salt&pepper days 

ともすれば、子どもとの時間に埋もれそうな日々。でもやりたいことは他にもいっぱい。刺激を求めて悪あがき中。

本の感想・繊細と鈍感のあいだ

2010-01-19 00:33:09 | 本・雑誌
時々、といっても
本当にめったにないことで
何年かに一度、十年に一度くらいかもしれないけれど
「あ、なんかこの人、自分に似てるのかも」
と思う人に出会ったりする。

顔ではないです。
性格、いや、性質が、かな。

今回、歌人の穂村弘さんのエッセイを2冊読み
勝手に、本当にものすごく勝手なんだけど
共鳴してしまいました。
共感、というよりもっと切羽詰った感じ。
なんかもう、どっかで見た姿を突きつけられた感じがして
オロオロしてしまった。
実際に会ったわけじゃないけれど。



『本当はちがうんだ日記』(集英社)

『にょっ記』(文藝春秋)

正確にいえば、最初に読んだ『本当は~』のほうで。

穂村さんが、ぽつんと水面に落とした石が
波紋をつくり
そのわずかな揺れが伝わってきて
寄せてくる波紋が消えない。

わからない人には、絶対に感じ取れない波動。
むしろ、感じ取らないほうが幸せかもね。

過剰な自意識と、自信のなさ。
両方を抱えて生きている。
客観的に見て、生きにくいだろうな、と。

繊細さと鈍さ。
欲深さと謙虚さ。

誰もが併せ持ってはいるけれど
そのバランスがときとして大崩れして
笑えたり、泣けたり。

恥も自己嫌悪も、書いて公開しちゃうところが
したたかでもあったりして。
そりゃまあ、仕事だからね。
自分をネタにもするのも厭わない、
そうやって突き抜けられたら、強さともいえる。
その点は、とてもうらやましい。
私はまだまだ。
まだまだ恥かきが足りませんかね?

『にょっ記』のほうは
『本当は~』に比べると
また一味違うキャラ。
ふざけたり、妄想入ってたりして、
けっこうバカバカしく(ほめてるのよ)て
気ままに読める。

けど、ところどころかいま見える
気弱さやもろさが
「どうかこの人を、いじめないでね」
という気持ちにさせられるのは
穂村さんの人徳かもねー。

けれど、自分に似ている人と一緒にいると
けっこう、つらいこともありますよね。
そんな感覚も、思い出してしまいました。


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