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Tony Scott / Free Blown Jazz ( 米 Carlton STLP12/113 )
聴いてビックリの高音質盤。1957年11月16日の録音だが、59年に発売されている。珍しいメンツの組み合わせだが、LP2枚分の録音を
しており、もう1枚はSeccoから発売されている。どういう経緯のリリースなのかはよくわからない。このカールトンというレーベルは
RCA Victor の傍系レーベルだがジャズ専門ではなかったし、レーベルが企画した録音ではなく、誰かが御膳立てした録音で、その後に
版権を買い取っての発売だったんじゃないかと思う。
それぞれ持ち味があるメンバーが集まっているが、その誰か固有の色が付いた音楽ではなく、共通言語のハード・バップになっていて、
これは穴場のレコードだと言っていい。サヒブ・シハブの重量級バリトンが効いているが、トニー・スコットもバリトンに持ち替えて
演奏している楽曲もあり、とても聴き応えがある。一流の奏者ばかりなのでクオリティーが高く、ちょっと驚かされる内容だ。
トニー・スコットとジミー・ネッパーの名義になっているが、この2人が特に目立つような感じではなく、みんながそれぞれいい味を
出している。やはりビル・エヴァンスの演奏が一番気になるわけだが、自身のスタイルが出来上がりつつある上り坂の時期であり、
彼の独特のリリシズムがこのアルバムを平凡なハード・バップ・セッションに流れることを防いでいると思う。ハード・バップはピアノが
重要なキーになるのだということがこれを聴くとよくわかる。"Body And Soul" でのソロなんて、まるで "Flamenco Sketches" だ。
モノラルは聴いたことはないけど、このステレオは時代を考えると極めて良好な音質で、この演奏の良質さをうまく後押ししている。
安レコということでまともに相手にされていないのが残念でならない。