食糧自給率

原油高騰の影響で、海産物の価格が軒並み高騰してきています。それもその筈、現在の原油価格では航海にかかるコストの内、燃料費が既に人件費を大きく上回っているそうなのです。恐らく、物事の生産に関わる職業を経験した事のある方ならわかると思いますが、日本の現代産業に於いて最もかかるのが人件費です。原価率という言葉がありますが、現在の漁業における状態では原価率が100%を超えているのは想像に難くありません。そして、本日のニュースに「全国漁業協同組合連合会(全漁連)に加盟する漁業団体傘下の漁船が、今日15日に一斉に休漁します」とありました。ただでさえ、食品嗜好の欧米化が進み、魚の消費量が年々減り続けているというのに、現在のこの状態は日本漁業の危機ではないかと危惧するものであります。


確かに日本人は魚を食べなくなったなぁ、と思うことが今までにも多々ありました。それこそ、家庭によりけりなのでピンキリですが、中には親自身がマグロの切り身しか食べた事がないという所もありました。当然、子どもは食べるわけもなく、酷い場合は「骨付きの魚は人間の食べる物ではない」とまで吹聴するケースも、、、まぁ、これは極端な例ですが。


骨付きの魚は確かに食べづらいですよね。でも、食べ方を教えたりしている内に、だんだん身に付いてくるモノです。CABEZÓN家でも、やはり最初は子ども達に随分と時間をかけて教えました。今年に入ってからは摂取する栄養価も考えて、朝食にはなるべく焼き魚などを食卓に上げる様にしています。最初の内は、食べるのに時間がかかるモノだから嫌な顔をしていた子ども達も、慣れてきますし味も覚えてきます。「この間食べた鯖がうまかった」等と、次は何を食べたい等と楽しみも増えてきます。もしかして、親が「ウマイウマイ!!!」と言って食べ続けた事による刷り込みの結果かも知れませんが(笑)。


和食が諸外国でもてはやされるようになって、魚はどんどん海外に流れています。ヘタをすると、数年後にはほとんどの魚を輸入によってまかなう事になるやも知れません。しかしながら、毎朝食べ続けている自分が言うのも何ですが、日本の近海魚は質が高いです。臭いが強いと敬遠されがちだった青魚でも、脂のりが違うので、食べる子ども達の顔の輝きが違います。それはそうですよね、日本で捕れたものだから、日本人に一番ウマイモノがやってくる。輸入となると、当然現地で食べた方がウマイという事になるわけですから、我々が上質な魚を食べる事さえも出来なくなってしまいます。


同じ島国の英国の現在の食糧自給率は、カロリーベースで70%を超えています。相対する日本はとうとう40%を割り込み37%という数値が発表されました。既に比較の対象にもなりませんが、遙か上には米国を初めとして、フランス・カナダ・スウェーデンなどで100%を軽く超えた自給率、オーストラリアに至っては200%を超えています。もし、自国の文化を尊びたいと願うなら、それは食文化に於いても同じ事。日本の風土に合った生産物が、その文化を豊かに支えてきたという事を忘れてはならないでしょう。漁業従事者へのいち早い救済措置を強く願うものであります。


Editor CABEZÓN


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