「東京會舘と私」 辻村深月 著
大正11年創業
東京丸の内の東京會舘
その建物
と
會舘に携わっていた人
訪れて
一方ならぬ思い入れのあった人
それらを綴った本です。
帝国劇場で開かれた
クライスラーの音楽会
東京會舘は帝劇と繋がっていた。
クライスラーの姿を
その曲を聴きに来ていた寺井は
東京會舘で見かけることができた。
ところが
クライスラーは日本を訪れている間に
大きな地震にあい
オーストリアでは地震の経験が殆どない彼は
その恐ろしさに
もう二度と日本を訪れることはないだろう
と言われた
その年の9月1日
関東大震災
焼失は免れたものの
東京會舘のダメージも
ご多聞に漏れず
大きなものだった。
そして
第二次大戦
アメリカに没収され
様々な苦難を乗り越えて
生き残っていく建物と関わる人々
今
グルメは日本の世の中を駆け巡っているけれど
それとは裏腹に
静かに静かに
重厚な響きを奏でるオーケストラの様に
東京會舘は生きている
あの
優しいクッキーのお味を
私は
そんな風に感じています。
私の好きな東京會舘の
中身を知った思いでした。