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第7章:「アラブの春」―はかない夢のひと時(18)
185 シリア情勢:敵の敵は味方か敵か?(2/5)
SDF内の有力な勢力であるYPGはシリア北東部に住むクルド人による軍事組織である。クルド人はシリア、トルコ、イラン、イラク4か国に分布しており民族独立を掲げてそれぞれの政府と対立している。シリア民主軍はスンニ派の世俗軍事勢力として米国、トルコ、サウジアラビアなどが支援しているが、トルコはクルド人の独立運動を警戒してYPGを排除しようとしている。
ヌスラ戦線(現ファトフ軍)は国際的テロ組織アル・カイダの流れを汲んでおり、イスラム原理主義、サラフィー主義を標榜する宗教的色彩の濃い勢力である。このヌスラ戦線から枝分かれしシリアとイラクにまたがる国家の建国を宣言したのがISである。当初「イラクのイスラム国(ISI)」を名乗ってテロ活動を展開していたが、2013年12月に米国オバマ大統領がイラク戦争の終結と駐留米軍撤退を宣言すると、活動をシリアにも広げ「イラクとシリアのイスラム国(ISIS)」と改称、さらに2014年には「イスラム国(IS)」として独立宣言するまでに強大化したのである。但し国家とはいってもその内情は残虐なテロ集団、夜盗集団であり、ISを国家として認めた国は皆無である。
(続く)
荒葉 一也
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