分からないが.....)
楽しく笑えて、満足できる一品なので、観ることをお勧めする。

2013年中国製作、カラー、110分、2014年日本公開、監督:チャウ・シンチー

明日のためにその222-殺されたミンジュ

2016年03月10日 | アジア映画
権力、貧困の差への強烈なメッセージ。

組織、特にサラリーマンにとっては、会社と言う組織は絶対的である。
上司の命令は絶対的であり、有無を言わさず実行させる時もあるだろう。
私自身、サラリーマン社会の中で、上司の命令に「絶対」を信じたことはない。
自分自身で考え、正しければ命令に従うが、そうでない時は、命令に従ったことは無い。
そのような生き方をしたおかげで、会社組織の中ではかなり厳しい状況に置かれたこともある。
しかし、一般的に言えば、上記のとおり会社組織の中での、上司の命令は絶対であろう。
また、貧富の差も、金で有無を言わさず、富裕層の人達が、貧困層の人達を絶対命令で動かす時もある。
現実社会、フラットで平等な世界は、望むべくもないのだ。
本日紹介する映画は「殺されたミンジュ」韓国の巨匠「キム・ギドク」の作品である。
ストーリーを紹介しておこう。

ある日、女子中学生が何者かに襲われ、殺されてしまう。
そして、約一年後、彼女を襲撃した犯人が、何者か分からない組織に一人づつ捕らえられる。
犯人を捕らえた組織は、襲撃の日、犯人の行なった事を紙に詳細に書けと命ずる。
嫌がる犯人には、拷問をしかけ、命令に従わせ、襲撃の詳細を書いた紙に、彼らの血痕を手のひらに付け、それを紙に押すことで犯人を解放していた。
徐々に分かってきたことは、襲撃犯にはそれを命令した上司が居ると言うことだった。
謎の組織は、襲撃犯全員を捕らえた後、それを命令した上司も捕らえ、同じ事をする。
そうして、事件の主犯へと徐々に迫ってゆく謎の組織だったが......

この映画には「権力」と言う物に対する、反発の強烈なメッセージがこめられている。
権力が生み出す不平等、それは組織で言えば「上部の人間が持つ権力」であり、世間で言えば富裕層が貧困層を見下す「金」と言うものである。
ギドク監督は、その不平等を認めながらも、それに対する反発をスクリーンに叩きつけてくる。
物語の後半で、謎の組織のボスは、権力にあがない、それに反発するがごとく、事件の主犯格を捕らえ、拷問するが、途中で彼らの権力あり方について納得してしまう。
ここの解釈が、観ていて若干気にかかった。最後まで、彼のポリシーを押し通すことをしなかった展開がこの映画の解釈を大幅に変えてしまう。
結局、現実世界のあがなえないものは、どうしてもそれを突破することができないと、この映画は結論づけてしまっているように思える。
自分自身で発信したメッセージに対して、観客にどう捉えてもらうかという前に、監督自身でその問題に回答を出してしまっているように思えた。
その点が、今回の映画については、不満が残ることになった。
ラスト、天使のハンマーが降りてくる、その結果は現在公開中の映画なので、割愛するが、それ故の結末に、監督の独りよがりが見えてくる作品だと思えた。
以前このブログにも投稿した、同監督の作品「嘆きのピエタ」の出来が良かったので、今回の作品については、全面的に納得ゆかないところがある。
しかし、映画全体としては、ギドク色の出ている作品になっている。
ギドク監督には、次の作品に期待したいと思う。
なお、以前もこのブログに投稿したが、今回も映画の宣伝文句を全面的に信じない方が良い。
いつまで、日本の映画関係者は、パブリシティーに下らないキャッチコピーを書くのだろうか、考えなおしていただきたいところである。

2014年韓国製作、カラー、122分、監督:キム・ギドク

明日のためにその138-レッド・ファミリー

2015年06月13日 | アジア映画
家族の絆から垣間見えるもの。

以前もこのブログでも書いたのだが、家族とは時にうとましく、時にとても優しい存在である。
今回紹介する映画もまたこの「家族」と「絆」について考えさせてくれるものである。
その映画は「レッド・ファミリー」北朝鮮のスパイについて描かれた映画である。
ストーリーを紹介しておこう。

韓国の郊外に住む仲むつまじい家族。
しかしその実態は北朝鮮の工作員だった。
彼らの隣家の家族はいつも仲が悪く口論が絶えない。
しかし徐々にその家族と付き合いを深めるうちに工作員達の感情に微妙な家族愛が生まれていくのだが......

