「静かな雨」 宮下奈都 著
まず
本屋さんで思わず手に取ったこの本は
作者が
あの優しい文章で記憶のある
「羊と鋼の森」を書いた方だったからです。
この本は100頁位の
文字間隔も
かなりゆったりとした
読み易そうな本という印象でした。
読み始めて
やはり、この方の文章は
優しさで溢れています。
どうしてこんなにも純粋な気持ちが描けるのだろうか
と思ってしまいます。
この方の本には
およそ
悪人と呼ばれる人種が存在しないのです。
主人公である僕と
拘りの鯛焼き屋さんをしている
女の子「こよみさん」の他は
殆ど
その他大勢的な登場人物となります。
ある時の事故に寄って
こよみさんの人生が一変するのですが
こよみさん自身の生活は変わることなく
鯛焼き屋さんなのです。
そして
一変したかの様な
僕も又
普通の生活が続いていきます。
「月が出ているのに雨が降っている」
というこよみさん。
白い満月を眺めながら
こよみさんは
しずかに泣いていたのでした。
僕の世界にこよみさんがいて
こよみさんの世界に僕が住んでいる。
二つの世界は少し重なっている。
それで充分だ。
という終章
静かで穏やかな時間が流れている様な気がします。