salt&pepper days 

ともすれば、子どもとの時間に埋もれそうな日々。でもやりたいことは他にもいっぱい。刺激を求めて悪あがき中。

本の感想・巧さゆえの後味の悪さ

2009-11-28 00:14:29 | 本・雑誌
現実逃避のように、本を読んでいます。

もう今年も終わり、とか
この1年、なにやってきたっけ?

とか考え出したら、スパイラルだわ。
思い悩むすきを、与えてはならない。
迷わず、時間の流れに乗るのだ。

思うに、私が本を異様に読む時期って
ある意味、弱っているかもしれない。
そして、ある意味、自分を奮い立たせるため。

かなりいい年して、思春期みたいなものです(笑)。


今回読んだのは、思春期には向かないですねー。


『雉猫心中』(井上荒野・著 マガジンハウス)

雉猫に導かれ始まる関係。
走り出し、止まらない妄想と欲望と。

不倫、というか、恋愛とも呼べないような
最初から壊れている男女関係。

登場人物それぞれが
孤独とコンプレックスにまみれている。

雉猫は、はじまりのきっかけを作り
あおるだけあおって、あとは勝手にどうぞと
いわんばかり。

全体を通して、穏やかでない話です。

井上荒野さんは
こういう不穏さを出すのが巧い人だなと思う。

はっきりいって、読後感はすっきりしない。
で、なにがどうなったの? って話。 

それでもここで感想を書くのは
(読んでも「書くまでもない」と思えば、書きません)
いい意味での“後味の悪さ”があり
気持ちがざわついてしまうから。

必ずしも感情移入するだけが
小説の楽しみ方ではなく
は? なんだって? とか
ああ、なんかイラつく、けどやめられない
というなんともいえない感が
心を活性化させるタイプの本もある。

それも、小説の肝ではないかと思ったりしました。




本の感想・初冬ですが、読書

2009-11-16 22:56:24 | 本・雑誌
ああ、そろそろ更新しなくちゃー、と思いつつ
眠さや食欲や単なる怠け心に負け続けてきた
今日この頃。

このブログ、月刊誌の連載と思ってください。

気が向くと、いきなり日刊になることもあります。


食欲の秋はもちろん、読書の秋、たけなわ。
(いや、初冬だって)

読み切れないだろうと思いつつ、図書館で一度に6冊借りる。
(貸し出し期間、2週間)
で、たいていそのうちの3冊くらいは
「もう1回、貸してください」と延長するも
新たに借りた、もっとおもしろそうな本から読み始め
結局読めずに返す本もあり。

しらばっくれて、返却日を守らない手もあるけど
それは出来る限りやらない。
優良市民です。
いえ、義務です。

ここのところ、けっこう本を読んでいて
感想を書きたいものも、たくさんあって
ためこんでいるうちにめんどくさくなって
内容の記憶も薄れゆくのですが。

今日のところはエッセイから。

糸山秋子さんの2冊。

『糸的メイソウ』(講談社)

なんかこの本、初めて読むんじゃない気がするんですよ。

出版社の1日を作家の目から見た話とか
友達とのルームシェアの掟が、「男は外、飯は別」とか
エッセイ原稿が、最初から終わりまで五七調とか

このあたり、なんか記憶にある。

けど、むちゃくちゃな食べ物の取り合わせに
果敢に挑む話とか
ご本人の恋の顛末とか、ペンネームのこととか
男性の好みについてとか
読んだ覚えがない。

前に読んだかな~、もしかして、雑誌の連載時に
ところどころ読んだのかも~、
いやでも、この装丁に覚えがあるような~、
なんて読みながら考えているうちに
最後まで読んでしまいました。
2度目かもしれないけど、まあいいや、おもしろかったし。

そして、もう一冊。

『北緯14度』(講談社)

こちらは、紀行もの。

糸山さんが30年来憧れ続けた音楽家に会いに
セネガルに行き、滞在中に出会った人々と
喜怒哀楽をぶつけ合ったり、セネガル飯に舌鼓を打ったり
日本とは違う習慣に戸惑ったり。

旅に意味を求めず、「ただ会いたい人がいるから行く」という
揺るぎないところから、旅を始めるのがいい。

そこから何か持って帰ってやろう、とかじゃない。
これ、ネタになる、とかじゃない。
もちろん、本にする、というお約束はあったにしろ
自身が、そこに矛盾を感じたりもして。

セネガルで暮らす日本人に対する、複雑な思いや
日本だったら考えられないけど、その国にいたら普通に
「人を使う」(ガイドとか運転手とかお手伝いさんとか)ことに
慣れない姿とか、現地の男の人と擬似恋愛っぽくなったり
1冊を通して、セネガルという国の香りぷんぷん。

ともすれば「アフリカ」という国々のイメージに
ひっぱられがちな頭の上で、陽気な太陽が笑ってるような。
本能も、本性も、ひっぱり出されちゃうみたい。

ああ、旅に出たい。