脚本は韓国映画の大御所、キム・ギドク。
さすがにしっかりした脚本になっている。
北朝鮮工作員の「名ばかりの家族」の心境の変化を描ききっている。
物語は進行するにつれ意外な方向に向かっていく。
北朝鮮の工作員達の行動やいかに、さらにその隣人達の向かっていくところやいかに。
ラスト、少し甘めであるが一筋の希望がもてる内容になっている。
家族とは何かを考えさせてくれる佳作である。
是非ご覧になることをお勧めする。

2013年韓国製作、2014年日本公開、カラー、100分、監督:イ・ジュヒョン

明日のためにその137-ミラクル7号

2015年05月23日 | アジア映画
面白くやがて悲しき切なさよ。

映画と言えばハリウッドがその代表とされ、今までも様々な名作を生み出している。
アメリカの監督層は厚い。
またヨーロッパ映画も80年代後半の「シネマティク」ブームをきっかけに様々な名作が日本に紹介された。
それに遅れをとる形になったがアジアの映画も日本に紹介されることとなる。
アジアにも名作は数多く存在するのだ。
その中でも異彩を放つ存在が居る「周星馳(チャウ・シンチー)」である。
この監督の名前をご存知のかたも多いと思う、そうあの「少林サッカー」を撮った監督である。
本日紹介する映画は「ミラクル7号」制作年は古いが彼の最新作である。
ストーリを紹介しておこう。

主人公ディッキーは工事現場で働く父ティーと二人暮らし。
貧乏であるが父はディッキーに正直に、誇りを持って生きるように毎日諭す。
ある日父はゴミ捨て場から緑色のボールのような物を拾ってくる。
ディッキーがそのボールで遊んでいるとそのなかから不思議な生き物が出現する。
その生き物をディッキーは飼おうとするのだが.........

映画の作りはさすがである、細かい点についても上手く作ってある。
そして何よりも良いのはこの監督の持つセンチメンタリズムだ。
「少林サッカー」「カンフーハッスル」でも見られたそれがこの映画にも活かされている。
周星馳はもっと評価されてしかるべき監督だと私は思う。
それは既に彼が彼独自の世界を形成しているからである。
ハートウォームな映画なので是非観ることをお勧めする。

2008年、香港製作、カラー88分、2008年日本公開、監督:周星馳

明日のためにその124-嘆きのピエタ

2014年05月11日 | アジア映画
無常な借金取立て屋。

大変久しぶりにブログを更新することにした。
今までブログを読んでいた方々に長期間放置してしまったことをお詫びします。
久しぶりに映画を観る機会があったので今回はその映画の紹介を。
タイトルは「嘆きのピエタ」
韓国の大御所監督「キム・キドク」の作品で昨年のヴェネツィア映画祭で金獅子賞を受賞した作品である。
ストーリーを紹介しておこう。
孤独な借金の取立て屋イ・ガンドは借用者に対して非常な手段で借金を取り立てる。
誰も信じず、孤独な彼は次々と借用者を傷つけ借金を回収する。
そこへ或る日母親と名乗る女性が現れる。
最初はそのことを全く信じず、冷たい態度で彼女に接する彼だったがやがて心を開き彼女が母親だったことを受け入れ親子仲良く暮らすことになるのだが......
さすが「キム・キドク」映画の造りはしっかりしている。
そして視点の付け所が違う。
この映画を観るといかに母親が男性にとって偉大な存在かと言うことを思い知らされる。
物語は後半意外な方向へ展開していく。
その内容の残酷なこと。
映画はやがて悲しいエンディングを迎えることとなる。
私自身久しぶりに映画を観たが大変衝撃を覚えた。
と同時に映画の素晴らしさを再認識させてくれた映画である。
是非ご覧になることをお勧めする。
2012年、韓国製作、カラー、104分、監督キム・キドク、2013年ヴェネツィア映画祭金獅子賞。



