salt&pepper days 

ともすれば、子どもとの時間に埋もれそうな日々。でもやりたいことは他にもいっぱい。刺激を求めて悪あがき中。

ネットとメールの恩恵と不安

2007-08-30 01:21:34 | 出来事
夫の実家に帰省する予定だったのが
両親が、こちらに遊びにくることに。
せっかくだから、みんなでどっか泊まって
遊び倒そう! ということに。

とはいいつつ、観光は都内で、という程度の
超漠然としたままのホテル探し。

夫「六本木ヒルズは、前に行ったらしいよ。俺、まだ行ったことない」
私「あたし、行ったよ」
夫「え?いつのまに…」
私「いつのまにって、もうずいぶん前からあるけど…。
今はミッドタウンでしょ」
夫「ザ・観光! って感じのほうがいいよ」
私「東京タワー?」
夫「それも昔、行ったことあるらしい」
私「あたし、ない…。東京育ちだけど」

地方にいる人のほうが、意外と東京の観光地は
行ってたりするもんです。

じゃあもうお台場周辺ね、という
とりあえずの決定で、ホテル探しと遊びプラン作成。
ちょっと混む時期なのと、値段や移動の問題で
なかなか見つからず、あせる。
こういう手配は案外、夫は頼りにならず
結局怒りながら私が全部やる。なんだよ(怒)。

今回は、「じゃらんネット」を利用してみました。
これ、便利だねー。
登録しておくと、利用金額に応じてポイントがつき
次回の予約で利用できるらしい。
ホテル検索もしやすいし、クチコミ情報が充実している。

ネットでの宿泊予約は何度かあるけど
当日まですごく不安。
「ちゃんと取れてるのかなあ」と。
でも今回、予約の際に
部屋についてのリクエストを出しておいたところ
ホテルから、直接返答が。
しかも驚くほど丁寧、きめこまやかな心遣い。
返信したら、さらにそれについての返信の早いこと。

客商売なので当然といえば、そうかもしれないけれど
とても気持ちのいい対応で、泊まる前から好印象。

正直、立地や好みからいえば
第一希望のホテルではなかったけれど
がぜん、楽しみになってきた!

何かで読んだけど、仕事ができる人の傾向として
「メールの返信が早い」というのが挙げられるという。
(このメールというのは、仕事上のものに限る)

たしかに、電話でもメールでも
「これ、どうなります?」っていう問い合わせや
「こうしてほしいんですが」という依頼に
すぐに対応してくれる人と、そうでない人って
仕事ができるできない、絶対関係ある。
実感として、すごく思う。

メールって、見てみぬふりもできるから
「ああ、まだ見てません」というのもありだけど
だからこそ、返信の早い人って優秀。
「ちょっと保留ね」より
テキパキ片付け、次へ進むに限る。
「ちょっと保留ね」ってやっていると、どんどんたまるから。

自分への戒めも含め、目指せ、テキパキ!

最近は、友達関係においてメールの返信の
早い遅いで、人間関係にいざこざが生じるらしいね。
特に10代の子たち。
恋愛においては、メールの返信があまりにも早いと
「重い」とか「がっついてる」とかになるらしいし。

仕事とプライベート、メールの返信ひとつでも
「かけひき」しなきゃならない世の中、ってことですか。

本の感想・ロックだわ、と思ったらパンク

2007-08-21 01:50:27 | 本・雑誌
糸山秋子さん(イトという字は糸が二つ並ぶ)の
作品はどれも好き。
なんていうか、リズムがいい。
ロックな感じ?
重量感あり、いい意味での陶酔感あり
バラードでも「魂」感じさせる強さのような。

と思っていたら、今回読んだ本は
パンク好きの元過激派の話。

『エスケイプ/アブセント』(新潮社)

大事なものとか信じるものとか
守ってきたつもりが
実は人生をムダにしてきたと気づき
それでも何か、見えているのに見えてないものを
追いかけているような話。

心の声の正体や、諦観を感じながら
あらゆる真実とフェイクを行きつ戻りつ。
特別な事件も、目をひくようなハプニングもない。
それでも主人公が
たしかに前進していると感じる。

