

Randy Weston / Blues ( 米 Trip TLP 5033 )
幻のテナー奏者としてフランク・ヘインズはレコード・コレクターには知られた存在である。37歳という若さで亡くなり、リーダー作がなく、客演もごくわずかしかないが、
その参加したアルバムがたまたまコレクターが有難がる稀少盤だったおかげで、一部のマニアの注目を集めることになった。そういう無名のミュージシャンはそれこそ
星の数ほどいただろうが、彼の場合は、そういういびつな形ではあったが、不幸中の幸いだったのかもしれない。
公式アルバムの中で彼の演奏が聴けるのはデイヴ・ベイリーの諸作やレス・マッキャンのアルバムだけだが、それ以外に未発表録音の掘り起こし盤で聴くことができる。
未発表となったのには、録音したはいいが経営不振でレーベルが倒産したり、そもそも契約関係がいい加減だったり、と理由はいろいろあるだろうが、一番多いのは
水準に満たない演奏だったというケースだろう。そのため、未発表作品として後にリリースされるレコードたちはその価値は別にして、聴いても面白くないものが多い。
また、原典至上主義の立場から見れば、当時のレコーディング・スタッフやアーティスト本人がリリースを見送ったのだから、公式リリース作品のみが唯一の正解だ
という認識になり、それらは敬遠されるのが普通だ。だから、このランディー・ウエストンの後発掘り起こし盤などは誰からも相手にされない。
でも、このアルバムはヘインズの参加ということをいったん横に置いてみても、ペーソスに溢れた素晴らしい内容となっている。ウェストンはセロニアス・モンクのような
不協和音や無軌道な旋律を多用する人で、その個性はここでもいかんなく発揮されているが、楽曲が非常に落ち着いた雰囲気を持っていてヘインズの独白のようなソロが
素晴らしい。憂いに満ちた曲想と彼の孤独感を感じさせる音色が相まって、深い余韻を残す。
出自のよくわからないライヴ音源のようで、1曲目はヘインズのワンホーン、2曲目はレイ・コープランドの枯れたトランペットがワンホーンでじっくりと聴かせる。
3曲目は2管にコンガが加わる明るいムードで変化に富んだ構成。録音もよく、聴き易い。ランディー・ウェストンの音楽はアフリカンであることが強調されがちだが、
ここではそういう特定の色付けはなく、自然体で臨んだところがいい。


Walter Bishop Jr. / Bish Bash ( 米 Xanadu Records 114 )
ヘインズは60年代にウォルター・ビショップ Jr.のレギュラー・コンボにいたことがあり、ニュー・ヨーク近辺のクラブによく出演していたらしい。その際にどこかの小さな
レコード会社のために録音したのがこの音源だそうで、これは1964年にハーフ・ノートに出演した時のライヴ演奏だ。ただ録音したテープが安物だったそうで、録音状態は
イマイチ。ナローな帯域で40年代の録音のような音場感なのが残念だが、それでもヘインズのワンホーンで "酒とバラの日々" などわかりやすいスタンダードをアップテンポで
演奏しているところが貴重だ。ライナーノーツにはワーデル・グレイ・スタイルで演奏していると書かれているが、なるほどなあと思う。確かにそういうところはある。
私が聴いた中ではこれが一番ホットな演奏で、ビショップも含めて60年代中期のコルトレーンが席巻したジャズ界の熱がこういうところにまで反映されていたことがわかる。
これだけ人の心を動かす演奏ができた人がなぜこれほど恵まれない境遇だったのかはよくわからないが、こうしてその一端が聴けるのはありがたいことだ。
アメリカの影)の中でした。SHAFI.HADI=フランク.ヘインズだよーとレコード屋さんのマスターに教えてもらい、ミンガスのティファナ~、デイブ.ベイリー、レス.マッキャンと聴きましたが、SHADOWSで聴いたimpactには届きませんでした。今回紹介頂いた盤を初めて聴き、RANDY WESTONこんないい演奏もあったんだ!と感銘を受けました。ありがとうございました。
Shafi HadiはCurtis Porterのことかと思っていましたが、そうだったんですね。機会があれば聴いてみたいと思います。いい演奏はいろんなところに隠れているので、何でも聴いてみたいですね。
私はBASHは凡作だと思っているので、ほとんど聴きません。
BLUES FOR STRAYHORN、いいですよね、曲が。ウェストンって、こんないい曲を書けるんだと非常に驚きました。