明日のためにその116-タオさんのしあわせ

2013年11月04日 | アジア映画
人と人を結ぶ絆。

人と人とは絆で結ばれている。
やがてその絆は愛となり結ばれる。
更に子供が生まれて新しい絆ができあがる。
しかしこの絆は小さな家庭の中だけではない。
他人との間にも深い絆も存在する。
今回紹介するのは「タオさんのしあわせ」
ストリーを紹介しておこう。
14歳で両親をなくし、梁家の家政婦として60年間一緒に暮らしてきたタオさん。
今は末っ子の映画監督をしているロジャーと同居して家政婦を続けている。
ある日タオさんは脳卒中で倒れ入院する。
タオさんは退院後自らのお金で老人ホームへ入るとロジャーに言うのだが......
結局タオさんを見捨てられないロジャーは自身のお金でタオさんを老人ホームに入れる。
彼はそのとき初めて気づく。
両親の代わりに自分を育ててくれたのは彼女であったことを。
ロジャーはまるで自分の母親の面倒を見るようにタオさんに接する。
ここに彼と彼女の深い絆が見て取れる。
脚本もしっかりしていて映画の作りもしっかりしている。
タオさんの幸せ....それは何を指しているのだろか?
きっと彼女の家政婦としての14歳から奉公にでて60年奉公先で築いた家族との絆その全てを指すのではないだろうか。
久しぶりに他人との絆と言うものを気づかせてくれた佳作である。
是非観ていただくことをお勧めする。
蛇足だが私がこの映画には本人役でカメオ出演してる人達がいる。
私が確認できたところでは香港のアクション映画の巨匠「ツイ・ハーク」ゴールデンハーベストプロダクションの創始者のレイモンド・チョウなどがいた。
2011年香港・中国合作、2012年日本公開、カラー、119分、監督:アン・ホイ



明日のためにその90-プンサンケ

2013年06月08日 | アジア映画
南北を往来する孤独な運び屋。

南北朝鮮問題。
最近も北朝鮮の行動がなにかと話題を呼んでいる。
軍事休戦ラインで分断された朝鮮と言う国をその国に住む人達は統一を願っているのであろう。
旧ベルリンの壁やこの軍事休戦ラインのために別れを余儀なくされた家族も多いと聞く。
今回紹介するのは「プンサンケ」
南北朝鮮を基にした映画だ。
ストーリーを紹介しておこう。
南北朝鮮を様々な方法を駆使して往来する運び屋。
物言わぬ孤独な主人公の彼はある日依頼者を装った韓国情報局から匿っている北朝鮮の要人の愛人を連れてくるように依頼される。
彼は物以外に人でも運んでこられると言うのだ。
一般人からの依頼と信用した彼は見事その愛人を連れてくることに成功するのだが......
この孤独な運び屋は劇中一言も台詞を言わない。
ただただ孤独感を滲ませるだけだ。
以前このブログに書いたように今の韓国映画は「脚本」に助けられている。
しかしこの映画の脚本と製作総指揮をとったのは名匠「キム・ギドク」である。
さすがは彼の元で作られた映画。
脚本だけにたよることなく映画としてしっかりできている。
特に後半にかけては南北朝鮮問題に一石を投じている。
その作りはさすがである。
ラスト「灰とダイヤモンド」を彷彿させるような主人公の様にはただただ悲しみとあわれなまでな孤独感が漂う。
2011年韓国製作、2012年日本公開、カラー122分、監督チョン・ジェホン、脚本・製作総指揮キム・ギドク