世の中や自分と、何とか折り合いをつけて
生きている登場人物たちに、好感。

祈りも愛も、結局は自己中心で
それを責められるものではないし
ないよりあったほうがいい、なんて思ったり。

「エスケイプ」に続く、「アブセント」はまた
種明かし的おもしろさ。

糸山さんの小説、読後はいつも
やるせなさと静かなエネルギーを感じる。

本の感想・私の読解力不足でしょうか。

2007-08-19 00:52:46 | 本・雑誌
何年か前の、小説すばる新人賞で
デビューした作家、三崎亜紀さんの本、初体験。

『となり町戦争』(集英社)。

半分くらいまで読んでも、見えてこない。
普通の会社員が、ある日突然
町の広報で、戦争が始まることを知り
しかも、役場から連絡があり
いきなり任務を課せられ
偽装結婚までさせられる。

なんじゃこれ??

銃声がするわけでもない、戦いを目の当たりに
するわけでもないのに、なぜか死者だけは増えてゆく
となり町との戦争の話。

一体この戦争は何なのか?
戦時のリアルさを実感できないままでいる主人公と
そのまんま同じような気持ちで、読み進めてゆく。

ある意味、忍耐がいりました。
淡々としてます。
舞台にお役所がからむせいか
話もすべてが手順を踏んで、進んでいく感じ。

この、「人々の考えている戦争」の
先入観を否定する戦争が
一体、何を意味するのか。
単なるゲーム感覚で書かれたものでないことはわかる。

途中でやめようかと思ったけど
次第に深まってゆく物語の
その着地する場所を見届けたいがために
意地で最後まで読み通した。

思いがけず、せつない展開を見せ
最後にやっと、血の通った人間たちの姿、
その体温を感じることができた。

そして、やっと見えてくる。
誰かの痛みの上に、人は立っているという事実。
そこに気づく人もいれば、気づかない人もいる世の中。
それはどちらが幸せなのか。

とはいっても、正直、私は
まだつかめてないと思う、この話。
なんだかすっきりしない。

この作品、新人賞を受賞したという事実がある以上、
世の中に問いかけるものがある、ということなんでしょう。

8月に想うこと

2007-08-16 01:40:35 | 出来事
「夏の音」といわれて連想するのは
なんといっても、高校野球中継のテレビの音。

少し離れた部屋から聞こえるテレビの音や
ゲームセットのサイレン、どこかの高校の校歌は
子ども時代、セミの声と重なりながら
昼寝の部屋で聞いていた。

今でも、あのまったりとした時間は
不思議な空気や色や匂いの記憶を伴って
よみがえる。

それは幸せなことなのかも。

8月はお盆の月でもあり
原爆記念日や終戦の日があり
その時期になるとテレビでも新聞でも
特集が組まれ、これも子どもの頃から
「8月に課せられたテーマ」だった気がする。

たまたま連日、「夏うた2007」と「憲法9条」という
平和やふるさとや戦争について考える番組を見た。

「夏うた」のほうで感じたのは
歌の力、込められた願い、伝える人の力。
歌で哀しみや痛みや争いは、なくせないのだろう。
それでもアーティストという人々は、声を上げる。
言葉は時として無力だけど
込められた想いは無力ではない、と信じたい。
若い世代で、それをする人がいる限り
日本はまだ大丈夫なのかな、なんて思った。

「9条」のほうも
激論を聞きながら、とても賛同できない意見や
目からウロコのような意見や
聞いていてイライラもどかしくなるけれど
(NHKのこの討論シリーズは、いつでもそう)
真剣に考えている人たちがいて
そこには若い人や同世代の人たちもいるってことに
ある意味、安心する。
意見の相違はどうであれ、テレビで
自分の意見を述べられることはエライな。

以前、ほかの番組で見たり、新聞でも読んだけど
「今の生活が不満で不安だから
軍隊に入って、最低限の生活が保障されるなら
戦争で戦うほうがましだと思う」
「今のまま死ぬより、英霊といわれたほうがいい」
と考える若い世代がいる、という事実。

もう日本は戦争なんてしないと
子どもの頃は思っていたけれど
政治家たちを見ていても
なんだか近頃はきな臭い感じがする。
特に今年の8月は、そんなざわつく気持ちがぬぐえず
ヒートアイランドもそうだけど
世界が静かに変化している気がしてならない。

のんきな夏の記憶があることは
幸せなのだと思う。
8月は過去を、そして未来を想う月でも
あるのだなと思う。

婦人科検診へGO!

