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loisirs

日々、小さな楽しみを見つけて・・・

本 静かな雨

2017-08-28 | 

「静かな雨」   宮下奈都 著

 

まず

本屋さんで思わず手に取ったこの本は

作者が

あの優しい文章で記憶のある

「羊と鋼の森」を書いた方だったからです。

 

この本は100頁位の

文字間隔も

かなりゆったりとした

読み易そうな本という印象でした。

 

読み始めて

やはり、この方の文章は

優しさで溢れています。

どうしてこんなにも純粋な気持ちが描けるのだろうか

と思ってしまいます。

 

この方の本には

およそ

悪人と呼ばれる人種が存在しないのです。

 

主人公である僕と

拘りの鯛焼き屋さんをしている

女の子「こよみさん」の他は

殆ど

その他大勢的な登場人物となります。

 

ある時の事故に寄って

こよみさんの人生が一変するのですが

こよみさん自身の生活は変わることなく

鯛焼き屋さんなのです。

 

そして

一変したかの様な

僕も又

普通の生活が続いていきます。

 

「月が出ているのに雨が降っている」

というこよみさん。

白い満月を眺めながら

こよみさんは

しずかに泣いていたのでした。

 

僕の世界にこよみさんがいて

こよみさんの世界に僕が住んでいる。

二つの世界は少し重なっている。

それで充分だ。

という終章

静かで穏やかな時間が流れている様な気がします。

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本 利休の闇

2017-08-14 | 

「利休の闇」 加藤廣 著

 

信長の時代から

信長死後

秀吉との蜜月時代を経て

秀吉から切腹を命じられるまでの

利休に関した

数々の謎に迫る1冊です。

 

表紙に書かれた

その謎の数々

秀吉と宗易(利休)はどのように知己を得たか。

本能寺の変前後に利休が取った知られざる行動。

明智光秀との決戦前に建てられた国宝「待庵」の原型。

後世に逸話として残る一輪の朝顔は本当に美しかったか。

秀吉が北野大茶会と黄金の茶室を実現させた理由。

宗易から利休への改名は何故行われたか。

利休に秀吉が切腹を命じた真の背景とは。

とあります。

 

利休自身とその周辺を書いたものですが

この本では

生の利休という人を知った思いがしました。

 

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本 「アブサン物語」

2017-08-11 | 

「アブサン物語」 村松友視著

作家村松友視さんが

飼い猫のアブサンの事を書いた本です。

21歳の長寿を全うし

大往生を遂げたアブサン

しかも

その死は

年老いて動きが難しくなっている中

亡くなるほんの少し前

花嫁の挨拶の様な

正座のポーズを作ったという

そして

村松氏の奥さんの腕に抱かれて死んでやる

などという気遣いを見せたということです。

村松氏曰く

「名人 達人だ」

そうです。

 

そもそも

村松氏の所にアブサンがやってくる

その成り行きから

21歳の生涯を閉じるまでの

長く

短い

夫婦の伴侶(?)である

一匹の猫の

一生を書いたものですが

実に

実に

上手いです。

村松氏のアブサンの表現。

 

我が飼い猫たちが死んでから

埋められないでいた

猫不在の物足りなさを

始めて

平らに均して貰った気がしています。

 

読んでる間中

ニマニマ ニマニマしてしまいました

絶対

家でなければ読めない代物

電車の中だったりしたら

ちょっとおかしな人と思われたかと思います。

 

そして

最後の章は

涙なしには読めない数頁でした。

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本 水壁

2017-08-09 | 

「水壁」 高橋克彦 著

27歳という若さで

退位された清和天皇

御世を引き継いで即位されたのは

僅か9歳という陽成天皇

 

清和天皇が在位された18年間という年は

数多くの天変地異や怪異に見舞われたそうです。

なにやら

タイムリーなお話しです。

天変地異と言えば

正に昨今の世の中。

 

こういう年というものはあるのですね。

サイクルなのでしょうか。

 

朝廷に見捨てられた蝦夷の地

農村では飢饉が襲い

餓死する人々が絶えません。

日明を筆頭に

立ち上がった

天日子(そらひこ)

鷹人

隼人

 

この三人に和する

盗賊やら俘囚

どんどん

この和は増えていく

 

朝廷方への和議で

蝦夷の危機を救う

最終目的を和議として

戦いに挑んでいきます。

 

小さな力が

この上ない強い力と技

そして

この上ない読みの深い戦術

これらが

上手く絡み合って

どんどん膨らみを見せていく。

最終的に目的を果たすかどうかはお楽しみ。

800年代という

昔々のお話しが

ひどく身近に感じられ

臨場感を伴って読み進んだのでした。

 

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海に向かう足あと

2017-07-14 | 

「海に向かう足あと」  朽木祥 著

ヨット乗りのお話しです。

6人のクルーの紹介を兼ねて(?)

