The Modernaires / Tributes in Tempo ( 米 Columbia CL-6043 )
モダネアーズはグレン・ミラーお抱えでその名が知られている男女混成コーラス・グループ。日本ではこういうのはまったくウケないけれど、
海外ではジャンルを問わず、コーラスというのは人気がある。元々は古代キリスト教の聖歌にルーツを持つ形式で、意識することがなくても、
彼らのDNAに刷り込まれているのだろう。
フォー・フレッシュメンが現れて高度な歌唱を屈指するようになると、それに追随するグループが次々と出てきたが、それまではこういう
ドリーミーな歌唱をするのが王道で、パイド・パイパーズと人気を二分していた。楽器の重奏だけでは表現しきれない情感を出すのは
コラースしかないということで、40年代になると白人ビッグ・バンドはこぞって専属グループを抱えていた。
こういうのを聴いていると、その時代のことなんて何も知らないにもかかわらず、古い真空管ラジオから流れてくる音楽を聴いているような
気分になる。部屋の中がゆっくりとセピア色に染まっていくような気がする。タイム・マシーンなんて出来なくても、別にいいんじゃないか、
とさえ思えてくる。