2007-08-13 23:52:33 | 出来事
突然ですが
フリーランスの人や、専業主婦の人って
「健康診断」はどうしているのでしょう?

会社員時代は、原則、強制的に
年に一度、健康診断を受けていた。

会社を辞めてからは、自主的に受けたり
2年ほど何も受けなかったり
今年は春に、夫の会社の「配偶者検診」(名称は違うかも)を
利用して、行ってきた。

自覚症状のあるものはまだいいけれど
自覚症状ないまま放っておくのは、本当に怖い。
気づくなら、できるだけ早いほうがいい。

先週、恐ろしいものを発見した。
それは「しこり」。

「乳がんのセルフチェックをしましょう」って
検診のたびに言われるし
雑誌でも婦人科系の病気のページでは
やり方が載っているし
ネットでも検索すれば、わりと丁寧に教えてくれる
HPがみつかる。

けど、やらないんだよなあ、いまひとつ真剣には。
今までの私がそうでした。
「面倒」とか「まあ、平気でしょ」っていうのもあるけれど
「なんか見つかったら怖い」っていうのも
実は大きいような気がする。

別に何を思って、というわけでもなかったんだけど
先週、ふと思い立って
乳がんセルフチェックをしてみました。
やり方のコツがわからないから
「ホントにこんなんで、しこりってわかるの??」と思いつつ。

と・こ・ろ・が・・・。

うん?? あれ? あれれ・・・??
うっそでしょ!?

見つけちゃったんですね、しこり。

夜中に起き上がって
ネット検索しまくりましたよ。
乳がんセルフチェックの方法、しこりについて、
体験談、検診のできるクリニック…。
保存してた健康特集の雑誌まで引っ張り出して。

しこりがすべて、ガンなわけではない、という
言葉に、救われたりしつつ、でも…。

でもでも、私は5月の健康診断で
婦人科系の検査も全部してもらって
異常なしだったし
そんなバカな、と思い悩むこと丸一日。
何をしていても、しこりのことが気になって
これはもう精神的によくない。

翌日、意を決して検査を受けに行きました。

結果、大丈夫でした!

お医者さんも、たしかに触診で「しこり」を確認。
「よく見つけましたね」と、ほめられ(?)
超音波でくまなく見てもらう。
「乳腺のしこりで、これはガンではない」
そうです。

安心したところで、質問。

私「前にテレビで、小豆みたいな感触、って聞いて
  まさにそれだって思ってあせったんですが…」

先生「最近はテレビでもあれこれ言うけれど
  絶対自己判断はしないでください」

私「ガンのしこりと、そうでないしこりの感触って
  どう見分けたらいいんですか?」

先生「それは医学部で六年勉強し、そのあと十年くらい
   経験をつんでください(笑)」

ええー、そんなあ。

とにかく、自己判断はしないで、とのこと。
今のしこりはガンではないだろうけれど
たとえば、もっと大きくなったり
何か形が変わってきたりしたら
また来るように、といわれた。

ネットの、どなたかのHPにもあったけれど
「ガンを見つけに行くため、と考えず
ガンではないことを確認するために」
病院に行くことは、大切だと実感。

そして、今は「ピンクリボン」(乳がん撲滅の運動)で
声をあげる人、賛同する人も多い。
それはとても大切なことだと、改めて思う。
これからも、恐れずに
セルフチェックと、検診に行こうと思います。



本の感想・不覚にも? 泣けちゃうよ。

2007-08-10 01:26:25 | 本・雑誌
同窓会やクラス会の類が苦手で
学生時代の友達が、当時のことを
やけに思い入れたっぷりに話すのを聞いていると
なぜかいたたまれない気持ちになるのは、なぜだろう。

記憶を消したいほどの出来事が、あったわけでもない。
嫌なことも、楽しかったことも
みんな今の自分をつくっている、という感覚はあるのだけど。

なので、今回読んだ本みたいなのは
本来、私には合わなそうなんだけど
どんどんどんどん引き込まれてしまいました。

『永遠の出口』(森絵都・著 集英社)