それぞれの

エピソードで

いくつかの括りのストーリーで綴られ

レースに挑戦するまで

和気藹々と

良い感じで繋がっていきます。

 

最後の

レース当日

出発地点に

集まらないメンバーが出てきます。

 

その

最後の最後に

衝撃的な事が起こってしまうのです。

 

この時期

この時

いかにも

衝撃的で

なんか変に生々しく

いい感じで進んできた

読書が

ず~~~んと重いものになって

私の心に住みついてしまいました。

 

読み終えて

次の本選びに

苦労しています。

どうしても

気持の良い思いを取り戻したい。

そんな心境で

ワタクシ

本の発掘ing

をしております。

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本 最悪の将軍 

2017-06-27 | 

「最悪の将軍」 朝井まかて 著

徳川4代将軍綱吉のお話しです。

 

特に自分から望んだわけでもなく

兄達の早い逝去や病弱が理由で

将軍の地位に就いた彼。

 

それでも

平和な世の中を強く望んでいた故

寝る間も惜しんで

将軍職を全うせんとします。

 

彼の思いとは裏腹に

時代を経ると共に

すんなりと思惑通りにはいかず

「犬公方」などと呼ばれ

世評が徐々に代わっていきます。

 

生類憐みの令では

良く知られていますが

それとて

生きるものが皆

虐待されず

ちゃんと生き物として

生きていって貰いたい

という気持ちからでした。

 

その頃の江戸では

戦いがなくなった分

捌け口として

浪人などが

弱きものを切り捨て

人間が

犬を虐待したりすることが

まかり通っていたからです。

 

ところが

生き物を保護するばかりに

経費は嵩み

民からの反感も呼びます。

 

そんな時

いつもそばに寄り添ってくれていたのが

妻である信子

 

この物語の終章は

綱吉が亡くなり

信子の綱吉への語らいで閉じられています。

 

ストーリー中に出てくる

富士山の爆発

江戸で多発する火事、地震

そして

あの

吉良事件

に続く

赤穂浪士の討ち入り

上っ面しか知らなかった

ストーリーの内面を

少し垣間見た気がしています。

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本 植物図鑑

2017-06-16 | 

「植物図鑑」 有川浩 著

久しぶりに手に取った作家さん。

この方の文は読み易くて

ちょっと疲れている時

とか

ちょっとした時間に読むのに面白いです。

 

今風の書き方ながら

中々気を遣った作風ではあります。

決して下品にならない。

ラブストーリーも

気持良く読むことができます。

 

この

「植物図鑑」は

野草を食する

作家さんに言わせれば

料する

ということに尽きます。

 

ストーリーとしては

ひょんな事で同居を始めた

料理上手な

野草に詳しい男性

全く料理とは縁のなかった

でも

この男性の料理を知って

野草にも料理にも目覚めてしまう女性が

恋までも芽生えてしまう

お話しです。

 

私は

山菜大好き

ハーブ大好き人間ですので

興味を持って買った一冊なのですが

読み終わった時の

恋の爽やかさに

30も40も

いえいえ

5,60歳若返った様な気分になりました。

 

最後に

いくつか

文章の中に出てくる料理レシピが載っています。

一つ二つ

私もトライしてみようかしら

と思っています。

 

色々な意味で

楽しめる本でした。

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本 カズサビーチ

2017-06-11 | 

「カズサビーチ」   山本一力 著

 

まず

本を読む前に

カズサビーチって?

どこのビーチ?

と考えてしまいました。

上総の国だったのですね。

上総海岸という事ですか!

