salt&pepper days 

ともすれば、子どもとの時間に埋もれそうな日々。でもやりたいことは他にもいっぱい。刺激を求めて悪あがき中。

本の感想・長い感想が始まる

2009-10-21 11:47:15 | 本・雑誌
就職活動の面接官で
「受けに来る学生が自分の学生生活を話すとき
たいてい、サークル、アルバイトの話ばっか」
「サークルの人間関係、活動から学ぶことが多かった」
「アルバイトは、貴重な社会勉強になった」
そんな人ばかり、と嘆く方がいるとか。

その言い分が、わからなくはなく。
それだけか? と言いたくなる気持ちも
わからなくはなく。

けどまあ、背伸びして
1回か2回だけのボランティア活動とか話すより
その人の人間性が出るのでは。

そのときの自分を作り上げているのが
サークルやバイトなら、取り繕っても隠したくても
にじみ出てしまうのでは。
聴いてきた音楽や、見てきた映画やお芝居が
その人を作るように。

きっと学生側の、伝え方のテクニック次第なんだろう。
テクニックとかいうの、イヤだけど仕方ない。


今回読んだ本の舞台は、大学の音楽サークル。

大学時代、音楽サークルに多くの時間を費やし
楽しいというより、苦しい記憶のほうが多く
面接でサークルの話をしまくった私には
痛い痛い内容でした。

なんであんな狭い世界がすべてだと
思ってしまったのか。
うーん、すべてではないと、
当時、頭ではわかってたと思うけど
思考や行動の基準はすべて、音楽や当時の仲間たちで
息苦しいのに、そこで頑張るしかなかった。

サークルが終わって、しばらくは
音楽もピアノも、もうたくさんだと思った。

そんな記憶がよみがえってしまいました。


『長い終わりが始まる』(山崎ナオコーラ・著 講談社)

本の感想は、ここからです。
前置きも長かったけど、長い感想が始まります(笑)。


全身を研ぎ澄まして、傷つこうとする。

自分では意識していなくても
身体と心がそうなってしまうから
直せばいい、とかいう問題ではない。

そんな女の子が主人公。

思いを寄せる人の気持ちがわからない。

ていうか、相手も相手だ。

だから引き合ってしまうのだろうけれど。

そんなめんどくさい方法で
傷つかなくてもいいじゃないか、と思うけれど
“長い終わり”の過程を、徹底的に体感しようとする。

意味深なタイトルの意味、後半にすすむにつれ
味わいが濃くなっていき
終わりに向かってスピードを出そうとする
主人公がだんだんつらくなるけど
始まりには終わりがある。

この人の、3年後が知りたいな。


繊細とか感受性豊かというのは
疎外感とか孤独とか欠落感とか
不安定な自分と背中合わせ。

身勝手とか弱い人とかでは片付かない。
そんな言葉で片付けてしまう人は
強いかもしれないけれど、想像力も心も貧しいから
そういう人とは人間関係は築けない。

私の場合、面接でサークルの話をしても
受かった会社は真剣に聞いてくれた。
最終的には受からなかったけど、サークル話で盛り上がり
次のステップに進めた会社もあった。

サークル時代の先輩・後輩・同期は
今でも付き合いのある人もいて
それぞれの「今」を語り合える
大切な人たちもいる。

けれどいまだに、あの頃の話を
「思い出」として語り合うのは
本当はちょっとつらいです。