ひとりの少女の小4から高校卒業までが
一年ごとに、一章ずつ丁寧に描かれてゆく。

幼さゆえの残酷さを持つ時代。
尖っているのに、もろくて壊れやすい時代。
どこか冷めた目で、世の中を眺め始める時代。
自分の見ている世界が狭いことを
知らないまま動いている時代。
先が見えないまま、どこへも行けないでいる時代。

10代の変化は大きい。
たぶん、自分で感じているよりも。
心も体も人間関係も。
頼りなく、感じやすい心をさらけ出しながら
あれやこれやを受け止めて
その先を生きていく、心の基礎体力みたいなものを
つける時間なのかも。

今日のことだけ考えていればよかったのが
明日のこと、1月先のこと、1年先のこと…
を考えなければならなくなり
だんだん笑ってばかり過ごせなくなり
だけど、目をそらすことも身につけるようになる。
そんな人間の成長する姿は、たとえありふれていても
(テレビドラマみたいなことがなくても)
心が動かされる。
そんなお話です。

友達との関係、家族との関係、恋愛、
どれも多かれ少なかれ、楽しさと苦しさとを伴い
だけど、成長するためのエネルギーでもあるのだと思った。

最初の、小学4年生の章と
最後の、高校卒業の章が好き。
小学生が子どもなりに人に気をつかい
それによって苦しくなる姿はとてもせつない。
高校卒業のとき、少女がその先に見ていたもの。
自分の高校卒業の日のことなんて
いまひとつ思い出せないけれど
この話を読んで、たしかにそこにあった
未来への期待が、少しよみがえる。

正直、最初の数ページを読んだときは
「これは児童文学…、というか
読者対象はどのあたりなのか??」と戸惑った。
けど、これは大人こそ読むべきものかもしれない。

かつての自分が見ていた未来に立っている
「今」の自分を省みるためにも。

本の感想・不思議タイトルの意味

2007-08-09 00:10:14 | 本・雑誌
作詞していて、「タイトルが安易」だという
指摘を受けがちな私としては
本のタイトルもすごく気になるし
自分にとってのヒントにもなる。
「ジャケ買い」ならぬ、「タイトル買い」ってあるし。

で、今回読んだ本は
『見えないドアと鶴の空』(白石一文・著 光文社)

うーん、思わせぶりなタイトルですねえ。
わからんですねえ。
しかもカバーイラスト、これは宇宙人??
この作家の『僕のなかの壊れていない部分』も
タイトルに惹かれて読んだ。
タイトルからは繊細なイメージを抱いたけれど
繊細、かつ骨太で
一筋縄でいかない作家だなあ、という印象だった。

今回の『見えないドア~』は、好き嫌い、分かれるだろうな。
夫婦と妻の親友の、簡単に言っちゃえば
三角関係をきっかけに
それぞれの関係の秘密やほつれが
どんどん露になって、修復きかなくなって
あらららら~、という話だけど
もちろん、そんな単純なものではありません。

人間関係とは「魂と魂の関係」を築けるかどうか。
この「魂」が、主題(とみた)。
(主題とかいうと、国語の勉強みたい…)

人間の肉体は滅びても、魂は永遠で
それはときにやさしく、ときに恐ろしく
私たちを支配しかねないもの。
つまり、結局私たちは、自分の力の及ばないものに
生かされている、あるいは動かされている。
そんなことを考えさせられる。
だからこそ、「魂と魂」で感じあえる相手とは
よくも悪くも、離れられないのだ、と。

誰かと「波長が合う」という感覚が、昔からある。
「気が合う」とは少し違う。
仲のいい人に対し、必ず感じるものでもない。
何も話さなくても、近くにいなくても
わかるようなもの。
これも「魂」なのかなあ??

