廃盤蒐集をやめるための甘美な方法

一度やめると、その後は楽になります。

Walk On By

2022年02月06日 | Jazz LP (Vocal)

Diana Krall / Quiet Nights  (E.U Verve 0602517981256 )


ダイアナ・クラールのアルバムはどれも素晴らしいが、昔から好きな "Walk On By" が入っているこのアルバムは特に偏愛している。

バカラックが書いたこの曲は世界中の人から長年愛される名曲で、ディオンヌ・ワーウィックが歌ってヒットした。バカラック・メロディーの
特徴が凝縮されていて、サビのメロディーに入るところの飛翔の仕方とか劇的な転調の使い方が如何にもバカラック的だ。
モーツァルトやポール・マッカートニー、ブライアン・ウィルソンなど、ごく限られた人だけに与えられたこのメロディーを創れる才能の中でも
バカラックのものが一番顕著でわかりやすい。

艶のあるデリケートで控えめなオーケストレーションを背景に、ゆったりとしたボサノヴァとして歌われるこの歌唱は素晴らしく、
多くの歌手が歌ってきたものの中でも筆頭の出来。抑制することで感情の爆発を表現するという二律背反を見事にやってのけている。

エルヴィス・コステロとの結婚を契機に彼の影響を大きく受けて音楽的にも一皮剥けたところがあり、その成果がここにもはっきりと出ている。
いい音楽を取り入れることに迷いがなくなり、それがやがては "Wallflower" へと繋がっていくことになる。

このアルバムのライヴ編として、2008年にリオ・デ・ジャネイロで行われたライヴ映像がDVD/Blu-rayで出ているが、こちらも圧巻の出来。
中でも、"Walk On By" の歌唱はスタジオ盤よりも更に深みがあり素晴らしい。

https://www.youtube.com/watch?v=yCwc-5YTBb0


偏愛する曲なのでいろんなヴァージョンを聴くけど、ストラングラーズの演奏も異色ながらも素晴らしい。名曲にジャンルは関係ないのである。

https://www.youtube.com/watch?v=jqfqVDHNW6c


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