近年に国連が提唱しているSDGs(持続可能な開発目標)というあり方が、かなり世間に認知されてきました。
また「誰一人として取り残さない。」というフレーズにもある様に、すべての人達が取り組みたいあり方と思います。
具体的には経済、環境、社会のバランスが取れたあり方を意味します。
SDGsは17の理念がありますが、前半が生命に関わる貧困をなくす、中番が先進国と企業の取り組み、後半がグローバル、地球規模の問題の解決とされています。
またさらにもう一つ別の捉え方ではこうなります。
5p
people(人間)世界の貧困をなくすために。
prosperity(繁栄)持続する経済をつくるために。
planet(地球)環境を守り育てるために。
peace(平和)SDGsの仕組みのために。
partnership(協働)SDGsを実現する資金と協力関係のために。
SDGsは2016年から2030年までの開発、環境アジェンダの目標ですが、そもそもは2001年から2015年までの目標であるMDGsという開発アジェンダがあり、その後の情勢の変化に対応してできたアジェンダです。
2001年頃のアジェンダでの問題は、貧困、社会的排除問題でした。
具体的にはその背景にある問題は貧困、飢餓、エイズ、南北問題、債務危機、紛争、衛生、水のアクセスと質、非識字、教育のアクセスと男女格差、社会的公正、などでした。
しかし2015年のSDGsは、貧困、社会的排除問題、地球環境問題です。
実際に起きている問題は気候変動、生物多様性喪失、自然災害、高齢化、エネルギー問題、社会的公正、ガバナンス、肥満、紛争、貧困格差、教育の質、ユースの雇用問題、人工知能に奪われる職、グローバルな金融、経済危機です。
SDGsの具体的な取り組みはESG投資という環境や社会に配慮した経営を行う企業に金融面から投資をするあり方です。
またサプライチェーンという大企業から下請けの中小企業までいわゆる環境経営を浸透させるあり方です。
また作る責任、使う責任などあります。
またミニマル主義みたいな物をあまり持たない社会貢献に意欲が強い若い世代の台頭も起きています。
つまりSDGsの定義とは、持続可能性と企業の成長を両方追って達成していく内容になります。
次にポジティブ心理学で研究されている幸福についての内容を書いていきます。
慶應大学大学院教授の前野隆司先生の講演を元にしています。
SDGsで言われるWell-beingと言われる幸せの定義は心、体、社会、福祉の健全性を意味します。
それは実質的にポジティブ心理学で研究されている幸福学と重なるあり方です。
ポジティブ心理学では、幸せは地位財(地位、お金、名誉、物)と、非地位財(環境、健康、心的なあり方)からなるが、現代社会は地位財を追いがちだが、長続きする幸せは非地位財とされます。
そこで非地位の特に心的なあり方は、
1やってみよう!(自己実現と成長)
2ありがとう!(つながりと感謝)
3なんとかなる!(前向きと楽観)
4あるがままに!(独立とあなたらしく。)
とされます。
幸福学の詳細はこちらのブログ
にあります。
また近年話題になっているティール組織という青年発達理論から効果的な組織のあり方を研究した本があります。
もっとも原始的なあり方から以下の様にだんだん進化してきたとあります。
1弱肉強食。
2軍隊。
3合理的。
4幸せ、家族。
5自然林。
4.5はかつての日本式経営だが、日本は90年代以後は3に逆戻りしてしまったが、近年にまた4.5が見直されていて、幸福学のあり方も4.5に近い。
結論的に地位やお金の競争よりも、70億人が70億通りの方法で自分らしく生きて、自然林の様に多様な各自の個性や強みを生かし合い、相乗効果的にSDGsな社会を作っていくことがこれからの時代の幸せとされます。
実践例では、ゴミのリサイクルに取り組む廃棄物処理会社さんが、ゴミ屋ではなく社会問題を解決している仕事であると誇りを持つ大切さを教えてくれました。
また不法投棄のゴミの片付けから、環境教育の里山再生の活動に繋がったとおっしゃっていました。
また建設業の会社さんは、低価格で一戸建ての家を建設して販売して、外国人の方達が家を持てて自己肯定感が高まり、地域の治安が良くなった話しをされていました。
また女性の活躍を積極的に推進している実践例を伝えてくれました。
こちらの経営者の方が、何も生えてこないトップダウンのコンクリートの様な経営から、いろいろな部下の方達の意見や創意を生かしていく自然の活力を活用するみたいな経営に変えてから、急激に会社が成長したと話されていました。
またSDGsという言葉のみではなく、その本質を把握していく必要性も話されていました。
近年の台風に現れた気候変動や原発の危険性や、1対99という言葉にある様に世界的な格差は大変なことになっているので、本気で取り組みたいです。
またSDGsという皆が共有できる指針ができたことで、いろいろなセクターや人達がパートナーシップを作れるチャンスと捉えたいとおっしゃっていました。
私はSDGsは、その文言「誰一人として取り残さない。」にある様に、すべての人達やセクターの組織が、自分の置かれた状況の中で協力しながら取り組んでいくべき課題だと思います。
引用
SDGsの基礎
著 事業構想大学院大学