この小説は、超常現象や悪霊や
ホラー映画のワンシーンみたいなのも
出てくるので、そういうのが苦手な人
(怖いのがイヤ、または、鼻からバカにする人)は
たぶんダメかもしれない。
それはあくまでも「しかけ」なんだけどね。

ラスト近くになって
やっとタイトルの意味もわかりました。
案外、そのまんまでした(笑)。
ラストは、「えー、そうなっちゃうの??」と
私は思ったけど。

あとがきのような部分に書かれた
著者の小説への思いに、胸を打たれました。
それが目にとまったのが
私がこの本を読み始めるきっかけでした。
魂が揺さぶられた…、のかもしれないね。

サーカスに魅せられて

2007-08-05 23:57:44 | 出来事
ボリショイサーカスに行ってきました。

ショーが始まる前、熊と一緒に記念撮影タイム。
熊(ちゃんと人が付いている)の横に座ったとたん
あっという間にポラロイドでカシャッ!
これで1000円かあ…。
ひよこなんて、熊と写真撮ったことに気づいてない。
写真見て「くまさん、いるよ」って…
だから、一緒に撮ったんだってば。
熊がちゃんとカメラ目線なのは、さすが(?)!

ダンスや、5つのボールを
自在にお手玉するショーや、アクロバット、
熊や虎や猫たちの演技を楽しむ。
そして、見せ場の空中プランコ。
演技者が天井すれすれまで上っていき
セイフティーネットが準備される。
音楽も盛り上がり、いよいよスタート。

足をかけているだけでもツライであろう
ブランコが、グイングインと大きく揺れて
もう一方からも、グイングイン。
手を離して、フワーンと飛んで…
大成功!!!
飛ぶタイミング、演技者が飛び移るためのブランコを
揺らすタイミングなど
ちょっと狂ったらすべて崩れてしまうであろう
緊張感に、思わず息を呑む。

技の素晴らしさは言うまでもない。
ネットがあるから、万が一落ちても大丈夫と
そうは思っても、失敗は許されないことも
空気から伝わってくる。

演技者のひとりひとりが、晴れ舞台に立つまでの時間や
気持ちに、思いを馳せてしまう。
きっと好きでやっているのだろうけれど
そうは言っても、恐怖や緊張と闘っているのだろう、と。

初めて飛んだとき、初めて相手を受け止めるとき
どんな気持ちだったんだろうとか
ふだんはどんな生活をしているんだろう、とか。

そして、演技者同士の、絶対的信頼関係。
「俺がつかんでやるから、思いっきり飛んで来い!」
っていうのがないと、できないよね。

空中ブランコにしても、猛獣使いにしても
サーカスは人間の「心技体」が
鍛えられ、磨かれたものだと
あらためて思い知った。
演技する動物も大変なんだろうけど。
そんなことを思った1日でした。

本の感想・やっと読み終わった・・・

2007-08-01 00:46:33 | 本・雑誌
いきなりですが、速読できる人がうらやましい。

今回はなにを読んだかというと
いまさらながら
『模倣犯』(宮部みゆき著・小学館)。
上下巻、しかもそれぞれ700ページ、600ページある。
(現在、文庫も出てますね)
しかも2段組。
時間をみつけてちょこちょこ読んで
1週間以上かかってしまいました。

で、つくづく思ったことといえば
「宮部さんは頭いいなあ」とか
「これ、取材が大変だっただろうな」とか。

内容は、ざっくり書くと
「複数の殺人事件に関わった人たち、つまり
犯人、被害者、その家族や友人、警察やマスコミの人間の
それぞれの立場から見た事件のあり様、
それぞれの人間の背景にあるものや
心のうちを丁寧にとらえ、出来事と時間を構築した小説」
とでもいいましょうか。

ミステリーとか推理小説の類は
読者の立場では、わりと気軽に読むけれど
決して軽々しく書けるものではないと、改めて思う。
人間の心の、深く暗いところをのぞき、向き合い、
そこから目をそらさない覚悟が必要な作業。
どんな小説を書くにもそうだろうけれど
この類のものは特に、事件や犯人の気持ちを
実際に体験した上で書くわけではなく
あとがきに書いてあったけれど
犯人像はあくまでも想像の人物。
迂闊なことは書けない。

読み応えはたっぷり、確かに長いけれど
どんどんページをめくれる。
ところどころ、弱さや温かさや
どうにもできない理不尽さ
生きることのせつなさを感じさせるところも、宮部さん。

途中から、ラストの展開は読める。
それでも、それをどう明かしていくんだろうと
期待感いっぱいで読み進められた。
えらそうなことを言ってしまえば
ラストのほうは、ちょっと書き急いだ感がある?
ごめんなさい、個人的な印象です。
長い哀しい道のりの末、あっという間に
事態が展開していった、ということです。