廃盤蒐集をやめるための甘美な方法

一度やめると、その後は楽になります。

パシフィック・ジャズとピアノ・トリオ

2023年10月22日 | Jazz LP (Pacific Jazz / World Pacific)

V.A / Jazz Pianists Galore  ( 米 Pacific Jazz Records JWC-506 )


よくよく考えると、パシフィック・ジャズというレーベルはピアノ・トリオのアルバムをあまり作らなかった。ラス・フリーマンやドン・ランディなど
少しは残っているけど、こういうのはジャズ専門レーベルとしては珍しい。大抵の場合、どのレーベルにも名盤100選に顔を出すような作品が
1枚や2枚はあるものだが、このレーベルにはそういうアルバムは1枚もなくて、おそらくはリチャード・ボックの趣味ではなかったのだろう。

それでもアルバムに収録しきれなかったものや、管楽器のセッションの合間に録られたピアノ・トリオの端切れが集められたのがこのアルバム。
このレーベルにはこういうオムニバス形式のアルバムがたくさん残っているけど、そういうのもレーベル・オーナーの意向が反映されている。

一般的にオムニバスはアルバムとしての価値は認められなくて相手にされないものだけど、私は好きで安くてきれいなものがあれば喜んで聴く。
個性がバラバラな不統一さがもう1つ別の新しい価値を示しているようなところがあるし、通常のアルバムでよくある通して聴くと途中で飽きて
しまうということがなく、1曲ごとに新しい印象を覚えながら聴くことができるというのは意外にいいものだからだ。

ジョン・ルイス、ラス・フリーマン、ハンプトン・ホーズ、ピート・ジョリー、ジミー・ロウルズ、アル・ヘイグ、カール・パーキンス、リチャード・
ツワージク、ボビー・ティモンズという面々が収録されていて、皆、各々の個性がくっきりと残った演奏をしていて、続けて聴くと面白い。
ツワージクの "Bess, You Is My Woman" の解釈は秀逸だし、アル・ヘイグは1人バップ・ピアノ丸出しだし、ピート・ジョリーは予想外に雄大な
ピアニズムを聴かせるし、と聴き処は満載。誰もが一流のプロらしく、個性が確立されたピアノを弾いてる。ある種のピアノ・コンテストのような
側面があり、演者の側からすると怖い企画でもあるが、これを聴くと歴史にその名を残した理由がよくわかるのである。



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