明日のためにその88-サニー永遠の仲間たち

2013年06月03日 | アジア映画
煌びやかだった青春時代をもう一度。

若かったあの頃。
もう何十年も前のことである。
戻れることならもう一度戻りたいと思っている人も多いのではないか。
各人それぞれなので自分の青春時代を賛美できる人ばかりとは言えないが......
今回紹介するのは「サニー永遠の仲間たち」
韓国映画である。
ストーリーを紹介しておこう。
裕福な家庭に主婦としておさまっているナミ。
彼女は自分の母親が入院している病院でその病院に入院している高校時代の親友チュナと再会する。
彼女は不治の病で余命幾ばくもないと言う。
その彼女の願いはかってナミも仲間となっていた友達グループ「サニー」のメンバーに逢いたいのだ。
チュナの願いを聞き入れたナミは早速自分以外のメンバーを探すことになるのだが.....
私は韓国映画を結構観ている方である。
今の韓国映画は映画そのものよりも脚本がしっかりしていてそれに助けられているものが多い。
この映画もややその傾向が見られるがその按排は良い。
映画にもすんなりのめり込める。
過去と現在の物語なのでフラッシュバックを多用した作りになっているが観ていて混乱することはないだろう。
劇中サニーに対抗する女子グループの名前が「少女時代」と言うところには思わず笑ってしまった。
しかしそのグループが「少女時代はかっこうが悪いからグループ名をフィンクルに変えた」というくだりには思わずほくそえんだ。(これを理解するには初期の韓国ポップスを知らないと理解できないところだが)
ナミは果たしてメンバー全員を集めることができるのか?
物語は過去と現在を交差しながら進んでゆく。
そしてラスト、やはり青春時代は良いものだと思わせてくれた。
万人の持っている心の禁猟区を刺激するには十分の作品である。
2011年韓国製作、2012年日本公開、カラー124分、監督カン・ヒョンチョル。

明日のためにその48-ザンザシの樹の下で

2012年07月28日 | アジア映画
限りなく純愛。

人間年齢を重ねると色々なことを忘れてしまう。
何を見ても輝いて見られた若い日々を懐かしく思う時もあるだろう。
特に恋愛に関しては意中の人と接近しただけでも胸が高鳴った時代もあった。
全く持ってプラトニックな時代が誰にもあったことだろう。
今回紹介する映画はそんな時代を彷彿させてくれた作品である。
サンザシの樹の下で。
以前紹介した「あの子を探して」を撮った中国のチャン・イーモウの作品である。
ストーリは文化大革命下の中国で主人公の女性は農村労働の実習へ出かける。
そこで知り合った男性と恋に落ちるが彼女の母親は二人の関係を認めようとしない。
もっと時間がたったら二人の仲を認めるという。
彼はその話に納得し「何年でも彼女を待ち続ける」と誓うのだが......
とにかく純愛である。
とても透き通った二人の恋心である。
そしてラスト私の瞳は涙で曇ることとなった。
2010年、中国映画。2011年日本公開。

明日のためにその43-ロボット

2012年06月23日 | アジア映画
恋を知ったロボット

1998年日本では異例といえるほどのロングランを記録したインド映画があった。
それはインド南部のタミル映画「ムトゥ踊るマハラジャ」であった。
私もその映画を観たが主演女優だったミーナの美しさに心奪われたものだった。
そして今年この「ムトゥ踊るマハラジャ」に主演した男優ラジニカーンが主演した映画が日本でも公開された。
今回紹介する「ロボット」である。
ストーリーは主人公は高性能ロボットチッティを開発する。
そのロボットは人間そっくりで性能はまさに超人的。
しかしチッティはロボットでありながら主人公の恋人を愛してしまう......
この映画もインド南部のタミル語の映画である。
日本公開のキャッチコピーは「わけわからんが面白い」であった。
派手なSFXシーンがどうしても話題になりこのようなキャッチコピーがついてしまっているが、この映画、映画として観てもとてもしっかり創ってある。
映画のレベルは非常に高い良いものになっているのである。
日本では一部踊りのシーンをカットした約2時間20分のバージョンが公開された。
長尺の映画であるが見ごたえ十分、文句の付け所は無い。
これをきっかけにインド映画、特に公開される機会のない北インドのヒンディ語の映画の公開が待ち望まれるところである。
監督、シャンカール、2010年製作インド映画、2012年日本公開。