私に残る
とてもまずい味の思い出です
私が幼い頃 母は町内の婦人会で鉄製の鍋の講習に出かけました
厚手の鍋で逆さにして蓋も浅手の鍋として使え
いわゆる万能鍋
たぶんかなりの家庭に残っているかと思われます
焼く 煮る 蒸す 揚げる ローストする
主婦なら魅力的な鍋です
その鍋の使い方をたぶんデモンストレーションしたのを見て
そして今で言う レシピまで付けて とくれば
母が買ったのもうなずけます
その鍋でスポンジケーキのスポンジまで焼けるといった具合で
教わった通り
一度目母は上手く焼いてくれました
それで作ったローストチキンといったら
何度もせがんだものです
ある日 母は機嫌がよく
またケーキ焼いてあげようか と 言うので
うん と答えた私と弟
今で思えば生地にバニラエッセンスを加えなければ
美味しくならないものだったと思います
母は最初に上手く行ったので また上手く焼けるとおもったのでしょう
また 材料の一部が足りなくても何とかなると
たかをくくっていたのかもしれません
また私と同じ いえ あの親にしてこの子ありで
肝心な所で気を抜いて
火加減をあやまったか 焼く時間が長すぎ
底の方が焼き色を通り越して 焦げに近く苦い味に
母は私達を呼び 3時のおやつの時間に
はいどうぞ と 出されたスポンジが 最初のものとは
香りも色もちょっと違いました
が そこは幼かった私と弟は
いただきますと手を伸ばし 口に運び
言ってはいけない言葉を!
母自身も解っていたはず それでも母は
「一生懸命作ったんだから食べなさい!」と
食べないんだったらもう作ってあげないと 捨て台詞まで言う始末で
真っ赤な顔をして 食べかけになったスポンジをサッサと下げられました
今 不味かった味を思い出すたび
今は亡き母を思い出せるのです
美味しかった記憶も大切ですが
不味かった記憶もまた大切にしたいと思います
なぜなら
美味しくても不味くても その味でその時の事を思い出せるのですから
あの親にしてこの子あり
母さん
俺もスポンジ作るの今でも苦手です
とてもまずい味の思い出です
私が幼い頃 母は町内の婦人会で鉄製の鍋の講習に出かけました
厚手の鍋で逆さにして蓋も浅手の鍋として使え
いわゆる万能鍋
たぶんかなりの家庭に残っているかと思われます
焼く 煮る 蒸す 揚げる ローストする
主婦なら魅力的な鍋です
その鍋の使い方をたぶんデモンストレーションしたのを見て
そして今で言う レシピまで付けて とくれば
母が買ったのもうなずけます
その鍋でスポンジケーキのスポンジまで焼けるといった具合で
教わった通り
一度目母は上手く焼いてくれました
それで作ったローストチキンといったら
何度もせがんだものです
ある日 母は機嫌がよく
またケーキ焼いてあげようか と 言うので
うん と答えた私と弟
今で思えば生地にバニラエッセンスを加えなければ
美味しくならないものだったと思います
母は最初に上手く行ったので また上手く焼けるとおもったのでしょう
また 材料の一部が足りなくても何とかなると
たかをくくっていたのかもしれません
また私と同じ いえ あの親にしてこの子ありで
肝心な所で気を抜いて
火加減をあやまったか 焼く時間が長すぎ
底の方が焼き色を通り越して 焦げに近く苦い味に
母は私達を呼び 3時のおやつの時間に
はいどうぞ と 出されたスポンジが 最初のものとは
香りも色もちょっと違いました
が そこは幼かった私と弟は
いただきますと手を伸ばし 口に運び
言ってはいけない言葉を!
母自身も解っていたはず それでも母は
「一生懸命作ったんだから食べなさい!」と
食べないんだったらもう作ってあげないと 捨て台詞まで言う始末で
真っ赤な顔をして 食べかけになったスポンジをサッサと下げられました
今 不味かった味を思い出すたび
今は亡き母を思い出せるのです
美味しかった記憶も大切ですが
不味かった記憶もまた大切にしたいと思います
なぜなら
美味しくても不味くても その味でその時の事を思い出せるのですから
あの親にしてこの子あり
母さん
俺もスポンジ作るの今でも苦手です