 

アメリカ捕鯨。

大西洋での乱獲がたたり

1816年を境に

鯨の数は急激に減っていた。

 

クーパー船長は

ジャパンシーへ回り込めば

重なり合って泳ぐ鯨の群れで

海が黒く染まっているという話を入手する。

1843年11月9日

マンハッタン号は出港する。

 

一方ジャパン。

船頭の弦助を乗せた船は

1845年2月

徳島湊を出航した

その時は空は底なしの青さを見せていた。

ところが

突然の分厚い雲がかぶさり始め

嵐となったのです。

 

弦助の乗った幸宝丸は

嵐に翻弄され

無人島に辿り着く。

 

漂流生活を強いられた

船乗り達は

そこを通った

マンハッタン号に救われる

 

その後

鎖国中のジャパンに

どうやって

船乗り達を戻すか

という話になります。

 

アメリカ

ジャパン

双方

紳士的なやり取りで

無事弦助達は

日本の国に戻ることができます。

 

思い出すのは

以前読んだ

ジョン万次郎のお話しです。

 

この話の中にも

万次郎の話が出てきたりして

オーバーラップします。

 

この本も

気持の良い流れで進み

興味深さも膨らんで

どんどん読み進むことの出来る一冊でした。

 

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本 治部の礎

2017-05-22 | 

「治部の礎」  吉川永青 著

中々面白い本でした。

 

信長に仕え

秀吉に仕えた

頭脳明晰な男

石田三成

治部は

単に忠誠でこれらの大将に仕えたのではなかった。

ひたすら泰平な世を願っていたのです。

 

一方

秀吉に仕えながらも

常に大将の座を狙っていた

家康との

関ケ原の合戦で

この戦術に長けた治部も

勝利の分がありながらも

戦意を失った味方故に

ついに

夢達せぬまま

命を落とすことになるのです。

 

最後に

堂々と

家康にその心を伝え

三成の意思が通じたか

家康が天下を取って

戦国の世は泰平になり

200年もの長きに渡って

世の中を治めることになるのでした。

 

この本を読むまでは

三成という人物は

なにか、生意気な暗いイメージを持っていました。

そして

加藤清正や福島正則の様な

強い武将の方に魅力を感じていたのですが

全く180度の転回で

私の抱いていたイメージは変わってしまいました。

 

三成の戦術は

将棋の様な

正に机上の戦術だったわけで

それを

秀吉は深く理解していて

この武将を可愛がったのでしょう。

自分を悪者にしてでも

自分が犠牲になっても

主君をたてる事に寄って

うまく

その場を作っていったのだと思います。

 

 

 

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みかづき

2017-04-16 | 

「みかづき」  森 絵都 著

お話しは昭和36年からのスタートです。

今では当たり前になっている

塾のお話し。

 

当時の文部省

政府の教育機関への不信感を抱いている一人の女性。

小学校の用務員室で始められていた

勉強についていけない子供達をフォローしていた

放課後教室。

そこで教えていた用務員の男性。

 

この二人が

一緒になって始めた塾からのスタート。

 

この二人は夫婦となるのですが

紆余曲折あり

途中からは

二人の塾ではなくなります。

 

それでも

最後まで

二人の関係はどこかで繋がっていて

子供達の勉強に対する熱意は変わりません。

 

二人の子供時代にまで引き継いで

話は進み

昭和の文部省と塾との関わりが

色濃く浮き上がっています。

 

考えてみれば

私はこの時期よりは

少し前の小学校時代を過ごしてきたわけですが

私が小学校の頃にも

ほんの少し

塾というものは生まれていました。

 

私はお勉強ができませんでしたので

親が心配してか

近所の塾に通わされましたが

そこは

お寺の一室

板敷の部屋に

長机が数個並べられ

その前に正座して勉強する様な

寺子屋的なものでした。

 

そして

中学受験される人達は

模擬試験なるものも

存在していたと記憶しています。

私は普通の家庭の

普通の子供でしたので

中学は公立へ進みましたが

私のグループのお友達は

皆、受験されました。

通っていた小学校が

かなりの進学校だったのです。

 

まだまだ

焼け跡などもちらほら残る戦後ではありましたが。

 

教育も

ゆとりだとか

ゆるめてみたり

詰め込んでみたり

その都度その都度

迷惑を被るのは子供達です。

 

でも

時代に翻弄され

模索しつつ

進められていたことも

事実であるのでしょう。

 

この本は

教育という事を書いた本でもありますが

家族

家族の繋がり

そういったものこそ

テーマとしているのだと思います。

 

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